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スレッド名 | コメント | 作成者 | 最終投稿 | |
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アルジェリア人質事件 | 6 | manolo | 2013-02-15 05:44:26 | manolo |
マリ紛争 | 9 | manolo | 2013-02-08 00:20:06 | manolo |
格付け会社 | 2 | manolo | 2013-02-06 02:49:16 | manolo |
軍人の良心の自由 | 8 | manolo | 2013-02-04 18:13:16 | manolo |
実名報道 | 3 | はまっち | 2013-02-02 15:48:20 | はまっち |
定年制度 | 5 | manolo | 2013-01-22 19:25:22 | --- |
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アルジェリア人質事件 (コメント数:6)
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1 manolo 2013-01-18 12:50:51 [PC]
出典:朝日新聞、1/18/2013、p.2 1-1. アルジェリア当局や現地報道などによると、16日午前5時(日本時間同日午後1時)ごろ、アルジェリアの首都アルジェの南東約1300キロのイナメナスの天然ガス施設で、重武装の車両3台に乗り込んだ20人ほどにバスが襲撃された。(中略)居住区にいた、少なくとも3人の日本人のほか、英国人、米国人、フランス人、とノルウェー人13人、アイルランド人1人の外国人計40人以上とアルジェリア人150人ほどがとらわれた模様だ。爆弾付きのベルトを着用するように強いられた人質もいるという。 1-2. 武装勢力が外国メディアを通じて出した声明によると、マリに軍事介入したフランス人への報復が目的。服役中のイスラム主義者100人の釈放も要求した。 1-3. 事件の背景には、アルジェリアと国境を接するマリ北部の無政府化にいよって、広大な砂漠地帯が「テロリストの天国」と化していたことがある。マリ北部は昨年4月、反政府勢力「アザワド解放国民運動(MNLA)が一昨年のリビア内戦から持ち帰った高性能の武器で政府軍を圧倒。政府内のクーデターの際、北部全土を制圧し、独立を宣言した。だがアルジェリアやニジェールなどに勢力を持っていた国際テロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)など複数の武装勢力が入り込み、MNLAを駆逐した。 1-4. マリに対する国際支援は遅れた。その隙に乗じて武装勢力は今月10日、南下を開始した。早期介入を主張していた旧宗主国フランスが、南下を阻止するために空爆を始め、地上部隊も導入した。周辺国を含め3万人の仏系住民がいるほか、ニジェールで仏系会社がウランの採掘に携わるなど国益が脅かされてきたことが背景にある。 1-5. アルジェリアは当初、武装勢力を刺激することで自国への波及と報復を恐れ、自国を含め外国軍の介入んは消極的だったが、仏の強硬姿勢に仏軍機の領空通過を許した。武装勢力側には、これがイスラム教徒の国アルジェリアの「裏切り行為」と映った。マリへの軍事介入も相まって、報復へとつながったとみられる。 |
2 manolo 2013-01-18 13:21:57 [PC]
1-6. アフガニスタンを拠点としていた国際テロ組織アルカイダは9.11事件後、米国のテロ掃討作戦により、壊滅的な打撃を受けた。のがれた中東でも摘発を受け、行き場となったのがマリやニジェールなど政治基盤が弱い北・西アフリカの国々だった。この地域は石油や鉱物資源の開発が進む一方で、利益は旧宗主国系の特権階級に独占され、貧富の差が拡大。政府や旧宗主国への不満を抱く若者層が、テロ組織に身を投じる土壌ができていたといわれる。 1-7. 飯塚正人・東京外語大教授(現代イスラム研究)は「破綻しかかった国家の人々の目に武力は魅力的に映り、欧米の搾取に反対する姿勢も共感を呼んだ」と指摘する。さらに、2011年のリビアのカダフィ独裁政権崩壊に伴い、武器と戦闘員が周辺諸国に流れ込んだことも武装勢力の伸長に弾みをつけた。 1-8. 今回、傘下の「血盟団」が実行犯と認めた「覆面旅団」もこうした武装勢力の一つとみられる。アルカイダ系組織との連携があるとされる、北アフリカ・サハラ地域を拠点に活動する「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)から分派した。 1-9. 仏紙ルモンドによると、リーダーのモフタル・ベルモフタル司令官は1972年、アルジェリア中部生まれ、ハリド・アブアッバスとの名前もある。91~93年にアフガンでの戦闘にムジャヒディン(イスラム戦士)として参加した。覆面旅団は200~300人の戦闘員で構成され、アルジェリアのほかにエジプト、チュニジア、シリア人などが参加している可能性があるという。仏紙リベラシオンによると、「隻眼」「ミスターマールボロ」など様々な異名を持つという。 |
3 manolo 2013-01-20 22:17:28 [PC]
出典: 朝日新聞、1/20/2013、p.2 2-1. イナメナスの天然ガス施設は、アルジェリア経済の「生命線」だ。武装勢力はその重要性を認識したうえで襲ったとみられる。軍による早期の制圧作戦からも、外国企業の進出を減速させたくないとのアルジェリア政府の思惑がにじむ。英石油大手BPによると、アルジェリアの天然ガス生産は世界8位(2011年)を誇る。石油と合わせると輸出総額の98%、国内総生産(GDP)の約3割を占める国の屋台骨だ。パイプラインでつながる欧州連合(EU)にとっても、アルジェリアは欠かせない存在だ。イタリアは約4割、スペインは約3割の天然ガスを依存。日本も昨年度、11万トンを輸入した。 2-2. 砂漠に囲まれ、事件現場となったイナメナスでは、BPなどが06年にガス生産を開始。その主要施設を襲われたアルジェリア政府にとって、自体が長期に及ぶことは輸出に影響を与えかねない。英紙ファイナンシャル・タイムズ(電子版)は「欧州のエネルギー市場に影響がでている」と報じた。イナメナスはリビア国境から50キロに位置している。リビアも天然ガスなどの資源に恵まれるが、カダフィ政権崩壊に伴う混乱で、欧州各国はアルジェリアへの資源の依存度をさらに高めることになった。 2-3. また、同時に大量の重火器も武装勢力などに流出。米CNNによると、リビア南部にはイスラム過激派の3拠点がある。英紙ガーディアン(電子版)は米情報会社のアナリストの話として、「外国企業が投資する辺境のプラントは、テロ組織にとって、その国の双方に打撃を与える格好の標的になっている」と伝えた。 |
4 manolo 2013-01-22 23:02:36 [PC]
