材大なれば用を為し難し

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文六に笑ひかけ (コメント数:1)

1 Ryou 2014-03-23 00:11:03 [URL]

亡者甲  (一寸、文六に笑ひかけ)こゝに待つてゐればいゝんですか。
文六  失礼ですが、あなたも、やはり、昨晩のあれで、お亡くなりになつたんでございますか。
亡者甲  昨晩のあれといひますと……。いゝえ、僕は、一昨日の朝、病院で死んだんです。
文六  へえ、何か……。
亡者甲  昨晩、何かあつたんですか。
文六  (膝を乗り出し)実はね……なるほど御存じありますまいな、実は、一昨日の夕方でした……。


(この時、また、右手より、亡者乙、白髪の老人、白衣に勲章の大綬をかけ、杖をつきながら現はる。つかつかと受附に至り、何事か呟く)




女の声  あら、また、いらしつたの。
亡者乙  (苦笑しながら)今度は、いよいよほんものぢやよ。
別の女の声 (名簿を探しながら)えゝと、金山高成さんはと……一月十九日……いゝわ。
亡者乙  もうぢきかね。
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