殿中で高家月番 (コメント数:1) |
1 Ryou 2013-12-17 23:58:44 [URL]
殿中で高家月番、畠山民部大輔へ、 「今度の勅使饗応の費用の見積りですが、ちょっとお目通しを」といって、内匠頭が奉書に明細な項目を書いたのを差し出した、畠山は、それをしばらく眺めていたが、 「わしには、こういうことは分からんから、吉良に――ちょうど、来ているようだから」と、いって鈴の紐を引いた。坊主が、 「はい」といって、手を突いた。 「吉良殿に、ちょっとお手すきなら、といって来い!」 「はっ!」 坊主が立ち去ると、 「とんだ、お物入りですな」と、畠山がいった。 「この頃の七、八百両は、こたえます」 「しかし、貴殿は塩田があって裕福だから」 「そう見えるだけです」 「いや、五万三千石で、二百何十人という士分がおるなど、ほかでは見られんことですよ。裕福なればこそだ」といったとき、吉良上野がはいって来た。 「浅野殿の今度の見積りだが、今拝見したが、私には分からん。肝煎指南役が一つ!」 畠山が書付を、吉良へ渡した。 |
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