出典: 朝日新聞、1/22/2013(夕)、p.9 3-1. 【日本人が巻き込まれた主なテロ】 1996年12月 ペルーの日本大使館公邸を左翼ゲリラが占拠。大使ら約600人が人質に 1997年11月 エジプト・ルクソールで銃乱射テロ。日本人観光客10人を含む約60人が死亡 2001年9月 米国同時多発テロ。日本人24人を含む約3千人が死亡 2002年10月 インドネシア・バリ島で爆弾テロ。日本人夫婦を含む外国人観光客ら約200人が死亡 2003年11月 イラク北部で日本人外交官2人が殺害される 2004年5月 イラク・バグダッド近郊で日本人フリージャーナリスト2名が襲われ死亡 2005年10月 インドネシア・バリ島に同時爆弾テロ。日本人1人を含む約20人が死亡 2008年11月 インド・ムンバイで同時多発テロ。出張中の日本人会社員1人を含む約170人が死亡 |
5 manolo 2013-02-15 00:18:50 [PC]
出典: 朝日新聞(社説、川上泰徳(やすのり))、2/14/2013、p. 4-1. アルジェリア人質事件発生からもうすぐ1カ月になる。多くに人命が失われた悲劇はいまも重く胸にのしかかる。国内では自衛隊法改正の動きが出ている。在外邦人の避難や輸送のため、自衛隊による陸上輸送や海外での武器使用基準の緩和が検討されているという。 4-2. 一方で、中東で援助活動に携わる専門家やNGO関係者からは「中東での安全は、地元の人々との信頼関係から生まれる」という声を聞く。危険があれば地元のアラブ人が助けれくれるし、警告もしてくれる。私の経験でもそれが一番頼りになる。中東にいる日本人は、日本の特殊部隊が来て救出してくれるとは考えない。日本大使館の情報収集能力は高くないことも承知している。 4-3. その代り、日本や日本人の強みは中東の人々に好意的に受け入れられることだ。欧米と違い、この地域で植民地や軍事侵攻など負の歴史を持たず、戦後復興と成功の象徴として尊敬されている。日本はエジプトのカイロ大学小児病院建設や、パレスチナ自治区で母子手帳を使った母子保健など「人の命を助ける」援助を重ねてきた。 4-4. 今回事件が深刻なのは、そんな中東で10人もの日本人が犠牲になったことである。事件を起こした「アルカイダ」を率いたビンラディンは2003年秋、イラクに自衛隊を派兵する動きの中で「不当な戦争に参加する国々」として日本を名指しした。当時の小泉首相はアラビア語衛星TVアルジャジーラに出演し、「自衛隊は戦争に行くのではない」と語った。しかし、私は中東で何度も「日本はなぜ、米国の戦争に協力するのか」と質問を受けた。自衛隊は2年半後、駐留を終えた。小泉首相は「自衛隊はイラクで一人も殺さなかった」と伝えるべきだった。 |
6 manolo 2013-02-15 05:44:26 [PC]
4-5. ビンラディンは米軍に殺害されたが、その言葉はインターネット上に残ろる。日本のテロとの戦いは、人々との信頼関係を構築し、「日本敵視」の言葉を切り崩すことだった。日本政府が人質事件で求めた「人命重視」は中東とのかかわりで基本でもある。そんな日本の立場は中東の人に伝わっているだろうか。 4-6. 日本はアラブの民衆に向けて、日本人が殺されたことに対する無念なお思いを日本が行ってきた「命を救う」プロジェクトの実績とともに、発信する必要がある。 |
アルジェリア人質事件 (コメント数:6)
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マリ紛争 (コメント数:9)
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1 manolo 2013-01-31 14:16:37 [PC]
出典: ニューズウィーク日本版、4/4/2012、p.15 1-1. 西アフリカのマリでクーデターが発生した。兵士の反乱のきっかけは、首都バマコ近郊の軍事キャンプを訪れた国防相への抗議行動だった。独立を求めるトゥアレグ人の反政府武装勢力、アザワド解放国民運動(MNLA)と戦う兵士らは、軍の装備が不十分だと不満を抱いていた。MNLAは、昨年のリビア内戦の際にカダフィ政権側で戦った民兵が持ち帰った武器を保有しているとされ、この数カ月間の軍との交戦で相次いで勝利を収めていた。 1-2. マリ北部などの砂漠地帯を拠点とする過激派「イスラム・マグレイブ諸国のアルカイダ組織」と戦うアメリカにとって、マリの戦略的意義は大きい。アフリカの紛争地域にあって過去20年間、比較的安定した民主的国家であり続けたマリで起きた今回の事件は、テロ組織や干ばつによる食糧不足に悩む地域全体にとっても大きな懸念だ。 |
2 manolo 2013-01-31 14:45:35 [PC]
出典: ニューズウィーク日本版、4/18/2012、p.15 2-1. どさくさ紛れの独立宣言は浅はかだったのかもしれない。西アフリカのマリで、軍部の反乱組織がクーデターを起こして政権を奪ったのは先月22日のこと。北部の反体制派に対する対策が甘いとしてトゥーレ大統領は職を追われた。 2-2. このクーデターの混乱に乗じたのが、イスラム系武装勢力の支援によって北部で独立運動を続けてきたトゥアレグ人だ。トゥアレグ人はの主要武装組織アザワド解放国民運動(MNLA)は北部の主要都市の大半を制圧。公式サイトで「4月6日よりアザワド国として独立を宣言する」と一方的に表明した。MNLAの中核を担っているのはシャリア(イスラム法)を敷きたいイスラム主義者たちとみられている。 2-3. しかし彼らの思惑通りにはいかないだろう。マリの政権を奪った反乱部隊は先週、西アフリカ15カ国からなる西アフリカ諸国経済共同体と協議の末、実権を文民政府へ委譲することで合意した。国会議長が暫定大統領に就任し、後に選挙が実施される。 2-4. マリの国家分裂を避けるため、国際社会が介入した形だ。MNLAによる突発的な独立宣言は空虚に響いて終わりそうだ。 |
3 manolo 2013-01-31 15:16:48 [PC]
出典: 朝日、1/16/2013、pp.10 3-1. 西アフリカのマリに対する旧宗主国フランスの軍事介入は、周辺国軍も巻き込んだ終わりも見えない対テロ戦の要素を帯びてきた。フランス軍は、マリ北部を実効支配するイスラム武装勢力南下を阻もうと、13日からは北部の拠点都市への空爆を始めた。 3-2. AFP通信などによると、仏軍は軍用ヘリや戦闘機を投入し、イスラム武装勢力「アンサル・ディーン」などが支配する主要都市のガオやキダルを空爆した。仏軍が空爆による介入を始めたのは、アンサル・ディーンが10日、中部の交通の要所コンナを制圧して南下を始めたことがきっかけ。武装勢力側の死者は数百人に上るとされるが、14日には政府軍が支配する中部の町ディアバルへ侵攻するなど抵抗を強め、戦闘が激化している。 3-3. 周辺国もフランスに続き、自前では戦う力が乏しいマリ政府軍の援護に急いでいる。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、支援部隊を派遣することを決め、すでに一部がマリ入りした。武装勢力を刺激することを恐れて介入に消極的だった隣国アルジェリアも、仏軍の領空通過を認めた。 3-4. ただ、先月国連安全保障理事会が派兵を承認したナイジェリアやセネガルなどの周辺国軍の部隊3300人による本格介入は、訓練の必要性や資金の問題から9月以降になる。オランド仏大統領は介入を「テロとの戦いだ」と強調する。武装勢力側は「フランスはイスラムを攻撃した。フランスの心臓部を狙う」と報復を誓っている。」 |
4 manolo 2013-01-31 15:17:24 [PC]
