材大なれば用を為し難し

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「内匠頭は、切腹と決りました」 (コメント数:1)

1 Ryou 2013-12-18 00:12:38 [URL]

「内匠頭は、切腹と決りました」と、子の左兵衛が枕元へ来ていった。
 上野は、横に寝て、傷の痛みに顔を歪めていたが、
「そうだろう」と答えた。
「お上では、乱心者としてもっと寛大な処置を取ろうとなさいましたが、内匠頭は、乱心でない、上野は後の人のために生かしておけんなどと、いろいろ理屈をいったそうで、とうとう切腹に……」
「あの意地張りの気短め、どこまで考えなしか分かりゃしない。そして、殿中ではどう評判をしている。どちらが悪いとかいいとか」
「ええ、内匠頭の短慮と吝嗇はよく知っていますが、殿中で切りつけるには、よくよく堪忍のできぬことがあってのことだろうというので、やはり同情されています。梶川の評判はよくないようです。どうしてもっと十分にやらせてから、抱きとめなかったかと……」
「無茶なことをいう、十分にやられてたまるものか。わしは軽い手傷だし、向うは切腹で家断絶だから、向うに同情が向くだろうが、といって、わしを非難するのは間違っている」
「いや、父上を一概に非難してはいませんが」
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