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スレッド名 | コメント | 作成者 | 最終投稿 | |
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ピン!と感じる胸チラ | 1 | 名無し | 2020-02-20 04:35:04 | 名無し |
部分フェチ大爆発 | 1 | 名無し | 2020-02-20 04:00:24 | 名無し |
医療費抑制 | 7 | manolo | 2017-08-28 02:29:05 | manolo |
戦没者追悼 | 5 | manolo | 2017-05-28 13:14:38 | manolo |
最高裁判事選出 | 3 | manolo | 2016-11-02 00:48:07 | manolo |
グローバル企業 | 5 | manolo | 2016-09-16 17:41:05 | manolo |
わいせつ | 16 | manolo | 2016-08-26 00:28:26 | manolo |
南シナ海領有権問題 | 10 | manolo | 2016-03-09 00:30:39 | manolo |
難民 | 7 | manolo | 2015-09-20 14:22:48 | manolo |
謝罪と和解 | 6 | manolo | 2015-08-12 23:56:34 | manolo |
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ピン!と感じる胸チラ (コメント数:1)
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1 名無し 2020-02-20 04:35:04 [URL] [PC]
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ピン!と感じる胸チラ (コメント数:1)
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部分フェチ大爆発 (コメント数:1)
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1 名無し 2020-02-20 04:00:24 [URL] [PC]
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医療費抑制 (コメント数:7)
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2 manolo 2017-08-28 02:11:35 [PC]
1-2. モデルとなるのは、1999年に英国で設立された国立医療技術評価機構(NICE(ナイス)=National Institute for Health and Care Excellence)。政府は日本版NICEのあり方について厚生労働省の専門部会などで検討し、年内に結論を出す。薬の費用対効果を評価する仕組みも英国にならう。寿命を1年延ばすのに必要な新薬の費用を計算し、既存の薬と比較して、あらかじめ設定した基準額を上回れば値下げする。基準額は、国民意識調査などを踏まえて設定する方針だ。 1-3. こうした仕組みを設けるのは、医療費が増え続けていることが背景にある。2015年の医療費は約42兆円で、団塊の世代がすべて75歳を超える25年には推計で54兆円になる。とりわけ最近は高額薬が医療費を押し上げている。日本では効果と安全性が認められた薬は高額でもすべて公的保険の対象となる。患者は少ない自己負担で使えるが、その分、保険料や公費で賄う負担が増える。 1-4. 英国の医療費はほとんどが公費で賄われる。そこで、完全な健康状態の命を1年延ばすのにかけられる薬の費用として原則2万~3万ポンド(約280万~420万円)という基準額を設定。それを超えると、基本的に公費で使える対象から外す。日本でも将来的には英国のように公的保険の対象外とすることも検討している。来年度は6年に1度の医療と介護の報酬(公定価格)の同時改定がある。医療費が膨張する25年を前に医療と介護の体制を見直す事実上、最後の機会となる。 医療をめぐる環境はこう変わる 医療費は年度。2025年はいずれも推計値 2013年 2025年 75歳以上の人口 1560万人 →1.4倍 2180万人 生産年齢人口 7901万人 →0.9倍 7170万人 (15~64歳) 医療費 40兆円 →1.4倍 54兆円 医療機関の病床数 135万床 →0.9倍 119万床 |
3 manolo 2017-08-28 02:14:36 [PC]