3-5. 混乱の発端は、一昨年のリビアのカダフィ政権崩壊にさかのぼる。カダフィ政権側に立って戦ったマリの反政府勢力「アザワド解放国民運動(MNLA)のメンバーが高性能の武器を大量に持ち帰ったことから、マリ政府軍を圧倒。政府軍内ではさらに、昨年3月に軍部クーデターが発生。これに乗じて、MNLAはわずか10日余りで北部全域を制圧し、独立を宣言した。 3-6. 無政府化した北部に、アンサル・ディ-ンや国際テロ組織「イスラム・マグレイブ諸国のアルカイダ(AQIM)」など複数のイスラム武装組織が相次いで入り込んだ。テロリストの活動も活発化。世俗の国家建設を求めるMNLAは武装勢力側に駆逐され、北部地域では厳格なイスラム法が適用されるようになっている。 3-7. マリには6千人、周辺国を含めると3万人のフランス系住民がいるほか、隣国ニジェールでは仏原子力大手のアレバがウランの採掘に携わっている。西アフリカ一帯の治安の悪化はフランスの国益への脅威になってきた。仏政府は介入について「必要なだけずっと続ける」とし、部隊の増強を見込む。だが、AQIMは、世界で最も重武装のアルカイダ系組織とも言われ、フランスを敵視している。戦闘が泥沼化し、「第2のアフガニスタン」になることも懸念される。 |
5 manolo 2013-01-31 15:39:27 [PC]
出典: 朝日、1/31/2013、p.10 4-1. マリに介入したフランス軍は、イスラム武装勢力が支配していた主要都市を相次いで制圧するなど攻勢を強めている。武装勢力はジハード(聖戦)を叫ぶが、もともとは民族対立が根底にある反政府闘争だった。関係者らの話から、国際テロ組織アルカイダ系組織がつけ入った実態が浮かび上がってきた。 4-2. マリ北部ガオ、ニジェール川の川辺で男がくつろいでいた。居合わせた地元記者ババ・アメッドさん(24)は、男を囲むアラブ系の護衛に「何者だ」と詰問された。ババさんは「この土地のものです」と丁寧に答えた。身重180センチほどの男は温和な表情を見せ、握手を求めてきた。昨年の6月のことだ。 4-3. 男はアルジェリア人の人質事件を首謀したとされる武装組織「覆面旅団」のモフタル・ベルモフタル司令官。当時は「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の幹部だ。ベルベル人とも呼ばれるアマジグ系とされる。ババさんもアマジグ系のトゥアレグ族出身。ババさんの周囲は「トゥアレグでなければただでは済まなかっただろう」という。ババさんは「ベルモフタルは敵対しないと思ったものには丁寧に接していた」と話す。 4-4. ベルモフタル氏は肌の色がやや薄くアラブ系に近い顔立ちだ。マリ国内で少数派のトゥアレグ族は「白人」と呼ばれ、黒人各民族とは、互いに差別感情が根強い。 |
6 manolo 2013-01-31 15:57:46 [PC]
4-5. この2カ月前、トゥアレグ族の反政府勢力、アザワド解放国民運動(MNLA)が北部を制圧し、独立を宣言していた。MNLAは当初、トゥアレグ族の「民族自決」の行動だった。政府の観光大臣までがMNLAに合流し、政治色も帯びていた。軍事介入した仏軍は「テロとの戦い」を強調する。民族運動はなぜイスラムの聖戦と化したのか。 4-6. トゥアレグ族は1990年代にも複数の組織が武装蜂起したが戦闘は拡大せず、政府と和平を結んだ。当時、反政府組織にいた運転手アリさん(43)は「組織は黒人の家だけを略奪した。民族主義、長年の確執が根底にあったのは今回と同じだ。だが今、ある海田が別の次元のものにした」と話す。 4-7. MNLAはイスラム武装勢力アンサル・ディーンの力を借り、マリ政府と戦った。アンサル・ディーンもトゥアレグ族の組織だった。指導者イヤド・アガリ氏も90年代に民族主義を掲げていた。当時和平交渉に携わったマリ国会のアッサリド副議長は「宗教色は全くなかった」と振り返る。だがアガリ氏は約10年前にパキスタンに渡ってアフガニスタンの現状に触れ、聖戦思想に染まったとされる。 4-8. 長年、武装勢力の取材を続ける「AQMII」(AQIMの仏訳)の著者セルジュ・ダニエル氏(48)によると、03年に旅行者32人が誘拐される事件が起きた。ベルモフタル氏の関与が疑われている。「マリ政府が北部の事情に詳しいアガリ氏に(解放交渉の)仲介を依頼したことでイスラム武装勢力と急接近した」と指摘する。 |
7 manolo 2013-01-31 16:08:24 [PC]
4-9. 独立を宣言したMNLAは、世俗の政権樹立を目指した。だが、アンサル・ディーンを媒介になだれ込んできたAQIMなどには受け入れがたく、駆逐されてしまった。アッサリード副議長は「アガリ氏とMNLAはアルカイダに利用されてしまった。」という。 4-10. ベルモフタル氏はAQIM内で自身の処遇に不満を抱き、昨年末に分派組織を立ち上げたとされる。ダニエル氏は、「(ベルモフタル氏は)息子をオサマと名付けるほどビンラディンを尊敬している。AQIMを出た後、アルカイダ本体から尊敬され、称賛を受けることが一番の望みだった」という。「そのために仏軍介入を口実に人質を取った。一部を殺害し、身代金を取るのが目的だった」と指摘した。 4-11. アラブ諸国からに加え、多くのトゥアレグ族の若者が戦闘に参加している。マリ中部セバレのイスラム教指導者バセドー師(70)は「武装勢力に参加する者は本当のイスラム教徒ではなく、信心もない。貧しいものは容易に説得され、金でかり出される。イスラムの名が金のために利用された。市民を苦しめることは聖戦ではない」と語った。 |
8 manolo 2013-02-07 23:55:04 [PC]
出典: ニューズウィーク日本版、1/29/2013、p.64 5-1. マリへのフランスの軍事介入は少なくとも5つの理由から正当なものと断定できる。 5-2. 第1に、軍事介入はこの地域における反啓蒙主義とのテロの広がりを阻止する意思表示であること。イスラム武装組織アンサル・ディーンを中心とするマリの反政府軍が組織的で訓練された強力かつ凶悪な軍隊であることは、フランス軍ヘリが銃撃されるなど、彼らの反撃を見れば明らかだ。 5-3. 第2に、マリ北部を支配下に置く反政府軍は南部にある首都バマコの制圧を目指しているが、その裏にはアンサル・ディーンの真の狙いがあり、軍事介入はそれをつぶすためのものだ。真の狙いとは、ナイジェリアのイスラム武装組織ボコ・ハラムと手を組んで、モーリタニア、ニジェールのテロ拠点(その標的は欧米だ)を強化することにほかならない。 5-4. 第3に、今回の介入はリビアへの介入と同様、その国の国民を守るための行動だ。豊かな国が内政不干渉を口実に、国境の向こうで悲惨な目に遭っている人々を見捨てる――そんな欺瞞を許せない人々はフランスの介入に拍手を送るだろう。 5-5. 第4に、この介入は「正戦」という古典的概念を再確認するものである。フランソワ・オランド仏大統領は最後の手段として、国連安全保障理事会の決議にのっとり、介入を決断した。作戦には「論理的に妥当な」成功の可能性があり、「あらゆる可能性を考慮して」介入による犠牲は防げる犠牲よりは少ないと判断したのだ。これはまさに「正戦」の条件を満たす決断と言えよう。 5-6. 第5に、今回の介入は、民主主義と偏狭な原理主義との戦いの前線で、フランスがその役割を果敢に果たすという宣言でもある。オランドがサルコジ前大統領のタカ派路線を引き継いだと批判する人たちもいるが、それは問題ではない。フランスは新保守主義と不干渉主義という2つの大罪を克服する新たな戦略的指針を創造しつつあると、アメリカは理解を示すはずだ。 |
