『岩倉市 「自治基本条例(案)」 解説』 から読み解く真意。
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1 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:47:29  [編集/削除]

『岩倉市 「自治基本条例(案)」 解説』には、ただ議会可決された条例そのものよりも、作成側の意図が読み解ける内容が記載されています。
2 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:49:06  [編集/削除]

岩倉市 「自治基本条例(案)」 解説

自治基本条例とは、次のような背景から今後の地方自治を進める上で必要であると判断し、平成23年度から策定に向け進めてきたものです。

まず、「自治とは何か」です。自ら治めるという言葉ですが、日本国憲法に謳われている「地方自治」は、一般的に、団体自治と住民自治の二つの考え方の上に成り立っているといわれています。

団体自治とは、国家の内部に国家とは別の独立した地域団体を認め、国家の関与をできるだけ少なくして、地方の行政は地方に処理させるのが合理的であるという考え方をいいます。その仕組みについては、国としての統制や普遍性の観点から、法律(地方自治法)により、詳細に規定されています。

それに対し、もう一つの住民自治とは、地方の行政は地方の住民が自分たちの意思と責任で処理すべきであるという民主主義の考え方です。この領域については、選挙による間接民主主義の手法など法律で規定してあるものもありますが、地域の自治は多種多様であり、国で一律に規定することができないものは多く存在します。地方分権という時代の流れ、人口減少社会における自治のあり方の変化、市民意識の高まりから、その領域について、自治体ごとに定めておくことが、自治を発展させるために必要であるという考え方が全国で広まってきました。

岩倉市でも、これまで長年、実践の中で培ってきた、自分たちのまちのことを自らが考え、責任を持って行動する岩倉らしい市民本位のまちづくりをいっそう発展させるため、自治に関する基本的な考え方や市民や行政や議会などの責務とその協働の仕組みを決めるなど、市民自治(住民自治と同義です。以下、市民自治という言葉を用います。)を市政においてどのように担保するのかを定めておくことが必要であると判断しました。

また、憲法が国の行為を「縛る」ものであるように、自治基本条例は、自治体を「縛る」ものになります。「縛る」という意味は、時代が変わっても、これだけは市民に保障しなければならない、首長が変わっても自治体として最低限行わなければならない、守らなければならない仕組みを定めておくことです。 以上が条例制定の大まかな目的といえます。

本条例は、岩倉市のすべての条例の最上位に位置づけられるものであり、現行の制度のみを対象にしたものではなく、今後、策定していかなければならない制度も含め、将来のあるべき姿を記述しています。

平成24年度には、市民委員10名、市職員10名で構成する岩倉市自治基本条例検討委員会で議論を重ね、策定してきました。策定に当たり、これまで議論してきた考え方、想い、ねらいなどを、条文ごとに解説します。

なお、今後も検討委員会も開催され、また、パブリックコメントで意見をいただきながらまとめあげていくため、これが最終形ではありません。

3 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:50:18  [編集/削除]

全体の構成

前文
第1章 総則
 第1条 目的
 第2条 条例の位置付け
 第3条 用語の定義
 第4条 自治の基本原則

第2章 市政の主体
 第5条 市民の権利
 第6条 市民の役割と責務
 第7条 議会及び議員の役割と責務
 第8条 市長の役割と責務
 第9条 職員の役割と責務

第3章 協働の仕組み
 第10条 市民参加と協働
 第11条 市民自治活動
 第12条 住民投票
 第13条 市外の人々、国等との連携

第4章 市政の運営
 第14条 執行機関の組織
 第15条 市民本位の市政運営
 第16条 計画的な市政運営
 第17条 情報公開と個人情報の適切な取扱い
 第18条 行政手続
 第19条 政策法務等
 第20条 財政運営等
 第21条 行政評価
 第22条 危機管理や災害等緊急時の対応
 第23条 地域資源の継承

第5章 条例の実効性の確保
 第24条 実効性の確保

【解説】
 本条例は、前文及び本文で構成され、本文は、5章に分かれています。

4 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:51:06  [編集/削除]

岩倉市自治基本条例(案)