2. 出典:『朝日新聞』、8/25/2017、「医療とコスト 高い薬 公的負担いくらまで?」、生田大介、伊藤綾、p.2 費用対効果 悩ましい線引き 月400万円「自己負担困る」 2-1. 妻と5歳の息子がいる千葉県の男性(40)は5年前に肺がんが見つかり、昨年末に髄膜に転移した。余命半年ともされていたが、がん治療薬のオブジーボを2回投薬すると、がんは急速に小さくなった。オブジーボは当初、月約400万円かかったが、医療費の自己負担には制度上の上限がある。男性が加入する健康保険からの付加給付もあり、実際に支払ったのは月2万5000円だった。男性は「新薬に命を助けられた」と語る一方、高額な費用に複雑な思いを抱える。「このままでは医療保険財政がもたないかもしれないが、高い薬が自己負担となるのも困る」 2-2. 薬代は公定価格で、新薬は開発費や製造費を考慮して最終的には国が決める。2014年~15年にはオブジーボのほか、乳がん治療薬のカドサイラやC型肝炎治療薬のソバルディ、ハーボニーといった開発費の高い薬が相次いで発売された。こうした薬の値段は1日あたり数万円に上る。発売後に患者の対象が広がったオブジーボは高すぎるとの批判を受け、今年2月に緊急で半額になった。ただ、値下げは企業の開発意欲をそぐ懸念もある。 2-3. 年間の薬剤費は約9兆円で、医療費全体(約41兆円)の2割ほど。15年度の高齢化による影響を除く医療費の伸びは前年度比で2.7%で、その半分の1.4%分を薬剤費が押し上げた。こうしたことを背景に、高額でも効果の低い薬を保険の対象から外そうという議論が浮上している。 2-4. 首相官邸で5月に開かれた政府の経済財政諮問会議。民間議員の新浪剛史サントリーホ-ルディングス社長らは「国民皆保険の持続性を確保するため、医薬品をより効率的・効果的に使用していく必要がある」と指摘し、「日本版NICE(ナイス)(国立医療技術評価機構)」の新設を求めた。英国のNICEでは、費用対効果の低い薬は公的医療の対象外としている。当時の塩崎恭久厚生労働相は「ぜひ考えたい」と応じ、6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」には「本年中に結論を得る」と明記した。 |
4 manolo 2017-08-28 02:17:55 [PC]
2-5. 制度作りは、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会の専門部会で進む。まず費用対効果に基づき薬を値下げする仕組みを設けるため、近く国民3千人以上を対象に意識調査を実施。「完全な健康状態で1年間生存することを可能とする医療品・医療機器等の費用」をどこまで公的保険で賄うべきかを聞き、判定する基準に反映させる。7月の専門部会では「国民の多くは、公的保険財政の厳しさも薬剤費の自己負担割合も十分に理解していない。そんな中で答えた結果で基準をつくっていのか」との異論が出た。医療にコストパフォーマンスを考慮するのは初めてのことで、模索が続いている。 2-6.【延命1年700万円 英国の基準】 126件で公費使用を認めず 本家・英国のNICEは7月19日付けで、カドサイラを引き続き公的医療として使えると認めた。転移性の乳がんを患う英ロンドン在住のフィオナ・レスリーさん(49)は「多くの乳がん患者が救われます」と安堵した。英国の医療費は、ほぼ税金で賄われる。治療代は原則無料で、処方された薬の自己負担は1種類当たり1千円程度まで。代わりに公費で使える薬には制約があり、NICEが費用対効果などをもとに判断する。 2-7. カドサイラは既存の薬より平均6カ月ほど延命効果があるが、標準的な治療で9万ポンド(約1300万円)ほどになる。終末期患者向けの薬なら1年の延命に約5万ポンド(約700万円)まで認められるが、その基準すら大きく上回るコストがかかる。NICEは昨年12月、公的医療としての使用継続を認めない仮決定を出した。公的医療の対象外となれば、患者が使うのは難しくなる。レスリーさんが所属する患者団体は使用継続を求める署名活動を行い11万5898人分を提出。製薬会社も値下げに踏み切り、最終的にNICEは使用の継続を認めた。 2-8. 設立された1999年から今年5月までにNICEは680件を評価し、2割近い126件について公費での使用を認めなかった。使用を制限された中には、日本でも保険適用が認められている抗がん剤のアバスチンやアービタックスも含まれる。NICE最高責任者のアンドリュー・ディロン氏は「透明で一貫性があり、証拠に基づく判断をしている」。 |
5 manolo 2017-08-28 02:23:33 [PC]
2-9. 抗がん剤は終末期の患者の命を少しずつ延ばす薬も多く、費用対効果は低くなりがちだ。英国政府は、通常予算と別枠で使用を認める「キャンサー・ドラッグ・ファンド(CDF)」という枠組みも設けた。しかし利用者が増え、昨年から適用できる期間を2年間に限定。値下げしたうえで、より高い効果を証明するなどしなければ、薬の使用継続は認められない。CDFのピーター・クラーク会長は言う。「ケーキの大きさ(使える医療費の総額)は決まっている。抗がん剤にもっとお金を使うなら、他に使うお金を減らさないといけない」英国では、14年の国内総生産(GDP)に対する保険医療支出は9.9%だった。米国の16.6%や日本の11.4%より低い水準を維持している。 2-10. 東京大の五十嵐中(あたる)特任准教授(医薬政策学)は「日本では『人命は地球より重い』『医療にお金の話を持ちこむべきでない』といった意見が強かったが、薬もお金と効き目のバランスを考えないといけない時代になった」と指摘する。 【近年発売された主な高額薬】 薬価は体重50kgの患者の場合 発売時期 薬剤名 1日あたり薬価 適応症 14年4月 カドサイラ 約2万円 乳がん 9月 オブジーボ 約1万7千円 肺がん ~3万9千円 皮膚がんなど 15年5月 ソバルディ 約4万2千円 C型肝炎 9月 ハーボニー 約5万4千円 C型肝炎 16年4月 レパーサ 約1600円 高コレステロール ~2400円 血症 【薬の費用対効果を評価する仕組み】 日本で2018年度から本格的導入 薬代 低~高 効果(QALYで評価)低~高 QALY(質調整生存年):完全に健康な状態で生存期間が1年延びれば「1」、死亡した場合は「0」 既存薬 新薬A 費用対効果低い → 値下げ 新薬B 費用対効果高い → 値上げも 【医療の自己負担】 原則として70歳未満は3割で、75歳以上は1割。70~74歳は1割から2割へ段階的に引き上げられている。ただ、「高額療養費制度」によって、所得や年齢に応じて毎月の自己負担の上限が定められている。 |