9 manolo 2013-02-08 00:20:06 [PC]
5-7. 5つの理由があるとはいえ、現段階では作戦の完了には程遠い状況だ。作戦開始直後、アンサル・ディーンの最高指導者オマル・ウルド・ハマハはフランスが「地獄の門を開けた」と怒りをぶちまけた。アルカイダ系テロ組織がよく使う不吉な脅し文句だが、民間人を危険にさらすという宣言であり、決して侮れない。 5-8. アンサル・ディーンはフランス人の人質をマリ国内で盾に取っていたが、オランドは介入に踏み切った。掛けていた保険が無効になったら、人はどんな行動を取るか。やけになるか、腹いせをするか、取れるものを取ろうとするか。彼らが走る残虐な行為は想像するだに恐ろしい。 5-9. 地上戦は砂漠で戦闘を展開することになる。砂漠ではゲリラ戦は難しいと言われるがそんなことはない。砂丘の砂に兵士が身を隠す、偵察衛星の目をくらまして突然トラックの列が現れるなど、武装組織のゲリラ攻撃にフランス軍の精鋭部隊が手を焼く可能性が大いにある。 5-10. 軍事作戦の展開と併せて、あらゆる手段を行使して政治的解決を探る必要がある。反政府軍に参加している遊牧民のトゥアレグとどう接触するか。彼らの独立要求にどう対応するか。寄せ集め所帯の反政府軍の内部に亀裂はないか。マリの暫定政権の内の誰に民主的な国家再建の任を託せるのか。問題は多くあるが、答えはほとんどない。こうした問題を扱うには、強靭な意志とともに繊細な配慮が必要だ。 |
マリ紛争 (コメント数:9)
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1 manolo 2013-02-06 01:41:56 [PC]
出典: 朝日、2/5/2013(夕)、pp.1~2 1-1. 米司法省は、2008年の金融危機のきっかけとなった住宅ローン関連証券について、不当に高い格付けを与えていたとして、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)を近く提訴する方針を決めた。金融危機を巡って、格付け会社の法的責任を米連邦政府が問う初のケースとなる。(p.1) 1-2. S&Pによると、司法省が問題にしているのは07年に同社がつけた債務担保証券(CDO)の格付け。CDOは、複数の住宅ロ-ンから得られる金利収入などを束ねた金融商品で、証券会社などが作って投資家らに販売した。CDOには低所得者向け(サブプライム)ローンも含まれていたが、S&Pは最上級の「AAA」を与えていた。しかし住宅バブルが崩壊してローンが焦げ付き、CDOの価格も大幅に落ちて、格付けを信用して購入した投資家が損失を被った。 (p.1) 1-3. こうした高い格付けは本来は信用が低いはずの証券に過大なに信用を与え、住宅ローン市場の膨張を招き、08年の金融危機を引き起こしたと非難されてきた。司法省は、高い格付けを与えた背景に、格付けを受ける顧客への営業的な配慮があったと指摘。不正取引をした金融機関に課徴金の支払いを命じる「金融機関再編成再生執行法」を初めて格付け会社に適用する。米国では、司法省が課徴金の支払いを求めるにあたり、民事訴訟の手続きを踏むのが通例。米メディアによると、司法省はS&Pに少なくとも10億ドル(役920億円)の支払いを求めて和解交渉をしていたが、先週決裂したという。S&Pは「米政府も当時、住宅ローン問題は封じ込められると言っていた」と強調。ライバル社も同様の格付けを与えていたとして「提訴は正当性を欠く」と争う姿勢を見せている。(p.1) 1-4. 【格付け会社】 国や企業が発行する債券や金融商品などについて、元本や金利が約束どおり支払われない債務不履行の確立を分析し、アルファベットなど簡単に記号でランク付けする。米S&P、米ムーディーズ・インベスターズ・サービス、欧米系フィッチ・レーティングスが代表的。(p.1) |
2 manolo 2013-02-06 02:49:16 [PC]
1-5. 民間企業でありながら、金融商品の信用に絶大な影響力がある格付け会社には、どこまで法的責任があるのか。あいまいにされてきた問題に、米司法省が切り込もうとしている。(p.2) 1-6. S&Pなど有力な格付け会社は、米国の法律で「公認格付け機関」に認定され、法律は、銀行に自ら投資する際の参考に使うようにも求めている。一方、格付けが適切でなかった場合、どんな法的責任があるのかは明確でなかった。米金融危機の際も格付け会社は「誰もが得られる情報をもとに公正に格付けしていた」「格付けは単なる意見に過ぎず、責任は投資家の判断にある」と主張してきた。 1-7. ただ、多くの住宅ローン関連証券は中身が複雑で、そものそも「本当の信用を」を測るのが困難。それにもかかわらず最上級格付けを与えていたことについては、司法省が問題にしていた「顧客への配慮」があった疑念が消えない。格付け会社は、債券や証券を発行する側から代金を受け取る。格付け側とされる側が結びつき、最終的に投資家が不利益を被る「利益相反」の可能性が潜んでいる。裁判では、この仕組みそのものを問われることになりそうだ。(p.2) 1-8. 日本では、2010年に金融商品取引法が改正され、問題のあるか格付け会社に対し、金融庁が業務改善命令を出せるようになった。今回米司法省が訴えの根拠にしている「金融機関再編再生執行法」では、1件につき最大100万ドル(約9200万円)の民事課徴金が課される。米ジョージ・ワシントン大のジェフリ-・マンズ准教授は「(敗訴すれば)格付け会社の事業モデルは再考を余儀なくなくされる可能性がある」と話す。(p.2) |
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軍人の良心の自由 (コメント数:8)
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1 manolo 2013-01-31 22:46:34 [PC]
出典: ジュリスト、5/1&15/2011(合併号)、No.1422、有斐閣、水島朝穂早稲田大学教授、pp.36-42 1-1. 国家目的としての「安全」、国家目標としての「平和」、国家任務としての「防衛」の概念は、等号で連結することのできない際どい問題性を孕んでいる。(p.36) 1-2. 現代における国家の役割は、「安全」領域において大きく変化している。いずこの国においても、その変化は、程度や重点の違いこそあれ、国家目標としての「平和」との関係でさまざまな問題を生じさせている。一般に「安全」は「危険〔またはリスク〕・脅威の不在」と理解され、客観的安全(現実の危険の不在)と主観的安全(危険からの不安の不在)とに区分される。後者は「安心」と安易に等置される傾きがあり、国家は「安全・安心」のパローレ(標語)のもと、主観的安全領域にまでウィングを広げ、憲法との鋭い緊張関係を惹起している。そして近年、国家任務とされることのある「防衛」領域において、国家の役割の本質にかかわる現象が看取される。ここでは2つだけ指摘しておこう。(p.36) 1-3. 1つ目は「防衛」にかかわる国家のコア領域における「民営化」の傾向であり、その現象形態が民間軍事会社(PMC: Private Military Company)である。アフガン戦争やイラク戦争では、本来軍隊が担ってきた任務のかなりの部分に、民間軍事会社がコミットしている。端的な数字を示すと、1991年の湾岸戦争当時、米軍人50人から100人に対して民間軍事会社の請負人(contractor)は1人の割合だったものが、2003年のイラク戦争では10対1になったというのがその一例である。その結果、2010年1月~6月にアフガンとイラクで死亡した米軍人は235人だったが、同じ期間で請負人の方は250人に達する。民間軍事会社は、直接戦闘行為に参加する、限りなく傭兵に近いものから、要人警護や軍事訓練、情報についてのコンサルティング業務、兵站(ロジスティック)機能全般の支援に携わるものまで、その活動のレンジはかなり広い。請負人は「非戦闘員」だが、実質は「武装した民間人」あるいは「軍服非着用の戦闘員」である。そこには国家による「暴力独占」の「ゆらぎ」があらわれている。(pp.36-37) |
