『岩倉市 「自治基本条例(案)」 解説』 から読み解く真意。
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1 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 14:47:29  [編集/削除]

『岩倉市 「自治基本条例(案)」 解説』には、ただ議会可決された条例そのものよりも、作成側の意図が読み解ける内容が記載されています。
12 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:04:34  [編集/削除]

第3章 協働の仕組み
【解説】
  協働の定義を「市民、議会及び執行機関が、主体的・自発的に共通の目的を達成するために、相互の立場や特性を認め合い、尊重しながら、それぞれが役割と責任を持って、その特性や能力を発揮しつつ、共に考え、行動すること」と第3条で規定していますが、その具体的な方法等について規定するものです。4条の構成となっています。

(市民参加と協働)
第10条 議会及び執行機関は、市民の市政及びまちづくりへの参加を推進するため、政策等の立案・実施・評価のそれぞれの過程において多様な参加の機会を設けるとともに、参加しやすい環境の整備に努めます。
 2 議会及び執行機関は、市民参加により得られた意見、提案を市政及びまちづくりに反映させるよう努めます。
 3 市民、議会及び執行機関は、市政及びまちづくりに当たり、お互いの役割と責務の下に、対等な立場で連携し、協力するとともに、協働のための環境づくりに努めます。
 4 前各項に定めるもののほか、市民参加と協働に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。

【解説】
  第1項では、最も基本的な協働の仕組みの形である市民参加について、市がその参加の機会を設け、参加しやすい環境整備を行うことを努力義務として規定しています。参加は、参画を含む広い概念として、立案・実施・評価というそれぞれの段階で考慮すべきものと位置づけています。
  第2項では、市民参加で得られた結果をしっかり市政やまちづくりに反映することを規定しています。
  第3項では、第4条(3)で「協働の原則」について規定してありますが、より具体的な協働の仕組みを規定しています。
  第4項では、さらに詳細な事項について、別の条例へ委任しています。岩倉市では、平成23年度に「岩倉市市民協働ルールブック」を市民との協働により策定しました。しかし、より法規的で実効性のあるものが必要であるという議論を経て、今後、新たに条例という形で整備し直すことになりました。自治基本条例を検討する際に参考とした先進自治体でも、流山市、大和市、茅ヶ崎市、日進市など多くの自治体が市民参加に関する条例を別の条例として制定しています。

13 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:05:52  [編集/削除]

(市民自治活動)
第11条 市民は、それぞれの地域における地域団体による活動を通じて、市民自治活動の推進に努めます。
 2 市民は、市民活動団体による活動を通じ、それぞれの役割のもとで、自らできることを考え、行動し、市民自治活動の推進に努めます。
 3 市民は、自治の担い手であることを自覚するとともに、地域団体や市民活動団体の役割を認識し、これらを守り育てることに努めます。
 4 市民と議会及び執行機関は、市民が第1項及び第2項の活動を通じて地域課題を解決しようとする場合には、お互いに補完し合うものとします。
 5 地域団体や市民活動団体は、市民自治活動を推進するために、団体相互の連携と協働に努めるものとします。
 6 議会及び執行機関は、市民自治活動の自主性及び自立性を尊重し、その活動を支援するものとします。

【解説】
  第3条で、「市民自治活動」、「地域団体」及び「市民活動団体」を定義してあります。地域団体と市民活動団体は、別の言い方をすると地縁の団体と志縁の団体ともいえます。どちらも重要であるという認識から、あえて2項に分けて規定しています。その二つの活動を総じて市民自治活動と位置づけています。
  第3項では、市民自らも市民自治を進める上で地域団体と市民活動団体の二つの組織の役割を認識し、守り育てる必要性を努力義務として規定しています。
  第4項では、地域課題を解決するために市民が行う市民自治活動については、市民だけでは難しい局面もあり、その場合には議会や執行機関側も補完しあいながら、進めていく必要があることを規定しています。
  第5項では、地域団体と市民活動団体が連携し、縦糸と横糸の関係で地域を紡ぐことを努力規定として定めています。
  第6項では、議会及び執行機関は、市民自治活動に対し、自主性や自立性を尊重し、支援するという基本的なスタンスを定めています。

14 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:07:16  [編集/削除]