前文
 わたしたちのまち岩倉は、まちの中央を流れる五条川とその桜並木、また郊外に広がる農地をはじめとして、身近な自然が感じられるまちです。  由来、人々は、縄文の時代からこの地で生活を営み、活気ある歴史や文化をつくりあげてきました。  わたしたちは、それらの自然や文化を享受し、交通の利便性が高くコンパクトな生活都市の利点が生かされたこのまちを愛しています。
 今日、地方分権や少子高齢化の時代を迎え、直面する様々な地域課題を解決していくために、岩倉らしい自治のあり方の確立が求められています。  そのために、市民は役割と責任を自覚し、議会と行政は市民の信託にこたえ、ともに協働のまちづくりを進めていかなければなりません。
 未来、幸せな地域社会をめざして、わたしたちは、小さなまちから大きな夢を抱きながら、自治の普遍的な基本理念を分かち合うため、ここに岩倉市自治基本条例を定めます。

【解説】
 「過去、現在、未来」を軸として、岩倉市の特徴や自治基本条例の制定に至った理由を表現しています。まちの中央という表現には、地理的な意味合いだけでなく、文化や市民の心の中央という意味合いも含んでいます。「活気ある歴史」とは、岩倉街道、要衝の地であったことなどを表しており、「活気ある文化」とは、山車曳き、音楽のあるまちづくりなどを表しています。
市民は、地方自治における主体です。しかし、その多くの部分を市民の具体的、直接的な行為によらず、制度などにより、市政やまちづくりを市役所に任せてきました。これが「市民の議会や行政に対する信託」です。しかし、そもそも、市政やまちづくりのすべてを信託しているわけではありません。さらに、今後の地方分権、少子高齢化の時代では、相互の関係を今一度見直し、ともに協働してまちづくりを進めていく必要があるといえます。

5 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:55:31 [画像]  [編集/削除]

第1章 総則
【解説】
  第1章は、「目的」、「条例の位置づけ」、「用語の定義」及び「自治の基本原則」の 4条で構成されています。

(目的)
第1条 この条例は、岩倉市における自治の基本原則を定め、市民、議会及び執行機関の責務等を明らかにし、協働によるまちづくりを推進することによって、市民を主体とした自治の実現を図ることを目的とします。

【解説】
  国の政治の主権が国民にあるように、地方自治の主体は、市民です。その市民と議会、執行機関の責務、役割、権利などを明らかにし、その上で、相互の立場や特性を認め合い、尊重しながら、それぞれが役割と責任を持って、その特性や能力を発揮しつつ、共に考え、行動する(協働する)ことで、市民主体の自治が前進していく姿を目的に掲げています。

(条例の位置付け)
第2条 この条例は、岩倉市が定める最高規範であり、市民、議会及び執行機関は、自治を推進するに当たっては、この条例を遵守するものとします。
 2 議会及び執行機関は、他の条例、規則等の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例に定める事項を遵守しなければなりません。

【解説】
  本条例が本市の条例、規則等の規範の中で最も上位に位置するものであることを明記しています。その上で、自治を担うそれぞれの主体が本条例を遵守すること(第1項)、議会及び執行機関の他の規範は、本条例と整合性を図らなければならないこと(第2項)を定めています。
本条例は、自治のあるべき姿を規定していますので、これを機に、今後制定しなければならない条例も出てきます。また、既に制定されている条例等も、体系的な見直しを含め、再チェックを行う必要があります。

 ・画像参照: 自治基本条例 第四次岩倉市総合計画

6 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:56:55  [編集/削除]

(用語の定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号のとおりとします。
 (1)市民 市内に居住する者、市内に通勤又は通学する者、市内で事業又は活動を行うものをいいます。
 (2)執行機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、公平委員会、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
 (3)市 市民、議会及び執行機関によって構成され、それぞれの役割と責務のもと、総合的に行政を行う地方自治体をいいます。
 (4)市政 市が行う政治及び行政をいいます。
 (5)協働 市民、議会及び執行機関が、主体的・自発的に共通の目的を達成するために、相互の立場や特性を認め合い、尊重しながら、それぞれが役割と責任を持って、その特性や能力を発揮しつつ、共に考え、行動することです。
 (6)まちづくり 市民が健康で幸せに暮らしていけるよう、魅力的なまちにしていくための活動及び事業をいいます。
 (7)地域団体 行政区、子ども会、老人クラブ、婦人会など、地域で生活することを縁とし、地域での生活場面を通してつながりを持って活動を行っている組織をいいます。
 (8)市民活動団体 特定のテーマに対する共感によってつながりを持つ非営利団体をいいます。
 (9)市民自治活動 市民が自主的に行うまちづくりのための多様な公益的活動をいいます。

