材大なれば用を為し難し

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用人部屋へ戻って来た二人は (コメント数:1)

1 Ryou 2013-12-17 23:56:44 [URL]

 用人部屋へ戻って来た二人は、
「困ったなあ!」といって、腕組みをした。
「吉良上野という老人は、家柄自慢の臍曲りだからな」
「家柄ばかり高家で、ぴいぴい火の車だからなあ」
「殿様は、賄賂に等しい付届だと、一口におっしゃるが、町奉行所へだって献残(将軍へ献上した残り物と称して、大名が江戸にいる間、奉行の世話になった謝礼として、物品金子を持参することをいう)を持ち込むのだからな。大判の一枚や小判の十枚ぐらいけちけちして、吉良から意地の悪いことをされない方がいいがな。もしちょっとした儀式のことでも、失敗があると大変だがな」
「しかし、前に一度お勤めになったから、その方は大丈夫だろうが、七百両で仕切れとおっしゃるのは、少し無理だて」
「無理だ」
「勅使の御滞在が、十日だろう」
「そうだ」
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