(住民投票)
第12条 市長は、市政に関する重要な事項について、住民の意思を市政に反映するため、住民投票を実施することができます。
 2 住民投票に付すべき事項、投票の手続、投票の資格要件その他の住民投票の実施に必要な事項については、別に条例で定めるものとします。
 3 議会及び市長は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。

【解説】
  住民投票に関する既存の制度としては、地方自治法第74条における直接請求があります。有権者の50分の1以上の署名を集めることによって、市民側から条例案を発議することができます。そして、議会でその条例案が議決されて始めて住民投票が行われることになります。実務的には、住民投票を行わなければならないほどの重大案件時には、議会もねじれていることが多く、署名が行われても条例案が否決されるおそれもあります。よって、あらかじめ、条例を制定しておくことにより、市民の権利を保障するというのがこの条文の意味です。

15 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:08:27  [編集/削除]

(市外の人々、国等との連携)
第13条 市民は、まちづくりを推進するため、市外の人々及び市民活動団体等と広く交流し、連携するよう努めるものとします。
 2 議会及び執行機関は、共通するまちづくりの課題を解決するため、国、関係地方公共団体その他の機関等、市外の市民活動団体等と相互に連携するよう努めます。

【解説】
  第1項では、市内の地域団体や市民活動団体との協働、議会及び執行機関との関係を規定した第11条に対し、もう少し視野を広くし、市外の市民活動団体とも連携することを努力義務としています。
  第2項では、市民と同様、議会や執行機関も国、関係地方公共団体その他の機関(警察や保健所など)や市外の市民活動団体等と連携することを規定しています。

16 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:09:28  [編集/削除]

第4章 市政の運営
【解説】
  第4章は、市政の運営における屋台骨ともいえる基本的な事項について、記述しています。第14条から第23条の10条で構成されています。ほとんどが、執行機関や市長に対して、求められる事項となっています。

(執行機関の組織)
第14条 執行機関は、社会情勢の変化などに対応するため、その組織を柔軟に改めるものとします。
 2 執行機関の組織は、わかりやすく、効率的かつ機能的でなければなりません。
 3 執行機関は、行政サービスが低下しないよう留意するとともに、災害が発生したときの対応も考慮し、最少の人員で最大の効果が得られるよう、計画的かつ適正な定員管理に努めなければなりません。
 4 執行機関は、実効性のある職員研修、適正な人事評価により、職員の能力と意欲を高め、より質の高い職員の育成に努めなければなりません。


(市民本位の市政運営)
第15条 執行機関は、市民の意向を的確にとらえ、市民本位の市政運営に努めなければなりません。
 2 執行機関は、市民からの提案、意見、要望又は苦情に対しては、誠実かつ迅速に対応します。

【解説】
  第1項では、刻々と変化する社会情勢に対応するためには、行政組織も柔軟に改めることを規定しています。
組織改変がすぐにはできない場合には、プロジェクトチームの設置など柔軟な運用も期待されます。
  第2項では、組織のあり方の基本的な考え方を示しています。
  第3項では、災害発生時の対応なども含め、行政サービスのレベルの保持をめざした適正な職員の人数とその配置を努力規定として求めています。
  第4項では、人数だけではなく、その質を高めるための研修や人事評価を行うように求めています。


(計画的な市政運営)
第16条 市長は、総合的かつ計画的な市政運営を行うため、市の最上位計画として基本構想、基本計画及び実施計画を内容とする総合計画(以下「総合計画」という。)を策定します。
 2 市長は、総合計画の策定、見直し及び評価に当たっては、市民に参加の機会を保障します。
 3 市長は、総合計画における基本構想については、議会の議決を経なければなりません。

【解説】
  平成22 年の地方自治法の改正に伴い、総合計画(基本構想)策定の義務がなくなりました。しかし、市政運営のためには、中長期的な計画が不可欠であることから、本条例にその根拠を記述しています。
  第2項では、第5条及び第11 条の市民の参加に係る規定はありますが、総合計画については、それを念押ししています。
  第3項では、総合計画における基本構想ついて、議決することを義務づけています。

17 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:10:30  [編集/削除]

(情報公開と個人情報の適切な取扱い)
第17条 議会及び執行機関が保有する情報は、市民等との共有物であって、積極的かつわかりやすいかたちで公開に努めます。
 2 議会及び執行機関が保有する個人情報は、適正に管理し、個人の権利及び利益を保護します。
 3 情報公開及び個人情報保護に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。