6 manolo 2017-08-28 02:28:14 [PC]
3. 出典:『朝日新聞』、8/26/2017、「医療とコスト 高齢者への高額医療、現場は模索」、生田大介、p.7 90代に700万円施術 数カ月後に死亡 治療対象「年齢で区切れるのか」 3-1. 日本は世界に誇る長寿国となった一方、それが医療費を膨張させている。薬や医療機器の高額化も進むなか、高齢者への医療はどうあるべきなのか。 3-2. 西日本のある病院に昨年末、90代後半の重症心不全の女性が運び込まれた。心臓から血液を全身に送るための弁が硬くなり、呼吸困難に陥った。本来なら胸を切って人工弁を埋める外科手術が必要だが、高齢すぎて体力的に耐えられない。そこで、太ももの血管から細い管を通して人工心臓弁を届ける「経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI(タビ))という治療が行われた。体への負担が少ない最先端の技術で費用は700万円ほど。保険が利くので患者負担は少ないが、保険料や公費の負担は大きい。治療は成功して女性は無事に退院したが、その数か月後に肺炎で亡くなった。治療を担当した医師は振り返る。「症状が悪化するまで畑仕事をしており、『もう一度元気になりたい』という思いが強かった。高齢になるほど肺炎や脳梗塞のリスクは高くなるが、発症するのか予測は難しい」 3-3. TAVIは国内では2013年に保険適用され、8千例以上行われた。だが、比較的余命が短い「超高齢者」にどこまで使うのか医療現場は模索している。北里大学では、95歳の患者まで対象としたことがある。阿古潤哉教授は「体力や認知能力などから適応をしっかり選んで実施している。国民皆保険がこのまま持つかどうか懸念はあるが、年齢だけで区切っていいのか難しい」と漏らす。TAVIの費用対効果は高いとされるが、合併症を起こす可能性が大きい高齢者には費用対効果が低いという海外の研究もある。TAVIの関連学会協議会の事務局を務める鳥飼慶・大阪大講師は「手術できない高齢者にとってTAVIは福音となる技術。ただ、超高齢者にどこまで適応するかは、医療費の観点も含めて議論していく必要があるのではないか」と話す。 |
7 manolo 2017-08-28 02:29:05 [PC]
3-4.【医療費75歳以上3分の1占める 命に直結 容易に進まぬ議論】 日本人の平均寿命は伸び続け、16年は女性が87.14歳、男性が80.98歳になった。一方、高齢になるほど医療費はかさみ、14年度の医療費(約41兆円)の3分の1以上にあたる約14兆円は、後期高齢者医療制度に入る75歳以上が使った。大島伸一・国立長寿医療研究センター名誉総長(71)は、こう訴える。「平均寿命を超えたら超高額な薬は使わないことや治療内容によっては、自己負担割合を引き上げることなどを本気で考えないと、医療が崩壊するかもしれない。」 3-5. とはいえ、高齢者の医療費を削減する議論は、命に直結する問題だけに容易ではない。とりわけ多くの医療費がかかる延命治療のあり方は難題だ。患者の意思が確認しづらく、望まない延命治療が行われる場合もあるとされる。そこで京都市は4月、患者の意識が明確なうちに延命治療をするかどうかなどを決めておく「事前指示書」を約3万部つくり、配布を始めた。すると「生命を軽んじている。国の医療費抑制に同調しているのでは」といった反発が出た。 3-6. 政府は08年4月に、医師が延命治療などの相談を受ければ報酬を加算する仕組みを導入したが、「高齢者は早く死ねということか」といった強い批判を受け、3カ月後に凍結。10年4月に廃止された。国立がん研究センターは4月、高齢の進行期がん患者は抗がん剤による延命効果が見られない可能性があるという研究結果を公表し、波紋を広げた。同センターの中釜斉(ひとし)・理事長は「研究の狙いは医療費抑制ではない。体力が乏しく副作用のリスクも大きい高齢者に最適な治療を考える研究の一環だ」と説明。症例数が少ないため、より大規模な研究が検討されている。 1人あたりの医療費は(14年度) 0~14歳 15.3万円 15~44歳 11.7 45~64歳 27.8 65~69歳 48,4 70~74歳 63.5 75~79歳 78.5 80~84歳 92.6 85歳~ 104.8 |
医療費抑制 (コメント数:7)
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戦没者追悼 (コメント数:5)
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2 manolo 2017-05-28 13:03:20 [PC]
