材大なれば用を為し難し

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こみ上げる笑い (コメント数:1)

1 Ryou 2013-09-30 15:12:14 [URL]

 旅人はこみ上げる笑いを我慢した。とても難しいことになったと思っていたが、その実、それはたいへん簡単なことだったからだ。
 旅人がやんわりと告げた。
「あなたは、ボクの力を過大評価しておられます。司令官は紹介状を読んでいますから、知っていると思いますが、ボクは司法の専門家ではありません。ボクが何か意見を表明したところで、それは単なる民間人の意見であり、どこかその辺の人の意見よりも価値がありませんし、いずれにせよ、司令官の意見に比べれば、何の意味もありません。この流刑地では、聞くところによると、彼の言うことは何でも正しいのでしょう? この制度が、彼の裁量次第だというのなら、近い将来、この制度にも終わりが来ても不思議ではありません。ボクが何をしたところで、どうにもならないことです。」
 将校はわかってくれただろうか?
 いいや、わかっていなかった。
 将校はぶんぶんと首を振って、囚人と兵士の方へすばやく振り返った。
 兵士は縮み上がって、お粥を吹き出した。
 将校が旅人に近づいたが、旅人の顔を見ず、その上着のあたりをぼんやりと見つめて、声をひそめて言った。
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