野獣死すべし(1980年)A
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1 @kira 2013-02-25 23:02:45 [携帯]

の画像を貼りましょう。
22 @kira 2013-02-25 23:58:12 [携帯]

伊達『その夢はねぇ・・・どんな狩りでも許されるという素晴らしい夢だったんです』
 
伊達『ところが、その夢がクライマックスに達した頃、惜しいことに目が覚めてしまったんですよ。あたりを見廻すと、小人はもういなかった・・・森の様子も少し変わってた・・・ウィンクルは慌てて、妻に会うために、村へ戻ったんです。ところが・・・・・・妻はとっくの昔に死んでたんですよ。村の様子も全然変わってましてねぇ・・・わかりますぅ?』
 
伊達『つまり・・・ウィンクルが一眠りしてる間に、何十年もの歳月がたっていたんです・・・おもしろいでしょ?』
 
引き金を引く伊達。

23 @kira 2013-02-25 23:58:56 [携帯]

伊達『ところが、その夢がクライマックスに達した頃、惜しいことに目が覚めてしまったんですよ。あたりを見廻すと、小人はもういなかった・・・森の様子も少し変わってた・・・ウィンクルは慌てて、妻に会うために、村へ戻ったんです。ところが・・・・・・妻はとっくの昔に死んでたんですよ。村の様子も全然変わってましてねぇ・・・わかりますぅ?』
24 @kira 2013-02-25 23:59:32 [携帯]

伊達『つまり・・・ウィンクルが一眠りしてる間に、何十年もの歳月がたっていたんです・・・おもしろいでしょ?』
 
引き金を引く伊達。

25 @kira 2013-02-26 00:00:17 [携帯]

柏木『・・・・・・くっ!・・・・・・あ・・・あんたにゃぁ、初めっから妻なんかいなかったじゃないか・・・・・・』
 
徐々に、伊達の話の意味を理解する柏木。
 
伊達『僕の話をしてるわけじゃないでしょぉ・・・リップ・ヴァン・ウィンクルの話をしてるんですよぉ・・・』

26 @kira 2013-02-26 00:05:06 [携帯]

柏木『・・・・・・リップ・ヴァン・ウィンクル・・・・・・小人に・・・・・なんていう・・・名前の・・・酒を貰ったんだ・・・・・?・・・・・・できれば・・・俺も・・呑んでみたいなぁ・・・』
 
冗談まじりに柏木が訊く。
顔からは、血の気が引き、額から冷汗が噴き出ている。
 
伊達『覚えてます。ラム、コァントロー、それに、レモンジュースを少々、シェイクするんです。わかります?』
 
柏木に引導を渡すかのように答える伊達。
 
柏木『・・・・・・X・・・・・・Y・・・・・・Z・・・・・・』
 
柏木、自分の運命を悟ったようにカクテルの名を答える。
 
伊達『そう・・・・・・これで終わりって酒だ』
 
伊達の眼が吊り上がる。
伊達、引き金を引く。
 
柏木『ぐわっ!』
 
空砲。
 
柏木『くぅぅ〜・・・』
 
自分がまだ生きている事が信じられない柏木。
 
伊達『あ・・・あ・・・あはっ・・・あんた、ツイてる・・・』
 
撃った伊達自身も信じられないと言った表情。
柏木の強運に笑いが込み上げる。

27 @kira 2013-02-26 00:05:55 [携帯]

伊達『寝ますか?おもしろかったでしょう?僕も疲れちゃった・・・寝ましょう・・・今日は・・・』
 
徐々に、眼を閉じて行く伊達。
極限の恐怖に限界寸前の柏木。
伊達が眠った事を確認すると、一目散に逃げ出す。
眼を開けて、柏木に向かって発砲する伊達。
銃弾が柏木の肩に命中。
柏木の動きが止まり、ドアの手前で倒れる。
柏木に駆け寄る伊達。
伊達、柏木をひたすら蹴り続ける。
伊達、真田を呼んで柏木を座席に座らせると、再び拳銃のグリップで柏木を殴りつけたり、蹴ったりの暴行を続ける。
感極まる伊達。
 
伊達『戦争だ!戦争だ!』
 
伊達、自分の座席へと走って行く。
 
車掌『お客さん、お客さん、どうしたんです?!』
 
車掌がやって来て、座席で眠っている真田に呼びかける。
真田、目を開けると車掌を睨み返す。
真田の隣にぐったりとなった柏木。
凍りつく車掌。
次の瞬間、ドアが開く。
車掌がドアの方向に目をやると、戦闘服を着た伊達がライフルを構えて立っている。
逃げようとする車掌。
伊達がライフルを撃つ。
被弾した車掌が倒れる。

28 @kira 2013-02-26 00:06:47 [携帯]

インサートされる真田や柏木の写真。
 
柏木『うわぁぁぁ!』
 
ドアの前に立っている柏木。
伊達の狂気に怯えている。
ドアを閉める柏木。
発砲する伊達。
ドアの窓ガラスが割れる。
 
真田『もう、やめよう。金も獲ったし、もうやめよう!な?な?』
 
パニックになった真田が、伊達を羽交い締めにして抑えようとする。
 
伊達『よしよし、よし、わかった。よし、わかった!落着け、落着け!!』
 
真田を逆に落ち着かせようと肩を揺さぶる伊達。
 
伊達『落着け、いいか?落着いたか?深呼吸、深呼吸だ!』
 
真田、深呼吸する。
 
伊達『よぉ〜〜し!一時撤退だ!なぁ!一時撤退!いいか?逃げるぞ!』
 
真田『どこに逃げンだよお?!』
 
伊達『なに?!よぉし、まかしとけ!おい、金持ってこい、金を持ってこい!』
 
真田、バッグを持って来る。
伊達、ライフルで窓ガラスを叩き割る。
車外から風が吹き込んでゴミが散乱する。
真田からバッグを受け取り、窓の外へ投げる。
次に真田を窓から脱出させる。
最後に伊達が脱出する。