1-2 【1.合祀でこじれ議論先送り 古賀誠元自民党幹事長(02~12年日本遺族会会長)】 今の靖国神社は、多くの国民がわだかまりなく参拝できる施設にはなっていません。これでは、戦死した方々にとって、自分の死が無駄ではなかった、今日の平和につながっているんだと思える状況とはいいがたい。赤紙一枚で召集され、戦地で亡くなった人々の思いに、向き合えていないのではないでしょうか。私が4歳の時、父はフィリピンのレイテ島で戦死しました。貧しい生活を経て政治家になった私にとって、遺族会の活動はライフワークです。この問題を解決しない限り、戦後処理は終わらない。 1-3. 反省を込めて言えば、解決を先送りしてきた原因は、政治の貧困です。靖国神社の問題がこじれたのは、A級戦犯の合祀からです。1978年、当時の松平永芳宮司が、東条英機元首相らA級戦犯14人をひそかに合祀しました。昭和天皇が合祀に不快感を示し、このために参拝をやめたことが、故・富田朝彦・元宮内庁長官の記録で明らかになっています。 1-4. 合祀で、天皇陛下が参拝することも、国民のわだかまりなく参拝することもできなくなりました。合祀か分祀かは、国論を二分する難しいテーマです。政治家の意見も割れている。合祀を支持する人たちは、「太平洋戦争には植民地解放という大義があった」「分祀すれば、勝者の裁きである東京裁判を認めることになる」と訴えています。さらに白虎隊など国の「賊軍」とされた人々までさかのぼって、合祀を求める政治家もいる。一方で、私のように、分祀することが、みながわだかまりなく参拝できることにつながるという立場の政治家もいます。 1-5. 日本遺族会も、議論を避けてきました。分祀といえば、職業軍人の遺族は反発する。一方、赤紙で召集された兵隊の遺族は、一緒にまつられることがとんでもないと思っている。議論しだすと分裂してしまう。難しいことは避けて、組織の結束が大事だ、とやってきました。自民党の支援組織である日本遺族会で、会長を務めていた私は2006年、分祀を提案しました。当時、遺族会で分祀を議論することすらとんでもないという雰囲気でした。今、やっと地方の遺族会で議論しようとする動きが出てきています。私が会長を務める福岡県遺族連合会では14年、全国で初めて、分祀を求める決議を採択しました。3~4年かかりました。 |
3 manolo 2017-05-28 13:07:51 [PC]
1-6. 私は、国の追悼施設をどう考えるかという議論の前にまず、今の靖国神社に、誰もがわだかまりなく参拝できるようにすることが先決だと思います。そのためにはA級戦犯の分祀しかないと考えています。私自身、東京裁判は非合法的だと思っています。しかし、だからといって300万人もの命が失われ、日本中が焦土と化したあの戦争に、誰も責任を取らないでいいのでしょうか。万が一、自衛隊に戦死者が出た場合どうするか、についてはさらに議論が必要でしょう。 1-7. 私はこの問題の解決は安倍晋三首相にしかできないと思っています。保守的とされる人々に支えられた安倍首相だからこそ、国民を説得できる。首相に近い人にもそう伝えています。まずは遺族会、そして政治家の議論を積み重ねる必要があります。分祀ができれば、初めて戦後処理に本気に取り組んだと言える。未来志向というのなら、過去の反省の姿勢を見せなければ、誰も信用しないですよ。分祀によって、天皇陛下や多くの国民が参拝できない靖国神社の現状を打開する。そのうえで、国の追悼施設のあり方について議論を始めるべきだと思います。 1-8. 【千鳥ヶ淵の整備が現実的 三土(みつち)修平さん 元東京理科大教授】 1946年1月25日に「神宮及神社ハ之ヲ宗教トシテ取扱ヒ之ニ関スル事務ハ宗教法人令改正施行ノ日ヨリ文部省ニ於イテ管轄スル」という閣議決定がなされました。靖国神社を除く神宮、神社を管轄したのは旧内務省でしたが、閣議決定で文部省に移った時の内相が私の祖父忠造です。こうした経緯を知った時から、本業の経済学のかたわら、ある種の宿命として靖国を研究してきました。 1-9. 戦後、様々な論争が靖国、戦没者追悼施設をめぐって繰り広げられましたが、冷静さと現実に基づく認識からは遠いものでした。「謀略史観」と「せっかく史観」とういうべき対立がありました。謀略史観は「戦後、占領軍の押しつけた改革は、日本の文化や歴史も無視した不自由な代物で早晩ただされて当然だ」と考え、靖国を元の姿に戻せと主張します。一方、せっかく史観は「戦後改革で基本的人権が尊重される民主国家にやっとなった。悪い方に引っ張ろうとする勢力があるが、現状を守ろう」という主張です。「戻せ」、「守れ」と言い合うばかりで、双方ともに、戦前から敗戦を経て、戦後何が起きたのかという事実を踏まえていません。 |
4 manolo 2017-05-28 13:13:50 [PC]
1-10. では、事実はどうだったか。私は「駆け引きと妥協の産物」というのが実態だと考えています。戦前の靖国は陸海軍が管理した国家施設です。国家のための戦死者は靖国で天皇の宗教である神道の祭祀によってまつられました。天皇が統帥権を持つなかで行われた戦争で、軍国主義を称揚する場所でしたから、戦勝国側に閉鎖されても仕方がない状況でした。存亡の危機に直面した靖国が生き残りのために選んだのは、国家や公共の施設でない、民間の一宗教法人に変わるという道でした。 1-11. それは靖国にとって効果と制約の両方をもたらしました。基本的に人権を日本に根付かせようとした占領軍は、宗教政策で「政教分離」とともに「信教の自由」を柱に据えました。ならば個人や団体が、いかなる信仰を持とうが持つまいが、国家権力は信仰者や教団に介入できなくなる。国家機関という立場を捨て、宗教法人になれば、どんな権力も靖国の信仰の世界に干渉できない。だから戦前と同じ国家神道的な姿のまま生き延びられたわけです。A級戦犯の合祀という国家監視下の施設なら起こりえないことができたのも、私法人だからです。 1-12. 同時に、ほぼ無傷で延命したせいで「戦前のシーラカンス」になり、時代に合わせて変化できなかった。現代の人々が「戦没者の追悼施設は必要だと考えるが、そのありかたはこうあるべきだ」という姿からは相当隔たっています。自衛隊の海外活動で、万一殉職者がでても、靖国の新たな祭神としてまつることは無理です。隊員にはキリスト教徒や創価学会員もいる。信教の自由を定める憲法下で、天皇が軍を統帥した戦争の死者を国家神道の靖国に一律に束ねる過去の論理は通用しません。従って、戦没者の追悼施設は靖国と別に作る必要があります。現在身元が分からない戦没者の遺骨を納めている千鳥ヶ淵戦没者の墓苑を国の戦没者追悼施設として整備するのが現実的でしょう。 |