2 manolo 2013-02-01 00:09:02 [PC]
1-4. 2つ目は「防衛」概念の変化である。一般に国家任務としての「防衛」は、伝統的に、領土・領海・領空の確保が主たる任務であり、その対抗すべき相手は国家ないし国家群である。しかし、冷戦の終結により、旧ソ連やワルシャワ条約機構のような対抗国家や国家群が存在しなくなったため、そこにおける紛争は、U・ベックが「わが仮想(ヴァーチャル)戦争」と呼ぶ「新しい世界内政治のタイプ」にシフトしてきた。「防衛」概念も、空間軸と時間軸において変化している。(p.37) 1-5. 空間軸では、天然資源や市場、それへのアクセスは「死活的安全保障」と観念され、それを地球規模で確保することが軍の主たる任務とされる。「国土」防衛から「国益」防衛への重点移行である。例えばドイツの『防衛白書2006』は連邦軍の任務がグローバルな「ドイツの利益」を基準として決められることを明確にして注目された。(p.37) 1-6. 時間軸では、「脅威」の内容と程度に応じて、自衛権行使の要件をクリアしない段階でも、事前、前倒し、予防的な行動を正当化する動きが生まれている。米ブッシュ政権の「国家安全保障戦略」(2002年9月)における「先制攻撃(preemptive strike)」は、近年におけるその突出例である。この延長戦で、2003年3月20日イラク戦争が始まった。(p.37) 1-7. この戦争は、国連の軍事的強制措置ではおよそなく(国連決議なし)、また自衛権行使の要件も充足しないままの武力行使だった。開戦の理由とされた「大量破壊兵器」が存在しなかったことは、今や周知の事実である。この戦争に対してドイツの職業軍人(階級は陸軍少佐)が、「良心の自由」(Gewissensfreiheit)に基づく命令拒否という形でこれに反対した。国家の役割が変容するなか、軍人という、本来その基本権が最も制限されすい世界にいる個人からの問題提起として興味は尽きない。(p.37) |
3 manolo 2013-02-03 21:35:19 [PC]
1-8. 北大西洋条約機構(NATO)の中距離核兵器配備をめぐって反核運動が活発化した1983年9月、核配備に反対するドイツ軍連邦軍の将校・下士官200人ほどが、ワークショップ「ダルムシュタット・シグナル」(Arbeitskreis Darmst?dter Signal)を結成した。軍人の基本権(基本法17a条)を積極的に行使するという立場から、軍の任務を「国防」に限定し、外国出勤の拡大に反対するなどの批判的意見を公表してきた。フローリアン・プファフ(Florian Pfaff)少佐もその一人である。彼が戦闘職種でなく、後方支援部門で情報管理のソフトウェア開発に従事していた。(pp.37-38) 1-9. イラク戦争が始まると、ドイツは表向きはこれに反対したが、在独米軍基地の使用から各種の便宜供与に至るまで、背後ではさまざまな対米協力・支援を行ってきた。問題となったソフトも米軍が使用することが判明したため、2003年4月、プファフ少佐は「イラク戦争は国際法違反でかつ違憲であるからこれに協力することはできない」として、当該ソフト開発に携わることを拒否した。直属上司の命令は、「イラク戦争についての貴官の個人的意見や、貴官がこの戦争についての軍の姿勢をどう評価するかにかかわらず、確実に、このこと〔同少佐の任務〕をなすことを命令する」というものだった。(p.38) 1-10. 命令拒否を表明するや、プファフ少佐は連邦軍中央病院精神科に1週間、検査入院をさせられた。(中略)北部ミュンスター部隊服務裁判所は2004年2月9日、イラク戦争をめぐる争点には立ち入らず、同少佐の命令違反を形式的に認定し、大尉に降格する判決を下した。少佐と軍がともに連邦行政裁判所に控訴。2005年6月21日、連邦行政裁判所第2軍務部は、イラク戦争についての「重大な法的疑念」を鮮明にしつつ、同少佐の「良心の自由」に基づく命令拒否を認容し、1審判決を取り消した。(p.38) |
4 manolo 2013-02-03 22:38:53 [PC]
1-11. 【連邦行政裁判所判決(判決のポイント)】 (1)イラク戦争の国際法違反性 連邦行政裁判所は、イラク戦争について、「国連憲章の武力行使禁止および他の現行国際法に鑑み、すでに当時、重大な法的疑念が存在した」と認定し、「この戦争のために、米国および英国の政府は、授権される国連安保理決議にも、国連憲章51条により保障される自衛権にも依拠することはできなかった」とした。そして、「かかる正当化事由なしに……国連憲章の国際法上の武力行使禁止を無視し、軍事力に訴える国家は、国際法に違反して行動している。それは軍事的侵略(Agression)を犯すものである」とまで断定した。また判決は、「国際法違反の戦争を計画かつ遂行したNATO加盟国は、国連憲章のみならず、同時に、NATO条約1条〔「(武力行使を)国際連合の目的と両立しないいかなる方法によるものも慎む」〕にも違反する」と指摘。NATO条約も、NATO軍の地位や駐留に関する一連の協定も、「国連憲章と現行国際法に反して、ドイツ連邦共和国が、NATO加盟国の国際法違反の行動を支援するいかなる義務も予定してない」と判示した。判決はまた国連憲章103条(「国際連合加盟国のこの憲章に基づく義務と他のいずれかの国際協定に基づく義務とが抵触するときは、この憲章に基づく義務が優先する」)にも言及し、国連憲章違反の軍事行動の義務がないことを周到に根拠づけた。(p.38) 1-12. (2)国際法違反の戦争に協力することの違憲性 判決はまた、連邦軍の主たる任務を「防衛」(基本法87a条1項)にあるとしつつ、「『防衛のため』の連邦軍の出動(Einsatz)」は常に、『軍事的攻撃』に対する防衛としてのみ許されるのであって、経済的または政治的利益の追求、達成および確保のためではない。『防衛のため』以外には、連邦軍の兵力は基本法87a条2項の憲法規範が強行的に規定するように、これを基本法が『明文で』許容する限度においてのみ出動が許される」と判示している。判決は連邦憲法裁判所の1994年7月12日判決(アドリア海・ソマリア出動)を踏まえ、基本法24条2項の相互的集団安全保障に基づく出勤を「国連憲章に適合する限りで」認めている。だが、イラク戦争には国際法上の「重大な疑念」があり、「(連邦政府による)支援提供が国際法上許されるかに対して、重大な法的疑念が存在する」とした。(pp.38-39) |