【解説】
  用語の定義は、誰もが共通した認識で条例を読むことができるようにするものです。「市民」には、市内に居住する者(住所を有する者)以外に、通勤、通学する者や、事業者、市民活動を行う者を含めています。
地方自治法では、「住民」を市町村の区域内に住所を有する者として定義していますが、地方自治を進める上では、さらに広い関係者を市民としてとらえ、力を貸していただく、行政サービスを受けるために応分の負担をしていただくなどが必要であるという議論を踏まえたものです。

なお、市外に住んでいて岩倉市に固定資産税を払っている人、ふるさと納税を行っている人、以前に岩倉市に住んでいたけど都合で転出しているが、岩倉に愛着を持っている人などを「心の市民」として、何らか記述すべきだという意見もありましたが、自治基本条例に記述するには至りませんでした。

 「執行機関」の中の市長とは、個人的な人物を指すものではなく、市長部局全体の組織を意味しています。「市」という用語は、これまで行政(執行機関)を指すものとして解釈されてきましたが、三つの主体がその中には存在するということを明記しています。その三つの主体の総体が岩倉市であるということです。

 「市政」では、執行機関と議会が進める政治及び行政のことと理解されがちですが、「市」の中には市民、議会及び執行機関という三つの主体が存在していることを一つ前の定義において確認していることから、市が行う政治及び行政はそれぞれが関係して行うものであるということを表しています。

 「協働」という用語は、岩倉市では、第3次総合計画以前から用いてきた言葉ですが、本条例では、「相互の立場や特性を認め合い、尊重しながら、それぞれが役割と責任を持って、その特性や能力を発揮しつつ、共に考え、行動すること」と定義づけています。

 「まちづくり」の主体も、市民、議会及び執行機関の三つの主体が基本です。自治における具体的な活動や事業全般をいい、例えば区で行う自主的な地域清掃活動なども含まれます。

 憲法に謳われている地方自治=自治には、団体自治と住民自治があり、その自治という最も広い概念の中で市政が行われます。まちづくりは、その市政の中の具体的な活動を指します。

7 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:58:03  [編集/削除]

(自治の基本原則)
第4条 岩倉市における自治の基本となる原則は、次のとおりとします。
 (1)市民主体の原則 市民は、自治の担い手として、それぞれの個性や能力を発揮し、自覚と責任を持って市民主体のまちづくりを推進します。
 (2)情報共有の原則 市民、議会及び執行機関は、まちづくりに関する情報を互いに提供し、共有します。
 (3)協働の原則 市民、議会及び執行機関は、協働してまちづくりを推進します。
 (4)信頼の原則 市民、議会及び執行機関は、互いに尊重し合い、常に信頼関係を築くための努力をします。
 (5)信託による市政の原則 議会及び執行機関は、市民の意思を尊重し、市民からの信託に基づき市政を行います。

【解説】
 (1)は、市民に関する基本原則、(2)〜(4)は、市民、議会及び執行機関に関する基本原則、(5)は、議会及び執行機関に関する基本原則です。特に(1)市民主体の原則については、市民が自治の担い手であるということを自覚して行動しなければならないということを表現するため、「自治の担い手として」を盛り込んでいます。

8 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:59:24  [編集/削除]

第2章 市政の主体
【解説】
  市政の主体は、主権者としての市民です。そして、市民からの信託を受けて市政を直接的に行う議会と執行機関(市長を含みます。)について規定します。

(市民の権利)
第5条 市民は、市政及びまちづくりに等しく参加する権利を有します。
 2 市民は、市が保有する情報について知る権利を有します。
 3 市民は、市が提供するサービス(以下「行政サービス」という。)を等しく受けることができます。

【解説】
  地方自治法では、「住民は、法律の定めるところにより、その属する地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」(第10条)と規定されています。

  岩倉市には、将来を担う大切な存在である「子ども」について、「子ども条例」を制定しています。ですので、自治基本条例にも子どものことを明記すべきという検討も重ねました。しかし、子どもの権利を記述すると障がい者の方の権利はどうなるかであるとか、特筆すること自体が差別等につながるのではないかといったことから、「市民」に包含される存在として特筆しないことにしました。

  第1項が表しているのは、市民が何でも、どんなときでも、直接的に市政やまちづくりに参加できるということを規定しているものではありません。一定の参加の制度やルールがある場合には、差別されることなく、等しく参加できる権利があるということです。第2項についても、同様に、本条例にこの規定があるからといって、何でも知ることができるということではなく、その制度やルールについては、岩倉市情報公開条例に定めるとおりとなっています。