5 manolo 2017-05-28 13:14:38 [PC]
1-13. 2013年に米国の国務、国防両長官が千鳥ヶ淵で献花しました。一気に追悼施設に拡充するのが難しいなら、外国の要人が訪れる度に案内して、慰霊の場の実績を重ねていけばいいと思います。菅原道真をまつった天満宮や、平将門が祭神の神田明神のように、靖国も歴史ある神社として国民の間に根付いていけばいいでしょう。政治的な騒動に巻き込まれず、静かな鎮魂の場として歳月を重ねることがふさわしいのです。(聞き手・編集委員 駒野剛) 1975年靖国神社 昭和天皇最後の参拝 1978年靖国神社 A級戦犯14人を合祀 1985年靖国神社 公式参拝する中曽根首相 2006年富田メモ見つかる 昭和天皇もA級戦犯合祀には不快感を示したことを記録 2013年千鳥ヶ淵戦没者墓苑 米国のケリー長官、ヘーゲル国防長官が献花 |
戦没者追悼 (コメント数:5)
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最高裁判事選出 (コメント数:3)
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2 manolo 2016-11-02 00:45:40 [PC]
献金・銃規制…判例変更も 1-2. AP通信などによると、スカリア氏は、滞在先のテキサス州のリゾートで死去。79歳。1986年から最高判事を務め、保守派を代表する論客だった。最高裁は社会の重要事項について決定するうえ、9人の判事には任期や定年はない。指名は大統領の任期中だけでなく、その後も長年に渡って影響する。 1-3. また、近年の最高裁は共和党の大統領に指名された保守派の判事と、民主党の大統領が選んだリベラル派の判事の数が4対4でほぼ並び、中間派の判事が結論を左右させることが多い。判事が、自分と似た傾向の後継を指名しそうな大統領の任期中に辞職する傾向も高まっている。スカリア氏の後任にリベラルな判事が就任すれば、リベラル派が多数派となり、長く続いてきた両派のバランスが決定的に動く。企業による政治献金の上限撤廃につながった判決や、個人による銃所持の権利を認めた判決など、スカリア氏が多数派に加わって5対4で決まった重要判例が変更される可能性もある。 1-4. こうした状況で、共和党から大統領に名乗りを上げている共和党のクルーズ上院議員が、スカリア氏の死去について真っ先に声明を出した。追悼したうえで、ツイッターでは「彼のためにも国のためにも、次の大統領がその後任を指名することを上院が保障しなければならない」と発信。同じく大統領選に立候補している同党のルビオ上院議員も声明で「次の大統領は、スカリア氏の揺るがぬ信念を継承する判事を指名しなければならない」と主張した。 1-5. オバマ大統領はスカリア氏の死去を受けた会見で「しかるべき時期に後任を指名するという、憲法上の責任を果たすつもりだ」と発言し、「(任期の終わりまで)十分に時間はある」と述べた。しかし、上院共和党トップのマコネル院内総務は「次の判事の選択には米国民の声が反映されるべきだ。そのため、新しい大統領が決まるまで、この空席は埋められるべきではない」と声明を出し、審理に応じる用意がないことを明らかにした。次の大統領が就任する来年1月まで後任判事が決まらなかった場合、1年以上にわたって空席が続く異例の状態となる。それでも共和党が承認を先延ばしにしたいのは、最高裁判事の影響力の大きさの表れだ。 |
3 manolo 2016-11-02 00:48:07 [PC]
1-6. 最高裁判事の指名は前から、今回の大統領選の争点の一つだった。現在も82歳のギンズバーグ判事を始め、79歳のケネディ判事、77歳のブライヤー判事が現役で、次期大統領がその後継を指名する可能性があるためだが、スカリア氏の急死で一気に現実となった。上院が後任の承認に応じない場合、大統領選と同じ日に議席の3分の1が改選される上院議員選でも争点になるのは確実で、民主・共和両党が支持者に最高裁判事の後任選びの重要性を訴えるのは間違いない。 【米連邦最高裁判事と就任年、指名した大統領】 〈保守派〉 スカリア判事(死去) 85年 レーガン トーマス判事(67) 91年 ブッシュ・父 ロバーツ長官(61) 05年 ブッシュ・子 アリート判事(65) 06年 ブッシュ・子 〈中間派〉 ケネディ判事(79) 88年 レーガン 〈リベラル派〉 ギンズバーグ判事(82) 93年 クリントン ブライヤー判事(77) 94年 クリントン ソトマイヨール判事(61) 09年 オバマ ケーガン判事(55) 10年 オバマ 【5対4で決まった米連邦最高裁の重要決定】 ・接戦となった大統領選で、フロリダ州の再集計を止め、ブッシュ前大統領の勝利を決定(2000年) ・米憲法修正2条に基づいて、個人が銃を所持する権利を認める(08年) ・オバマ政権が進めた医療保険改革の合憲性を認める(12年) ・企業の「信仰の自由」を認め、従業員の避妊のための保険費用負担義務づけを認めない(14年) ・全米で同性婚の権利を認める(15年) |
