オープンザプライス (出張問題鑑定団inらて鯖)
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1 オリオン◆orkE.R5GC2 2018-08-12 01:50:34 ID:tKvQSQh6O [編集/削除]
出張問題鑑定団inらて鯖の鑑定結果の一覧です。
秘密の部屋でも鑑定結果の一覧は見られるようにしておきますので、どうぞ見やすい方でご覧下さい。
3 オリオン◆orkE.R5GC2 2018-08-13 10:15:02 ID:tKvQSQh6O [編集/削除]
【質問番号2:ZEROさん】
家に帰ったらついてきていたものなんですけど…
【ついていた男】
https://late-late.jp/mondai/show/460
問題寸評を依頼します。
牛削りさんにお願いしたいです。
【鑑定士:牛削りさん】
ご指名いただきありがとうございました。
心を込めて鑑定させていただきます。
※ZEROさん ⇒ 辛口批評注意
※問題未読の方 ⇒ ネタバレ注意
さて問題を【「男はついていた」という表現について】【人物誤認トリックについて】【アイディアの問題への昇華について】の3点から見ていきたいと思います。
【「男はついていた」という表現について】
「男はついていた」という表現がダブルミーニングになっているというのは面白い気付きだったと思います。
ここではこの表現がフェアかどうかについて考えていきます。どうやって判断するかというと、”もしもトリックを使っていなかったとしてもこの表現を採用するかどうか”という観点からです。
まず、「ついていた」がひらがな表記されていることについて。
「ラッキー」という意味では、普通は漢字を使いません。「ツイていた」などと書く人もいますが、これは好みの問題でしょう。
「憑依」の意味だと、「憑く」という漢字が存在します。しかしこれは常用漢字ではあるものの、日常生活では使わないし、読めない人もある程度いることが想像される難読漢字の一種ではあると思うので、ルビのふれないらてらて鯖においてひらがなで表記するというのも、まあ不自然な理屈ではありません。
というわけで、ひらがな表記についてはフェアと言ってしまっていいでしょう。
<参考>「理由は長ければいいというわけでもないから」http://sui-hei.net/mondai/show/35029 でも、意味の取り違えのトリックが使われています。どちらの意味も漢字表記はできますが、問題文のようにひらがな表記するのが一番自然です。
続いて文型について。
@「ツイていた」とA「憑いていた」とでは微妙に文型が異なる(諸説あり)ということにはお気づきでしょうか。
@は文句なく自動詞ですが、Aは目的語を必要とする動詞です(「〜に」という形なので、他動詞であるという断言は避けます)。
「男はついていた」という文には目的語が存在しないので、@の意味であれば完結しますが、Aの意味であれば不完全な文となってしまいます。「誰に」憑いていたのか、説明が必要ということですね。読む人はここに引っ掛かりを感じるはずです。
とはいえ他動詞で目的語が存在しないパターンも多々あります。文脈から目的語が明らかな場合とか、倒置法を用いている場合とか。今回は二行目の「人」を一行目の省略された目的語とみなし、少し歯切れの悪い倒置法を使ったのだと考えて、眉を顰めながらも納得して次に進むことにしましょう。
<参考>「【禁断の果実】」http://sui-hei.net/mondai/show/11904 では、表の意味と裏の意味とで助詞「に」の用法が変わっていますが、どちらでも自然に通る文章になっています。
【人物誤認トリックについて】
問題文には「男(一行目)」「人」「彼」「男(四行目)」と、人物を指す言葉がいくつか出てきます。
解説を読むと、一行目と四行目とでは「男」の指す対象が異なっており、参加者に登場人物を混同させる意図があったことがわかります。
しかしこのトリックはスマートではありません。
問題文を読んだとき、「『彼』とか『男』とかいっぱい出てきてわかりにくいな。どれが誰を表すのかよくわからん」と思いました。解説を読んでやっと、問題文の意味が理解できました。
この手のトリックは、読者がAだと思っていた人物が実はBであった、という驚きを提供するものですが、この問題に関しては失敗しています。
文中の「男」についても「彼」についても、AだかBだかCだかDだかよくわからないまま参加者は読み進めています。そこに「一行目と四行目の『男』は同一人物だ」という思い込みは生じていないと思います。せいぜい、「わかりにくいけど、普通はこの短い文章の中で『男』が二回出てきたらどちらも同じ対象を指すよなあ」くらいでしょう。
さてそういう心理状態で、「実はこっちがAでこっちがBでしたー」などと明かされても、それはタネ明かしというより不明瞭な文意に関する単なる注釈で、「はじめからそう言えよ」という感想を持ってしまいます。
登場人物の性別を揃えて「男」「彼」という曖昧な表現で混同を起こすというトリックは、下手に手を出すと大けがします。トリックというより稚拙な作文のようになってしまいます。
ちなみに僕は、登場人物の混同をできる限り防ぎたいので、問題文に登場するキャラクターについてはできる限りわかりやすい名前を付けるようにしていました。
曖昧表現による人物誤認トリックは、”そういう表現を使うことに関して、物語上・設定上の説得力ある理由がある”場合に限って使うのがいいと思います。
<参考>乾くるみのあの恋愛小説では、女性主人公が保身のために使ったトリック(物語内部の事情)が、地の文で紛らわしい表現をすること(メタな事情)の説得力ある理由になっています。
【アイディアの問題への昇華について】
全体的に、ダブルミーニングのある一行目以外は無意味だと感じました。
二〜四行目に面白い展開があるわけではなく、一行目を解明するヒントになっているわけでもありません。
「『ついていた』=『憑いていた』」を言い当ててしまえば、そのあとのストーリーはただ「男=悪霊」と代入して問題文をなぞればいいだけです。実際に正解となったNo.25はそのような形の質問になっています。
これは「問題:『男はついていた』これはどういう意味か?」という問題と変わるところがありません。おそらく、ダブルミーニングの思いつきを「何故?」で終わる問題文にするために無理やりくっつけたのが二〜四行目なのでしょう。
正直なところ、「ついていた」のダブルミーニングだけでは、問題にして出題するには早すぎます。こういうネタはストックしておいて、問題として成立させるための閃きが来るのを待つようにしてください。
問題の分析は以上になります。
過去の名作をよく読んで、自分の生み出したアイディアを大切にし、より良い問題を作っていってください。
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