さようでございましょうが (コメント数:1) |
1 Ryou 2013-12-18 00:14:19 [URL]
「さようでございましょうが、禄を失いました者どもは、それほどの事理を考える暇がございますまい。公儀という大きい相手よりも、手近な御隠居を……」 「分かった! 分かった! しかし、内匠頭をいじめたようにとかく噂されている上に、今度はその敵討を恐れて逃げ回っているといわれて、わしの面目にかかわる。来たら来たときのことだが、千坂、結局噂だけではないか」 「なれば結構でございますが。しかし、万一の御用意を」 「だが、引き移るのはいやだよ」 「それならば、、お付人として、手の利いたものを詰めさせる儀は」 「うむ。それもいいが、なるべく世間の噂にならぬように」 「はは」 千坂は、この頑固な爺と気短な内匠頭とでは、喧嘩になるのはもっともだと思った。しかし、この頑固さを、世間でいうように、強欲とか吝嗇とかに片づけてしまうのは当らないと思った。 |
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