さて、昔どほりの処番地なので (コメント数:1) |
1 Ryou 2014-03-27 09:50:51 [URL]
さて、昔どほりの処番地なので、探す手間はいりません。ところが麹町一帯は、方角もわからないほど変り果てたバラツク街です。このへんと思ふあたりをたづねて、やつと土蔵を改築したらしい、「加部」と標札の出てゐる家をみつけました。 窓の小さい、冷え冷えとした室の奥に、蝋燭の光がゆれてゐます。 「どなたですか」 いきなり、薄暗い隅の方から影がして、一人の男が起つて来ました。それが加部錬之介でした。 霊前での二人の対話は、あらまし次のやうなものでした。 「福代はあなたを唯一人の女友達だと云つてゐました。……いくら会はなくつても心が通じてゐればいゝとも言つてゐました」 |
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