5 manolo 2013-02-04 01:03:25 [PC]
1-13. (3)良心の自由に基づく命令拒否-批判的服従 軍人法11条第1項は、「軍人は上官に従わねばならない。軍人は上官の命令を、最善を尽くして完全に、良心的にかつ遅滞なく遂行しなければならない。命令が人間の尊厳を侵害し、又は役務外の目的でなされた場合は、それに従わなくても不服従にはあたらない。……」、同2項は、「命令によって犯罪行為をなすことになる場合は、その命令に従ってはならない。にもかかわらず部下が命令に従ったときは、それにより犯罪行為がなされることを知っていた場合、又はそれを知りうる状況下に明らかにある場合でなければ、部下は命令に従ったことの責任は負わない。」と定める。判決は、この軍人法11条1項に基づく命令の性格についてこう述べる。 「与えられた命令を『良心的に』(最善の力で完全に遅滞なく)遂行しなければならないという、連邦軍軍人の中心的義務は、無条件の服従ではなく、共に考える(mitdenken)、とりわけ命令遂行の結果を、現行法の制限と自らの良心の倫理的『境界領域』を顧慮して、よく考えてなす服従を求めている」。そして、次のように続ける。 「基本法および軍人法から服従の法的限界が生じる」「軍人は、良心の自由の基本権の保障(4条1項)に依拠できるときは、与えられた命令を、不当で要求できないものとしてこれに従う必要はない。基本法4条1項の保護作用は、兵役拒否者としての承認を求める権利(4条3項)によって排除されない」。さらに、「軍人は、良心の自由の基本権によって保障される良心の決断をなしたときは……自己の良心の要請に従って行動することを、公権力によって妨げられない請求権を有する。」と。(p.39) |
6 manolo 2013-02-04 16:50:59 [PC]
1-14. 【3. 違法な戦争と批判的服従-判決の意義】 第1に、イラク戦争の国際法違反性について周到に論証したことだろう。判例解説の類には違憲性を明確にしたとするものもあるが、本判決はドイツ政府の支援協力との関係で、基本法26条(侵略戦争の違憲性)には言及していない。つまり政府の行為を基本法26条違反とは直接断定していないのである。連邦憲法裁判所の権限領域に踏み込むことを考慮したものと見られる。もっとも、本判決は、基本法87a条1項の「防衛」概念の法的確定を通じて、イラク戦争への直接・間接の支援協力が基本法からの逸脱にあたることを明らかにしている。その意味では、実質的に違憲と言ったに等しい。(p.39) 1-15. 第2に、軍人の服従義務の法的限界を明確にしたことである。「盲目的服従」や「無条件服従」を否定し、「共に考える服従」について述べている。上官の命令が「人間の尊厳」を侵害するかなどについて、部下がその信条に照らして考えた上で服従するというのは、厳格な命令・服従関係を特徴とする軍隊ではかなり異例と言えるだろう。だが、ドイツ連邦軍はナチス時代への反省から、後述するように、国家目標としての「平和的国家性」に適合的な軍隊のありようを創設以来追求してきた。「命令は命令だ」という、「悪法も法である」式の考え方を否定し、「人間の尊厳」(基本法1条1項)に反する法律・命令は存在することが許されない。本判決は、連邦軍創設の理念を、命令・服従関係の場面でより明確にしたという点で意味があろう。(p.38) 1-16. 第3に、従来、基本法4条3項の「良心的兵役拒否」(KDV)に関する判例は存在したが、職業軍人の命令拒否が「良心の自由」の観点から判断されたのは珍しい。その意味で、4条3項の良心的拒否権は、文字どおり「良心的理由に基づく戦争役務拒否権」(Reicht auf Kriegsdienstverweigerung aus den Gewissengr?nden)と理解するべきであろう。従来、この権利は徴兵される兵役義務者の問題(一般社会から軍隊社会への過程における権利)として捉えられてきたが、本件において、職業軍人(将校)もまた、「良心の自由」を主張して戦争役務を拒否できることが確認されたわけである(軍隊社会内部における権利)。(pp.39-40) |
7 manolo 2013-02-04 17:04:41 [PC]
1-17. 〔プファフ少佐〕まもなく判決から6年になるが中佐への昇進はないという。(p.40) 1-18. その後、2007年3月、同じ「ダルムシュタット・シグナル」のメンバーのJ.ローゼ中佐(第4防衛管区司令部参謀将校)が、「トルネード多目的戦闘機のアフガン派遣は国際法および基本法に違反する」という自己の良心に基づき、アフガンへの燃料輸送トレーラー隊の移動を組織する任務を拒否した。それがもとで、中佐は退役させられた。(p.40) 1-19. なお、2009年9月4日には、アフガン北部で、ドイツ連邦軍のG.クライン大佐の命令で、川岸のタンクローリーの対する誤爆に近い攻撃が行われ、住民を含む142人が死亡するという「クライン大佐事件」が起きた。「防衛」概念を拡張して、「ドイツの利益」「国益」防衛1のため、軍の外国出動が活発化する中で起きた事件である。ちなみに、大佐の退役はない。(p.40) 2-20. 現代国家の変容のなかで、「防衛」領域における憲法的統制の枠組みが、議会や裁判所のプラクシスを通じて確保されていることを見てきた。日本の場合はドイツよりも徹底した平和主義条項(憲9条)を持ちながらも、その実現のためのプラクシスにおいて課題を残している。そうしたなか、名古屋高裁2008年4月17日判決(判時2056号74頁)が、平和的生存権を「複合的権利」として構成し、とりわけその自由権的側面において、9条違反の行為に加担・協力を強制された時は、裁判所に違憲行為の差止めや損害賠償請求ができるとした点は注目される。また、岡山地裁2009年2月24日判決(判時2046号124頁)が平和的生存権の内容構成に関連して、「徴兵拒絶権、良心的兵役拒絶権、軍需労働拒絶権等の自由権的基本権として存在し、また、これが具体的に侵害された場合等においては、不法行為法における被侵害法益としての適格性があり、損害賠償請求ができることも認められるというべきである」とした点も重要である。「徴兵拒否権」と「良心的兵役拒否権」の区別について自覚があるのか、また、「軍需労働拒絶権」は、私企業(軍需産業)での特定態様の労働(戦争協力のための輸送、兵器の生産等)を拒否することで、軍需労働拒絶により解雇されない権利まで含むのかどうかは明確でないものの、平和的生存権の具体化に向けた萌芽的試みと言えよう。(p.42) |
8 manolo 2013-02-04 18:13:16 [PC]
【訂正】 1-3. 誤 民間軍事会社は直接戦闘行為に参加する、 正 民間軍事会社は直接戦闘行為に関与する、 1-5. 誤 …それへのアクセスは「死活的安全保障」と観念され、 正 …それへのアクセス者「死活的安全保障利益」と観念され、 1-6. 誤 この延長戦で… 正 この延長線で… |
軍人の良心の自由 (コメント数:8)
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実名報道 (コメント数:3)
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1 はまっち 2013-02-02 15:32:14 [PC]