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2 manolo 2016-09-16 17:15:15 [PC]
1-2. 第一次世界大戦により、主要製品であるクエン酸の原料の輸入が途絶えた際、深底タンク発酵という新製法で原料を国内量産することに成功。第二次世界大戦中には同製法を応用して、世界初の抗生物質である感染症治療薬ペニシリンの効果的な量産工程を開発し、米国の戦勝に貢献している。戦後は販売代理店のネットワーク化、世界各地における支店・子会社・提携事業の設立に力を注ぎ、名実ともに多国籍企業となった。1970~80年代には抗生物質の発見および開発で成長を続けた。そうしたなか、90年代には性的不能治療薬バイアグラなど、生活の質を向上させる分野の収益増で大成功を収める一方、医療の将来に関わる各国政策プロセスに積極的に関与するという企業姿勢を強めてきた。 1-3.【年末までに分社化に結論】 利益増へのこだわりを強めるファイザーは、海外での収益を法実行税率が約25%と高い米国に持ち帰らない合法的な租税回避で、国外に700億ドル近い現金をため込む一方、昨年11月には、アイルランドの同業アラガンとの合併を発表。法人税が米国より低いアイルランドに本社を移し、同国の17~18%程度という低い税率で年間20億ドルを節税するもくろみだった。このインバージョン(節税地変換)と呼ばれる租税回避の手法は米オバマ政権の怒りを買い、今年4月の規制強化で合併は不可能になった。「破談」を受けて投資家の視線は、ファイザーが特許で守られ収益性の高い創薬部門と、さえない既存薬・ジェネリック(後発)医薬品部門を分社化するか否かに注がれている。 1-4. 同社の4~6月期売上は、アナリスト予想を上回り、前年同期11%増の131億5000万ドルを達成。無菌注射剤などバイオ後続品やジェネリック抗がん剤を扱う米ホスピーラを昨秋に買収し、既存・後発分野の売上が16%上昇、60億4000万ドルへと増えたことが貢献した。だが、160億ドルで買収したホスピーラの寄与分を除くと、ファイザーの4~6月期売上は6.1%の減少だ。さらに、米金融サービス会社BMOキャピタル・マーケットのアナリストは、「ホスピーラ単体の売上は予測を7%も下回り、期待された相乗効果が出ていない」と指摘する。同期の純利益は20億2000万ドル、1株当たり33セントと、前年同期の26億3000万ドル、1株当たり42セントから下降している。 |
3 manolo 2016-09-16 17:19:23 [PC]
1-5. ドル箱製品だった高コレステロール血症治療薬リピトール(一般名アトルバスタチン)、消炎鎮痛剤セレブレックス(同セレクコキシブ)、女性の更年期障害治療薬プレマリン、薬剤耐性に有効だった新系統の抗生物質ザイボックス(同リネゾリド)などの特許が次々と失効して後発薬との競争にさらされ、ファイザーにおける過去数年の既存薬分野の売上は下がり続けている。こうした理由で、アラガンとの合併がついえた今、会社分割が俎上(そじょう)に上がるのだ。「分社化の決断は年末までに下す」と、ファイザーは8月2日に発表した。 1-6. 分社化について専門家の意見は割れており、一部アナリストが「既存薬売上の落ち込みをカバーする同業買収の効果は十分であり、分割はない」とする一方、別のアナリストたちは「ファイザーは最近、創薬分野、既存薬分野、ワクチン・抗がん剤・市販薬分野の3大事業を、創薬と既存薬の2大分野に再編した。これは分割への道をならす動きだ」と主張している。 1-7. こうしたなか、創薬部門の4~6月期売上は7.2%増と好調だ。閉経後の転移乳がん治療イブランス(同パルボシクリブ)は前年同期の1億4000万ドルの売上から5億1400万ドルと大幅に伸びた。イブランスは、乳がんの約7割以上を占めるホルモン依存性乳がんに対する内分泌(ホルモン)療法が効かず、疾患が進行した患者の治療に効果がある画期的な薬だ。米国では、2015年2月の発売以来、処方医により2万5000人以上の患者に処方されており、今年2月には米食品医薬品局(FDA)による適応拡大の認可も出た。欧州では当局に承認申請中で、日本でも治療が進行しており、これからのさらなる売上成長が期待されている。その他、グルタミン酸などの神経伝達物質を阻害して神経障害性の疼痛を和らげるリリカ(同プレガバリン)や、禁煙のための飲み薬チャンピックス(同バレニクリン)も、創薬分野の増収増益に貢献している。(p.69) |
4 manolo 2016-09-16 17:23:52 [PC]
1-8. しかし、創薬部門はまだら模様で、ファイザーのトップセラーであった小児用肺炎球菌ワクチンのプレベナー13の売上は、4~6月期に16%も下落して12億6000万ドルにとどまった。従来品のプレベナーより肺炎予防効果の高い注射剤だが、ワクチン注射を受ける子供の数が減少しているため、目標に届かなかった。さらにファイザーの収益を圧迫する要因として、新薬開発費の高騰、事業リストラ費用、同業買収経費、副作用にまつわる訴訟費用などがある。8月には、同社が消炎鎮痛剤セレブレックスやベクストラの安全上のリスクを隠匿していたため、株主に多大な損害を与えた和解金として4億6万ドルの支払いに合意している。 1-9. このように課題が山積するファイザーだが、今年度については、昨年度から横ばいか微増の490億~510億ドルの売上目標を掲げており、8月時点でそのターゲットに変更はないとしている。 