中2で覚えたシンナー、姿消した両親 15年分の話と涙 (コメント数:1) |
1 名前の無い頑固親父 2017-05-22 02:33:44
横山尚樹(なおき)さん(47)は、中学2年のころにシンナーを覚えた。袋に入れて吸い込むと、空が異常なほどきれいに見えた。中学を卒業後も定職に就かず、シンナーに溺れた。 母は一人息子に甘かった。幼いころ、「他の子が持っている」と言えば、同じおもちゃを買ってくれた。自室に置きっぱなしのシンナーの袋は、知らぬ間に、きちんと封がされていた。父から何かをとがめられた記憶もない。 その両親が16年前、連絡先を告げず、姿を消した。実は息子を立ち直らせるためのプログラムだった。しかし、心はささくれ、さらにトラブルを重ねた。「裏切りやがって」 ログイン前の続きそんなころ、ある人に出会った。ひとまわり年上の江口剛志(たけし)さん。当時いた依存症患者のリハビリ施設で、相部屋になった。 同じく依存症に苦しみながらも、横山さんの横柄な態度をしかり飛ばし、浪費癖を厳しくとがめた。それでいて、優しかった。冷蔵庫の残り物で、野菜炒めやうどんを振る舞ってくれた。 「ああだこうだと考えるのが、お前の病気だ。ハイハイと聞いていればいい」。人間関係の悩みを打ち明けると、そう諭された。 12年前、いまも入所している茨城県鹿嶋市の施設「潮騒ジョブトレーニングセンター」に、ともに移った。江口さんと過ごすうち、いつしか、両親への怒りは消えていた。 毎年11月、施設でイベントがある。昨秋、初めて両親を招待したいと思った。施設長に頼み、ビデオメッセージを作った。「見に来てください」。それだけをカメラに向かって伝えた。 当日、食堂に両親の姿があった。背中は曲がり、昔より小さく見えた。泣くまいと決めていたのに、母の肩を抱き、声を上げて泣いた。 15年分の話をした。日々の治療のこと、お寺の和尚さんと文通していること。「同じ年頃の子を見ると、いつも思い出してね」と、母も涙を流してくれた。 連絡先は聞かずに別れた。年に1回、イベントのときにだけ会う約束をして。 "朝日新聞" http://digital.asahi.com/articles/ASK5F5HXNK5FUTIL015.html?_requesturl=articles%2FASK5F5HXNK5FUTIL015.html&rm=268 |
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