一日百両として (コメント数:1) |
1 Ryou 2013-12-17 23:57:26 [URL]
「一日百両として、千両。前の時には日に四十両で済んでいるが、天和のときの慶長小判と今の鋳替小判とでは、金の値打が違っているし、それに諸式が上っているし……」 「御馳走の方も、だんだん贅沢になってきているし……」 「そうさ。出雲だって千二百両使っているのに、浅野が七百両じゃ……ざっと半分近いのでは、勅使に失礼に当るからなあ」 「困った」 「困ったな。急飛脚でも立てて、国元の大野か大石かに殿を説いてもらう法もあるが、大野は吝ん坊で、七百両説に大賛成であろうし、大石は仇名の通り昼行灯で、算盤珠のことで殿に進言するという柄ではないし……」 「困ったな。できるだけ切りつめて、目立たぬところは手を抜くより法はない」 「黙って家来に任しておいてもらいたいな、こんなことは」 「いくらか、こんなときにいつもの埋合せがつくくらいにな」 「悪くすると、自腹を切ることになるからな」 「そうだ!」 「とにかく、まず第一に伝奏屋敷の畳替えだ」二人は、接待についての細かな費用の計算を始めた。 |
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