1-10. 【日本は米国外の最大市場】 ファイザーの15年度における米国市場売上は、全体の44%で、14年度の38%から増加している。一方、海外事業は全体の56%、日本は全体の8%だ。13年度の10%、14年度の9%よりは貢献度を減らしたものの、株主向け資料でも「米国外の最大市場」と明記されている。日本では55年に高い発酵技術を持っていた砂糖製造の台糖と組み、台糖ファイザーを設立。抗生物質テラマイシンの国産化により、日本の医薬品業界に本格進出を果たした。83年に同社はファイザーの100%子会社となり、89年に社名を「ファイザー製薬」に変更した。高血圧・狭心症治療剤ノルバスクなどで97年度には日本市場の売上1000億円を達成。15年度の売上は5114億円と順調な伸びを見せている。 |
5 manolo 2016-09-16 17:41:05 [PC]
【遺伝子療法分野を強化】 ファイザーは、異常遺伝子を正常なものに取り換える「夢の難病治療法」である遺伝子療法分野を強化中だ。8月には新興遺伝子治療企業の米バンブー・セラピューティクスを6億4500万ドルで買収すると発表した。今年に入って行った循環器系疾病の遺伝子ターゲティングを行う米4Dモレキュラー・セラピューティクスの買収とあわせ、将来の収益のタネをまいている。ただ、バンブーの遺伝子療法は臨床試験にもはいっておらず、FDAも遺伝子療法は一つも承認していない。こうしたなか、欧州では競合他社が乳児の免疫不全など2件の遺伝子療法治験の承認を得ており、成功すればドル箱に大化けするかもしれない分野だ。遺伝子治療開発が安全上の問題などから遅々として進展しない中、ファイザーは認可リスクの懸念を承知の上で、新しい分野を切り開こうとしている。 【企業データ】 本社所在地=米ニューヨーク CEO=イアン・リード(Ian C. Read) 総資産=1674億6000万ドル 純資産=647億2000万ドル 売上高=488億5100万ドル 営業利益=69億7500万ドル 当期純利益=69億6000万ドル 従業員数=9万7000人 主な上場取引所=ニューヨーク証券取引所 (注)数字は2015年12月期 |
グローバル企業 (コメント数:5)
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わいせつ (コメント数:16)
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1 manolo 2013-11-26 20:56:14 [PC] |
7 manolo 2016-08-25 23:55:42 [PC]
2-5. 「うれしいが納得できない」 「自分の活動を裁判官に理解してもらえるか不安だったが、アートとして認定してくれたことはうれしかった」。判決後に東京都内で会見した五十嵐被告は笑顔を見せた。一方で、「わいせつではなく芸術活動だ」という無罪の主張は一部で退けられた。「自分の体の一部が『わいせつなもの』というのはおかしい、と思ってずっと活動してきた。無罪の理由が『女性器に見えないから』というのは納得できない」とも話した。弁護団の山口貴士弁護士が「わいせつ性が問われた刑事裁判で、一部でも無罪になったのは珍しい。画期的な判決だと評価。 2-6. だが判決は、有罪とした3Dデータの配布について「データを使って、創作活動をしてもらいたいという被告の意図が、かえってデータのわいせつ性を高める可能性も否定できない」とも指摘した。主任弁護人の須見建也弁護士は「最低限の結果は出たが、一部が有罪になったことで創作活動に対する萎縮効果もある。控訴審で引き続き頑張りたい」と話した。 |
8 manolo 2016-08-25 23:58:14 [PC]
出典:『朝日新聞』、7/27/2016、「オピニオン&フォーラム 性表現と法規制」、p.13 ろくでなし子さんの作品をめぐる経緯 14年7月 自らの女性器の3Dデータを配布したとして警察庁が作者を逮捕。6日後に保釈 10月 東京芸術大学で逮捕をテーマにシンポジウム開催 12月 女性器をかたどった立体作品「デコまん」をアダルトショップで展示した疑いで警視庁が再び逮捕。わいせつ物陳列罪とわいせつ電磁的記録等送信頒布[はんぷ]などの罪で起訴後、保釈 15年4月 初公判で被告が無罪を主張 16年2月 検察側が罰金80万円を求刑 5月 東京地裁が罰金40万円の判決。「デコまん」展示は無罪、3Dデータ配布は有罪に。被告側は翌日控訴し、検察も後に控訴 3-1. 自らの女性器をかたどったアート作品をめぐり、作者の刑事責任が問われている。この性表現は犯罪なのか。その根っこにある問題を、研究や表現の最前線にいる人たちに聞いた。 |
9 manolo 2016-08-26 00:03:05 [PC]