実名報道により事件への関心が生まれる2013/02/02 毎日NP 【薬剤エイズ】 みんなの党参院議員(東京選挙区)の川田龍平さん(37)は、危険な血液製剤で「薬害エイズ」に感染した被害者として、民事訴訟係争中に実名を公表した。 「それは19歳の予備校生の時。訴訟が山場にさしかかっていた。多くの人に薬害エイズのことを知ってもらいたかった。問題に関心を持ってもらいたかったし、裁判に勝ちたかった」 川田さんの実名公表は、薬害エイズの深刻さを社会に訴える大きな力になった。「実名が出たことで周りの人が応援してくれるようになった。既に公表していた人もいたが、未成年で家族とともに、顔も名前も出したことから反響がとても大きかった」という。 【9.11】 東京都目黒区の住山一貞(すみやまかずさだ)さん(75)は2001年9月11日に起きた米同時多発テロで、銀行員だった長男、杉山陽一さん(当時34歳)を亡くした。 事件の数時間後、銀行から「氏名を公表してよいか」と電話で問い合わせがあり了承した。「やむを得ないなと。ああいう事件だから出るのは当然だと感じた。当時は行方不明だったから情報が得られるとも思った」 時間がたって気持ちはより前向きに変わった。「<米国の事件>という見方が次第に広がっていったから『日本人だってこんな被害者がいるんだ』と社会にアピールしたくなった。名前があるのとないのとでは、受け取る側の重みは違う。名前が出たことで、交流のない人からも電話で励ましを受けた。ご家族によっては嫌という人もいるかもしれないが、私は実名を出してよかった」と振り返る。 今、ニューヨークなど米国の3カ所に陽一さんら同時多発テロの日本人被害者の氏名を刻んだ記念碑が建っている。「これは米国が続く限りなくならない。よかったと思う」 |
2 はまっち 2013-02-02 15:47:35 [PC]
メディアの自主性の任せると、本人の許可を取らずに実名報道を行う (2013/01/26 伊藤和子 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長) 今回、日揮の意向により、人質となられた方の氏名はしばらく公表されず、「家族の強い意向」とされた。こうした事件でのメディア・スクラムの過熱と家族の意向を考えれば、賢明な判断だったと思う。 ところが、朝日新聞等がこうした意向に反して実名を報道し(報道によれば遺族との約束を破って実名公表したとされる)、政府も最終的には実名公表するに至った。 実名報道の取材で被害者がダメージを受ける 観光旅行に行って殺害された女性等には「甘かったのではないか」、ジャーナリストや人道支援家には「危険なところに行った判断が間違っていたのではないか」と非難し、プライバシーを暴き立ててきた。 無事で帰ってほしいと祈る家族、死去を知らされて本当に大きなショックを受け、立ち直れずにいる遺族の方々に、情け容赦なく、何ら関係もない報道関係者が取材合戦・会見要求をし、居丈高に私生活に介入し、追い打ちをかけるようなストレスを与えてきたのだ。 それは暴力的であり、第四権力ともいわれる権力をかさに着た強制的なものであり、脆弱な個人が太刀打ちできるようなものではない。 私自身は、2004年のイラク邦人人質事件の際、人質になった一人と親交があったので、ご家族に頼まれて様々なサポートをしたことがある。 この事件では、三人の人質の実名が公表され、新聞に大きく顔写真が掲載された。そして自宅には報道陣が殺到した。しかし、事前に家族などにメディアが了解をとって実名を公表した形跡はない。 犯人グループが自衛隊撤退を求めたために問題自体が政治性を帯びてしまったことも影響しているが、家族はメディアに連日さらされて、その一挙手一投足が詳細にメディアに取り上げられ、家族へのバッシングが人質バッシングにつながった。プライバシーを侵害したり、憶測に基づくひどい報道が雑誌を中心に相次いで報道され、あまりにも心無い報道に、「犯罪に巻き込まれただけでなぜこんなプライバシーまで書きたてられるのか」と愕然とした。 |
3 はまっち 2013-02-02 15:48:20 [PC]
取材を受ける側はメディアのプレッシャーで拒否できない】 救出されて帰国した直後、人質になった三人の方は、無防備にカメラのフラッシュの放列にさらされ、恐怖を覚えたようだ。 自宅に帰る前に一時滞在した都内のホテルで、メディアの方々とやりとりをしたことを覚えているが、毎日本人の声を拾うためにホテルの前で待ち続けていたメディアは怒りやいらだちを隠そうとせず、「あれだけみんなに心配をかけたのだから、会見を開いてほしい、いつ開くのか。」と迫り、「いつまでも会見を開かないと、我々の三人に対する報道姿勢はいよいよ厳しくなりますよ」と脅してきた。 被害直後に事件を思いおこすということはそれ自体フラッシュバックを伴うものであり、大勢の人間の前で声を大にして事実関係を微細にわたり問い詰められる「会見」というものは精神的に著しい負荷である。精神科医はもちろんストップをかけた。2004年の事件の場合、「判断が甘かったのではないか」などと徹底して責められるという恐怖も甚大であった。 本人の心身が少し回復したタイミングにようやく会見を開いたわけだが、そうした対応も批判された。 週刊誌のなかには、いまだに「あの人は今」という記事で、元人質だった方に悪罵を投げつけるような報道をする社もある。 →「取材の拒否は社会正義上、悪」という刷り込みを受け、本人が嫌でも取材にさらされダメージ受ける=Forced Choice |
実名報道 (コメント数:3)
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定年制度 (コメント数:5)
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1 manolo 2013-01-22 17:55:22 [PC]
出典:週刊東洋経済、1/26/2013、pp34-73 1-1. 今年4月、高齢者雇用安定法の改正により、定年に達した従業員について、65歳までの雇用確保がすべての企業に義務化される。企業は原則、希望する全員に対し、①再雇用②定年引き上げ③定年廃止、いずれかの措置を取らなければならない。04年の法改正により、すでにこうした雇用確保措置は導入済みだ。だが、従来は労使協定で定めた基準に基づき、企業は再雇用する社員を〝選別すること〝が許された。今度の改正では、それができなくなる。(pp.36-37) 1-2. 以前から希望者の大半を再雇用している企業も少なくないが、こうした企業も影響は不可避だ。現在は60歳から老齢年金が支給されているため、セカンドライフを求め、再雇用を希望しない人も全体の25%いる。だが、4月以降、老齢年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられる。再雇用を希望しなければ、無収入の期間が生じてしまう可能性があるため、60歳定年者の9割超は再雇用を希望するようになるとみられる。(p.37) 1-3. 内閣府が行った「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(10年度)によれば、「今後も仕事を続けたい」と思っている日本の高齢者の割合は9割近く、世界的に見ても、その就労意欲は高い。経験と能力を生かし、働き続けたいと思っている高齢社員にとっては、今回の改正はウェルカムだろう。(p.38) 1-4. 一方、企業にとっては悩ましい。みずほ総合研究所のシュミレーションによると、人件費の増加は、13年度では0.4兆円程度と限定的だが、対象者が増えるにつれ拡大し、25年度には1.9兆円程度押し上げるられる計算。サントリーの場合、60歳を迎える社員は例年約90人おり、十億円の費用増となる模様だ。(pp.38-39) 1-5. NTTはこれに対応するため、今秋から40~50代の賃金カーブを実質引き下げる意向。現役世代の賃金を抑制し、再雇用者の賃金を原資とする考えだ。経団連でも春闘に向けて賃金カーブの見直しを提唱している。高齢者の雇用確保のため若者やミドルなど現役世代に負担を強いる施策とも受け取れ、世代間の不公平感を助長しかねない。(p.39) |
