材大なれば用を為し難し

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Kが部屋にはいると (コメント数:1)

1 Ryou 2013-10-03 19:33:23 [URL]

 Kが部屋にはいると、モンターク嬢は窓ぎわから食卓のそばに沿ってKのほうにやってきた。二人は互いに、黙ったまま会釈をした。次に、いつもと同じように頭をひどくもたげたモンターク嬢が言った。
「私のことをご存じかどうか知りませんが」
 Kは、眼を狭めながら女を見つめた。
「よく存じています」と、彼は言った。「だってもうかなり長くグルゥバッハ夫人のところにお住いじゃありませんか」
「でも、私がお見かけしたところでは、下宿のことはあまり気にかけていらっしゃらないようですが」と、モンターク嬢は言った。
「そんなことはありません」と、Kは言った。
「おかけになりませんか?」と、モンターク嬢は言った。二人は、黙ったまま、食卓の一番端にある椅子を二つ引出し、互いに向い合って腰をおろした。しかし、モンターク嬢はすぐまた立ち上がった。ハンドバッグを窓敷居に置き忘れ、それを取りにいったからである。部屋じゅうを擦るように歩いていった。手提げを軽く振りながらもどってくると、彼女は言った。
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