材大なれば用を為し難し

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そこでまた二、三日たって (コメント数:1)

1 Ryou 2013-12-01 12:12:07 [URL]

 そこでまた二、三日たってそのパルコルに出かけ、あの石鹸を二つ三つ買って置かないと、売切れてはラサ府で買うことが出来ないと思うてその店に行ったところが、その主人は石鹸を売るということをせずにジーッと私の顔を見詰めて居る。私は石鹸はこの間の値段で買うからといって銭を出そうとすると「まあお待ちなさい、あなたは私を御存知ありませんか」という声が紛いなくツァ・ルンバに違いございませんから「知って居る」と笑いながら答えました。すると大いに驚いた顔をして「何しろ内へお入り下さい」といい、もう日暮でもございましたから店の小厮に店を仕舞うように吩付けて家へ入った。私も続いて家へ入りますと「どうかまあ久々の事ですからむさいところではありますがお上り下さい」といいますから主人に従って家に通りますと、なかなか小ざっぱりとした立派な商法家で、二室ばかり向うに抜け梯子段を上に昇り、その人の本堂の室へ着きました。
 其室にはその内儀さんのペートン(蓮顕)という女がやはりダージリンから一緒に来て居る。私はじきに知りましたけれども先方では全く知らない様子。主人は笑いながら自分の女房に対し「お前はこのお方を知って居るか」と尋ねましたが、私を見て「存じません」と答えたです。「存じない事があるものか、大変よく知って居る筈だ、お前達が世話になった方だ」といわれて今度は大変よく見て居ったですが、全く分らんものと見えて、「どこのお方か覚えません私が世話になった方ならば知って居る筈ですが」というと「そういう馬鹿だから困る。それダージリンで差込が起った時尊い薬を貰って治ったじゃないか。」すると「ああそうです。もうその先は言ってくれないでも宜しい。どうも失礼致しました。久々でこういう所でお目にかかろうとは思わなかった。嬉しい事でございます」という挨拶。
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