【解説】
  第1項では、執行機関が保有する情報は、市民との共有物であり、積極的かつわかりやすく公開することを努力規定として示しています。ただし、第2項で、個人情報に関しては、個人の権利及び利益を保護する観点から適正に管理し、一般的な情報とは取扱いを異にしています。
  第3項で、詳細について、別の条例に委任しています。岩倉市情報公開条例及び岩倉市個人情報保護条例が既に制定されており、それらの条例を指します。


(行政手続)
第18条 執行機関は、市政の運営における公正の確保及び透明性の向上を図り、市民の権利利益を保護するために、適切な処分、行政指導及び届出に関する手続(以下「行政手続」といいます。)を行わなければなりません。
 2 前項に規定する行政手続に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。

【解説】
  処分、行政指導及び届出に関する手続に関し共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって市民の権利利益の保護に資することを目的として、国は行政手続法を、市では行政手続条例を制定しています。 例えば、市に対し、事業の後援申請があった場合、何日までに許可の回答をするのか、許可の基準はどうなっているのかなどをあらかじめ定めておき、窓口に設置し、明らかにしておくという制度です。 この制度は、市政運営において、市民の公正と信頼を確保するための重要な制度であり、第1項では基本的な事項を、第2項では別の条例(行政手続条例)への委任を規定しています。

18 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:11:22  [編集/削除]

(政策法務等)
第19条 議会及び執行機関は、この条例を最高規範とした、その他の条例、規則及び規程(以下「条例等」という。)による法体系を構築しなければなりません。
 2 市長は、次に定める条例について、制定又は改廃するに着手しようとするときは、その趣旨を公表するよう努めなければなりません。ただし、公表しないことについて合理的な理由があるときは、この限りではありません。
 (1) 基本的な制度を定める条例
 (2) 市民に義務を課し、又は権利を制限する条例
 (3) 市民生活又は事業活動に直接かつ重要な影響を与える条例

19 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:12:21  [編集/削除]

(財政運営等)
第20条 市長は、総合計画に基づき中長期的な財政計画を定めるとともに、財源の確保並びにその効率的な活用及び効果的な配分を行い、最少の経費で最大の効果が得られるよう行財政改革に努め、健全な財政運営を行わなければなりません。
 2 市長は、市民に対し、財政に関する計画及び状況を公表し、わかりやすく説明しなければなりません。
 3 市長は、市の保有する財産の適正な管理及び効率的な運用をしなければなりません。

【解説】
 市の財政を健全に運営するための条文です。
 第1項では、その場限りの財政運営を行うのではなく、総合計画に基づき中長期計画の財政計画を定め、その上で、効率的な活用、効果的な予算配分を行い、財政運営をしていくことを明記しています。
 第2項では、市民が市の財政が今どうなのか、今後どうなっていくのかを知ることは、市政を理解する上で重要であり、これらの情報を市民にわかりやすく公表する義務を規定しています。
 第3項では、市の保有する財産を適正に管理し、効率的な運用を図る義務を規定しています。


(行政評価)
第21条 執行機関は、実施した施策や事業について、その効果、効率、目標達成度等をチェックし、行政資源の効率的な配分に役立てるため、行政評価を実施しなければなりません。
 2 執行機関は、前項の行政評価の結果を公表しなければなりません。

【解説】
  本市では、これまで、岩倉市総合計画(現在は、平成23年度〜平成32年度の第4次総合計画)を最上位計画として計画的な行政運営を行ってきました。そして、実施した事業について、チェックする仕組みとして平成17年度から行政評価の一つの手法である事務事業評価に取り組み、平成23年度から、それを見直し施策評価という手法で行政評価を行っています。施策評価の中では、年度ごとに総合計画の進捗状況を測りながら、Plan(プラン)、Do(ドゥー)、Check(チェック)、Action(アクション)というPDCAサイクルを回し、事業の改善、修正、ステップアップ等につなげていくこととしています。

20 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:13:27  [編集/削除]

(危機管理や災害等緊急時の対応)
第22条 市民は、災害等の緊急時において、自分自身を守る努力をするとともに、互いに助け合うことができるよう、災害等に対する意識を高め、自主的な防災に努めます。
 2 市は、災害等の緊急時には、関係機関等と連携し、速やかに状況を把握するとともに、対策を行います。
 3 執行機関は、市民の生命、身体、財産及び暮らしの安全を確保するため、必要な計画を策定するとともに、日ごろからの団体間の連携や人材の養成等に努め、危機管理体制を確立します。