  第3項についても、同様で、様々な行政サービスがありますが、誰でもその行政サービスを受けられるものではありません。条件に合致し、対象となる方が、等しくサービスを受ける権利を有するということを表しています。

9 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:00:13  [編集/削除]

(市民の役割と責務)
第6条 市民は、自治の担い手であることを自覚し、互いを尊重し、協力して、まちづくりを推進するよう努めるものとします。
 2 市民は、市政及びまちづくりに参加するに当たっては、自らの発言と行動に責任を持ち、公共の福祉に反しないようにするとともに、次世代及び市の将来に配慮するものとします。
 3 市民は、行政サービスその他行政の執行に対して応分の負担をします。

【解説】
  第5条の権利と対になる規定です。
  第1項では、市民一人一人がまちづくりに積極的に関わって欲しいという思いが「まちづくりの主体であることを自覚し」という表現に込められています。そして、市民の責務として、まずは、市民相互で主権者としての権利を尊重し、その上で、協力してまちづくりを推進することを規定しています。
  第2項では、第5条の市政及びまちづくりへの参加の権利に対する責務として、参加する上で守るべき事項を規定しています。
  第3項では、第5条の行政サービスを等しく受ける権利の保障の反射として発生する「応分の負担」について規定しています。

10 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:01:11  [編集/削除]

(議会及び議員の役割と責務)
第7条 議会は、市民の信託を受けた議員によって構成される唯一の議決機関として、地域の課題及び市民の多様な意見を踏まえ、より良い市民生活、市民福祉及び市政の発展をめざして、政策を立案する機能及び執行機関を監視する機能を十分に発揮するよう努めなければなりません。
 2 議員は、選挙で選ばれた市民の代表としての自覚と責任のもと、弛まぬ自己研鑽により資質能力の向上に努め、市民からの信託に応える公平・公正・透明な開かれた議会運営に努めなければなりません。
 3 その他、議会及び議員の基本理念及び基本的事項については、別に条例で定めるものとします。

【解説】
  岩倉市では、自治基本条例に先行して、「岩倉市議会基本条例」が制定されています。議会との調整会議を経て、その条例との整合を図りながら条文を作成しました。
 第1項では、議会が地方自治における唯一の議決機関であることを確認した上で、議会の機能として「政策立案機能」及び「執行機関の監視機能」を発揮することを努力義務としています。
  第2項では、2元代表制として市民から選ばれた議員の原則的な姿勢について規定しています。
  第3項では、議会及び議員の役割と責務の詳細な内容やその他の事項について、別の条例(岩倉市議会基本条例)へ委任しています。

11 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:03:29  [編集/削除]

(市長の役割と責務)
第8条 市長は、市の代表者として、公正かつ誠実に市政を運営しなければなりません。
 2 市長は、第4 条に規定する自治の基本原則に基づきまちづくりを推進し、市民の信託に応えなければなりません。
 3 市長は、市民や職員の夢を育て、実現する存在でなければなりません。

【解説】
  この条文の市長は、第3条の用語の定義における執行機関の中の「市長」とは意味が異なり、人物としての市長を意味しています。特に第3項では、前向きにビジョンや理念を押し出すかっこ良い市長の姿を描き、子どもたちの憧れとなることを望むことを表しています。


(職員の役割と責務)
第9条 職員は、市民のために、公正かつ誠実に職務を遂行しなければなりません。
 2 職員は、市民等の意見の把握や情報収集に努めるとともに、積極的に協働のまちづくりを推進しなければなりません。
 3 職員は、職務の遂行に必要な知識、技能等の向上に努めなければなりません。

【解説】
  市政は、2元代表制の下で議会の議決を経て、市長が行政を運営しています。そして、その市長の指示で実際に行うのが市の職員です。第3条の定義における「市長」は、市長部局全体のことを指し、その中で、具体的な事務を行い執行するのが職員です。よって、市政に対する市民の信託を担うものとして、その役割と責務についても定めるものです。

また、平成18年に公益通報者保護法が施行されていることから、それを具体化し、仕組みを構築する「職員の公益通報」に関する規定を検討しました。その条例を整備している自治体が増えてきている中、自治基本条例において、
  @ 公益を守るために、万一、市の内部で不正な行為等が行われていることを知った職員は、それを放置したり、隠したりしてはならないこと
  A 詳しくは別に条例で定めること という内容で検討しました。しかし、議論した結果、意見は拮抗しましたが、最終的な検討委員会としての条例(案)からは外すということになりました。


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