29 @kira 2013-02-26 00:11:09 [携帯]

列車シーンについて@
 
列車のシーンは、『野獣死すべし』に於いてのみならず、日本映画にとっても珠玉の名シーンである。
撮影は実際の列車とセットで行われた。
最初は全部、実物の列車で撮影される予定だったが、松田優作が演技に集中する為に頼んで急遽、列車のセットが組まれた。
松田優作も
『いいセットでした。今村さん(美術)が、よくやってくれました。列車内のところでも、クランク・インする何日か前に、無理やり頼んでセットを作ってもらった。あのセットを作ったおかげでね、全然、変わっちゃったから。あれ、セットでなかったら、あんなことはできなかった。今考えたらゾッとするね、あれ、セットでなかったら、どうなってたんだろうって』
と、ベタ褒めだった。
そして、松田優作はセットに負けない素晴らしい演技で答えている。
今では有名になってしまったが、松田優作はこのシーンで瞬きをしていないのだ。
列車のシーンは長回し。
本番一回で撮影された。
シーンの性質上、松田優作と室田日出男のカットの切り返しがあるのだが、これは二台のカメラで撮影されている為、カット毎に撮影した訳ではない。
優作が意識して瞬きしなかったというよりは、演技に集中するあまり、瞬きを忘れていたと言ったほうが近いだろう。
松田優作にとって、こんな事は俳優として当然の事であった。
現在の俳優がこういう事をやると、公開前から、それを売りにしてしまうだろう。
そして、目の演技が凄まじい。
『蘇える金狼』の一年後に同じ俳優がここまで変われるものか。
優作の演技に対する意識レベルに当時の邦画界が追いついていなかった事が残念である。
この演技が製作されずに終わった丸山昇一脚本『荒神』に繋がったであろう事は容易に察しがつく。
優作は『野獣』よりも『荒神』を先に撮りたがっていたくらいで、すでに『野獣』など眼中になかった。
『荒神』が優作のエポックになっていた事は間違いなく、それだけに製作されなかった事が悔やまれてならない。

30 @kira 2013-02-26 00:12:17 [携帯]

列車シーンについてA
 
そして、もうひとつ特筆すべきは室田日出男氏の熱演だろう。
松田優作の狂気の演技ばかりが取り上げられがちだが、室田氏の助演があるからこそ、優作の狂気が浮かび上がるのだ。
これを他の俳優がしれっと演れば、阿呆みたいなもんである。
このシーンは、長回しの一発撮りだった。
最初は平然とした表情の室田氏なのだが、途中からどんどん顔色が変わって行き、クライマックスには顔が汗塗れになっている。
一体、どういう芝居をすれば、こんな事が出来るのだろう。
考えが浅い人間なら、エアコンの温度を上げたんだろうと思うだろう。
ならば、汗が出ていない優作の説明がつかない。
だったら温度を下げたんだろうと短絡的に考える。
だとすれば尚更、室田氏の説明がつかない。
即ち、松田優作、室田日出男、両氏が凄いという証明が成り立つ。
最早、演技を超えているとしか言いようがない。
 
このシーンは、セットで撮影されたものだが、それを感じさせない。
それは、今村氏のセットに依るところが大きいが、もう一人、照明の渡辺三雄氏の功績も忘れてはならない。
渡辺氏と村川組とは、『大都会PARTU』からのつきあいである。
『蘇える金狼』も、渡辺氏が照明を担当していた。
『金狼』と『野獣』では、全くカラーが異なるが、渡辺氏の照明に類似点を見出す事が出来る。

31 @kira 2013-02-26 00:20:30 [画像] [携帯]

現代の[リップ・ヴァン・ウィンクル]伊達邦彦
 
伊達が柏木に語るリップ・ヴァン・ウィンクルの話は、アメリカの作家ワシントン・アーヴィングが1820年に発表した短編集『スケッチ・ブック』に収録された寓話である。
その内容からアメリカ版浦島太郎と呼ばれている。
呑気者の木樵のリップはうるさい妻から逃れる為、愛犬と銃を持って猟に出掛ける。
深い森に迷い込んだリップは自分の名を呼ぶ声を聞く。
それは酒樽を担いだ見覚えのない老人だった。
老人と共に谷を登って行くと数人の男達がボウリングに興じていた。
そして、リップは男達と酒を飲み、知らない間に眠ってしまう。
目覚めると、老人と出会った丘の上にいた。森の様子は変わっていて、銃は錆び、愛犬はいなくなっていた。
リップは老人達の仕業だと思い、彼等を探すが枯れていた筈の谷は川の激流に阻まれていた。
諦めたリップはとぼとぼと家路に就いた。
リップは自分の家を見つける事が出来なかった。
猟に出る以前より家が増えており、アメリカは独立していた。
やっと見つけた家は朽ち果てて誰も住んだいなかった。
村を歩き回ったリップは村人に取り囲まれた。
一人が『おじいさん、銃なんか持ってどうした』と聞く。
リップは『おじいさん?私はまだ若い』と答えるが人々はリップの胸元を指差し笑っている。
リップも自分の胸元を見ると白い髭が伸びていた。
驚いたリップは『誰かリップ・ヴァン・ウィンクルを知る者はいないのか』と叫んだ。
赤ん坊を抱いた若い女が現れ、『それは父です。20年前に山へ行って戻って来ませんでした』



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