【解説】
  災害時には、自助(自分自身を守る)、共助(互いに助け合う)が重要になり、自治の重要性がより鮮明になります。平成23年3月11日に発生した東日本大震災を機に、危機管理、防災等に対する意識も高まり、市政の運営の中の重要な項目の一つとして、この章に位置づけています。「災害等」には、地震、台風、大雨等の自然災害のほか、SARS、鳥インフルエンザ等の伝染病の蔓延等も含みます。
  第1項では、「市民」を主語とし、自助について規定しています。災害に対する備えは、日ごろからの課題であり、社会福祉協議会の災害ボランティアコーディネーター養成講座や愛知県の防災リーダー研修等に市民自ら参加するなど、防災体制を自主的に整備していくことを努力義務として規定しています。
  第2項では、災害時が発生した緊急時の市として共助を進めていくことを定めています。なお、連携する関係機関としては、市社協、警察、保健所などの県、自衛隊などを想定するとともに、災害ボランティア団体などとの連携も視野に入れています。
  第3項では、執行機関が災害発生時に的確に対応し、公助に取り組めるよう、また、できるだけ速やかに復旧できるよう、あらかじめ計画を策定し、その計画に基づき、必要な体制を整えておくことを定めています。


(地域資源の継承)
第23条 市は、市の自然と伝統を後世に残すよう努めなければなりません。
 2 市は、国や他の自治体と連携して五条川流域の環境保全と桜並木の保護に努めなければなりません。

【解説】
  岩倉市には大切にすべき地域資源はたくさんありますが、特に五条川や桜は、これまで市のシンボル的な存在として位置づけられてきました。
  第1項では、「自然」には、五条川、桜のほか、社寺林など様々なものがあります。平成4年に市が岩倉ナチュラリストクラブの協力のもとに出版した「岩倉の自然をたずねて」という冊子には、樹木や草花、鳥や昆虫といった身近な自然が紹介されています。都市化や開発が進み、その中ですべての自然を残していくことは難しいわけですが、自治をという視点の中には、それら自然が地域に住む人の心のよりどころとなったり、その自然を守るということで力を合わせたりすることがあるわけです。伝統についても同じです。岩倉市には、よそに誇れる山車が3台あります。その山車が繰り出す祭りも、後世に伝えたい無形の伝統文化です。
  第2項では、五条川という河川の特性から、流域の自治体との連携について努力義務として定めています。

21 岩倉市の健全を願う者 2013-01-06 15:14:27  [編集/削除]

第5章 条例の実効性の確保
【解説】
  本条例は、市の最高規範として遵守されなければなりませんが、今後新たに整備していかなければならない制度が盛り込まれていたり、努力義務として規定していたりしていますので、進捗管理が必要です。
市政に対する本条例の実効性の確保の方法について、3条に分けて規定しています。

(実効性の確保)
第24条 市長は、市政がこの条例に基づいて行われているかどうかを検証し、その結果を公表するとともに、協働によりその改善に努めます。
 2 市長は、この条例が社会情勢や岩倉市の状況に適しているかどうかを、5年を超えない期間ごとに協働により検証し、その結果に基づいて、必要な措置を講じるものとします。
 3 市長は、市長の附属機関として、この条例を検証し、市民自治によるまちづくりに関する基本的事項について審議するため、岩倉市自治基本条例審議会(以下「審議会」という。)を置きます。
 4 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。

【解説】
  本条例の目的は、「協働によるまちづくりを推進することによって、市民を主体とした自治の実現を図ること」です。そして、その目的のために基本的な制度や守るべき事項を定めています。市政全般が、これらの制度に則っているか、この条例の目的や趣旨に合致しているかなどを検証することを定めています。そして、その検証の結果を市民に公表することとしています。また、うまく行われていないときについては、協働で改善することを努力規定として定めています。
  第1項が、市政の検証を行うことを定めているのに対し、本条は、条例自体の検証を定めています。社会情勢や岩倉市の状況に照らして、適合しているかどうかを協働で検証することを規定しています。
  第1項及び第2項について、それぞれ改善や検証を協働で行うと規定しています。そのことについても実効性を確保するために、附属機関を設置します。附属機関は、地方自治法第202条の3の規定により、法律若しくはこれに基づく政令で定められていない場合は、市の条例で設置について定める必要があります。


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