2 manolo 2013-01-22 18:11:57 [PC]
1-6. 人件費だけだけではない。「65歳まで働く意欲を維持できる仕事を、各人にマッチングするのは大変」(化学メーカー幹部)。グローバル競争や技術革新に対応できないシニアが膨れれば、組織の新陳代謝が停滞するおそれもある。人事担当者は対応に頭を悩ませている。(p.39) 1-7. それでも、「日本にとって高齢者は競争力の源泉」(大久保幸夫・リクルートワークス研究所長)。少子高齢化により、今後日本の労働力人口は細っていく。労働政策研究・研修機構によると、30年の労働力人口は悲観的シナリオで5500万人弱と、10年に比べ約850万人も減る見通しだ。高齢者の労働参加なしには、経済成長を維持することは難しい。経験豊富で元気なシニアを有効活用できるかどうかが、企業の浮沈を左右する。(p.39) 1-8. 【主要企業でも「65歳定年」を取り入れ始めた】 ①トヨタ自動車: 工場で労働時間を半分に短縮する「ハーフタイム勤務」の本格的導入を検討 ②NTT: 2013年秋から新制度を導入。能力に応じて再雇用者の給与引き上げる一方、現役世代の処遇は引き下げも ③ダイキン工業: 2001年にほ希望者全員を65歳まで再雇用する制度を導入。65歳まで働ける「シニアスキルスペシャリスト」も ④サントリーHD: 2013年4月から65歳定年制を導入。給与水準も60歳時の6~7割に引き上げ ⑤大和ハウス: 2013年4月から65歳定年制を導入。嘱託として再雇用している現在より、ボーナス増など処遇引き上げ ⑥YKK: 2025までに定年を段階的に65歳に引き上げ、長期的には定年制廃止も検討(p.38) |
3 manolo 2013-01-22 18:56:50 [PC]
1-9. 【改正高齢法による影響のシュミレーション(堀江奈保子)】 2013年4月1日、改正高年齢者雇用安定法が施行される。この改正で、定年に達した人を引き続き雇用する「継続雇用」(再雇用)の対象者について、労使協定で基準を定められる仕組みが廃止。企業は希望者全員を、段階的に65歳になるまで再雇用することが義務づけられる。これに伴い企業の人件費負担はどう変わるか。以下では、二つのケースについて、企業用の人件費負担の変化を比較したい。(p.40) 1-10. ケース1: 再雇用の基準撤廃により、「これまで基準を満たさずに退職していた人」「これまで再雇用を希望してこなかった人」全員が再雇用される場合 賃金総額の押し上げ額 人件費に対する割合 2013年度 0.4兆円 0.22% 2020年度 1.1兆円 0.57% 2025年度 1.9兆円 0.99% ケース2: 再雇用の基準撤廃と年金支給開始引き上げにより、「基準を満たさず退職していた人」「再雇用を希望してこなかった人」の一定程度が再雇用される場合 賃金総額の押し上げ額 人件費に対する割合 2013年度 0.1兆円 0.06% 2020年度 0.3兆円 0.16% 2025年度 0.6兆円 0.28% (p.41) 1-11. 財務省の「法人企業統計」によれば、企業の人件費(役員・従業員の税・社会保険控除前の賃金・賞与)は、01~10年平均で年195兆円程度だ。(中略)01~10年における企業の人件費総額の平均伸び率が年0.1%と、ほぼ横ばいであることを考えると、法改正による高齢者雇用に関する企業の人件費負担増は消して小さくない。(p.41) 1-12. もし企業が今後も人件費を横ばいで維持しようとすれば、高齢者雇用に伴う人件費が増大するかぎり、ほかの労働者の賃金水準要求や新規採用の抑制に影響する可能性は否定できない。企業にとって高齢者の雇用をコストにしないためには、高齢期でも高い生産性を発揮する人材を計画的に育成することや、生産性に見合った賃金制度を導入することなどが課題となるだろう。(p.41) |
4 manolo 2013-01-22 19:24:46 [PC]
1-13. 【海外(米国、欧州)】 海外でも日本と同様、現役期間を延長する動きが顕著だ。世界に先駆けて定年制を廃止したのは米国。1967年に「雇用における年齢差別禁止法」が成立した。賃金カーブがフラット、かつ雇用も比較的容易であり、年齢ではなく評価によって雇用の可否を判断する、実力主義を貫いている。(p.44) 1-14. 欧州でも定年は引き上げられつつある。英国が従来65歳だった定年を2011年に廃止。選択定年制のスウェーデンも、法定低年齢は最長67歳だ。ただ欧州の場合、実力重視の米国とは、定年廃止・延長の意味は異なる。「年金の支給開始年を引き上げるため、高齢者に長く働いてもらおうという趣旨」(労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎・統括研究員)だ。(p.44) 1-15. 欧州では、70代後半から80年代にかけて若年層の失業率が高まったことを受け、障害年金の適用範囲を拡大するなどして、高齢者の引退を促した。だが、若者の失業率改善の効果は薄く、失敗。社会保障に充てる財源も厳しく、01年ストックホルムで開かれた欧州サミットでは「アクティブ・エイジング」の理念の下、高齢者の就業率50%を目標とするなど、再び高齢者雇用促進に舵を切った。 1-16. 揺れる欧州を象徴するのがフランスだ。社会党のオランド氏は12年、大統領選に勝利すると、サルコジ前政権時代に62歳へと引き上げた年金の支給開始年齢を60歳に戻したのだ。フランスでは労働者の権利意識が強く、サルコジ時代の高齢者冷遇をめぐっては、たびたび反対のデモが発生した。オランド大統領の決定は大統領選での公約の実現だが、財政運営上、「現実的でない」という批判も少なくない。(p.44) 1-17. 国 平均退職年齢(08年、歳)、法定定年年齢(09年、歳)、制度の特徴、今後の方針 ドイツ 61.7、65、2029年までに年金の支給開始を67歳に引き上げ フランス 59.3、60~65、年金の支給開始引き上げに、労働者の反発が強い イタリア 60.8、男65 女60、北欧に倣い、17年に定年を67歳に引き上げ ギリシャ 61.4、男65 女60、財政緊縮策として、定年延長措置などを検討 スウェーデン 63.8、61~67、61歳から67歳までで定年を選べる制度 英国 63.1、男65 女60、1年4月以降、年金支給は将来68歳に (p.44) |
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定年制度 (コメント数:5)
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