【多様な芸術 司法は硬直】 林道郎(はやしみちお)さん(上智大学教授) 3-2. 誰を傷つけることもなく、見たくない人は見ないですむ配慮もされた表現にたいする司法の介入です。明らかに行き過ぎで、一部でも有罪になったのは、ナンセンスとしかいいようがありません。 3-3. アーティストのろくでなし子さんが、自らの性器をかたどって装飾を加えた作品「デコまん」と、性器の3Dデータを、陳列したり配布したりしたとして起訴されました。一審判決で「デコまん」は無罪になりましたが、制作、流通のどこをとってもポルノといえるものではない。むしろフェミニズム・アートと位置づけられるものです。1960年代、女性は「描かれる側」だった美術界で、「自身の体を自身の手に取り戻す」と考えた国内外の女性アーティストが象徴として女性器をモチーフにした作品を作り始めます。ろくでなし子さんの作品も、この経緯を想起させます。その意味でいまだ後進的な日本での素朴な生活実感から出たもので、本人の漫画や言論活動を含め、問題提起的な美術表現です。 3-4. 現代美術の表現は多様化し、一方で、ネットには性器を含むポルノ画像があふれています。それなのに、捜査当局も裁判所もわいせつ性について「性器が見えているか」を最も重要な判断基準とする姿勢を変えていません。時代の変化に対応する難しさをわいせつ罪を規定する刑法175条が元々持つあいまいさが合わさって、凡例踏襲と硬直した性器中心主義を繰り返しているように見えます。 3-5. 3Dのデータは「性器そのもの」として有罪になりましたがここにも矛盾があります。データ化は、女性器型ボートをつくるために必要な作業で、この計画への出資者に謝礼として配られました。作品の資金調達や制作過程を含めた全体を芸術活動とすることはプロジェクト・アートといい、多くの事例があります。 3-6. 最高裁はかつて「芸術性がわいせつ性を緩和することがある」との判断を示しており、データ配布を軽術の一環として考慮することはできたはずです。しかし、今回の判決は「前後の文脈は考慮せず、データそのものだけで判断すべきだ。」とした。一方女性器の医学標本は、医学のためという文脈が考慮され、摘発されることはない。この非対称性には疑問を持ちます。 |
10 manolo 2016-08-26 00:07:40 [PC]
3-7. 芸術を含む表現の自由が、憲法に書き込まれているのは重要なことです。今の価値観が絶対でないという疑いをもち、自己批判的な意見が出ることを保障している。芸術はその時代の価値観に挑戦し、それを取り込むことで発展してきました。これは社会にとって大きな推進力です。児童ポルノ、ヘイトスピーチなど誰かを傷つける表現を除き、表現への司法介入は最小限であるべきです。 【社会の欺瞞 挑発で問う】 平野啓一郎さん 小説家 3-8. ろくでなし子さんの作品と、性器にモザイクがかかったアダルトビデオ(AV)を比べれば、大半の人がAVの方をわいせつだと思うでしょう。刑法175条の定める「わいせつ性」という概念、規定がおかしな状況にあることは明白です。日本は不思議なほど、わいせつの問題を性器中心でとらえる。春画では性器が非常に誇張して描かれますが、これも日本独特です。外国映画でも、日本で公開されるときは、性器にモザイクがかかる。かえって「わいせつなもの」と意識化させています。 3-9. 一方、ネットには法律上、見られるはずのない性器の写真や動画があふれている。法律が現実に対応できていないからこそ、変に機能させようとしている力を感じます。そこに潜んでいるのが「公益」という発想です。今の憲法改正の議論でも、公益と公共の福祉の混同が見られますが、本来は全く違う概念です。公益は社会的な合意もなしに一般人にとっての「利益」が定められ、強制されることで、人間の多様性を脅かすものになりかねません。一方、公共の福祉は、個々人の多様な利害調整のための概念です。わいせつの問題の解決に役立つのはこちらで、見たくない人には見せない、子供には見せないというゾーニングなどが考えられます。 |
11 manolo 2016-08-26 00:12:41 [PC]
3-10. ろくでなし子さんはその名からも、社会のまじめさとか欺瞞を挑発する姿勢を持っているのでしょう。その作品は、性器中心主義が結局は男性中心主義の価値観ではないかと社会を挑発しています。芸術家は時に、社会を挑発する表現をするものです。社会システムは主に経済合理性で設計されていますが、人間は複雑で、そこに組み込まれない部分をもっている。合理的な秩序が取こぼしているものを、芸術が実現することで救われる人もいる、ささやかな作品一つで、社会がそれまで排除してきた価値観を包摂し、より複雑な現実に対応した豊かなものになることもある。そこに芸術の魅力を感じます。 3-11. 挑発的な芸術といっても、発表によっても従来と同じ事態しか生まないなら二流でしかありません。今回は性器中心主義の問題や3Dプリンターという技術について新しい問題を提起した。意義のある作品だったと思います。もちろん、芸術に携わる側も、社会的に弱い立場の人たちを傷つけることには敏感で中ればなりません。ただ、ろくでなし子さんの作品は誰も傷つけていない。取り締まられたのは「公益」反するからという発想からでしょう。好意的に見れば、その現象の風刺として作品になっています。今の社会の色々な問題がはからずも現れたのが今回の事件だったと思います。 【消費の形 作者は関心を】 上野千鶴子さん 社会学者(立命館大学教授、東大名誉教授) 3-12. 今回の事件で、私は「いまだに女性器は眉をひそめられる存在なのか」と正直、ショックを受けました。ろくでなし子さんは、法廷では完全に無罪であるべきだと思います。男性に所有され管理されてきた女性器を女性自身に取り戻そうというのは、フェミニストが60年代から取り組んできたテーマでした。それを一人の若い女性が思いついてアクションに移した。司法が介入するべき問題だと思いませんし、処罰の対象になるとも思いません。 |
12 manolo 2016-08-26 00:13:37 [PC]
3-13. ただ、自分の性器の3Dデータをクラウドファンディングの寄付者に提供したことについては、3Dデータを「性器そのものだから」として有罪とした司法の判断とは離れた立場から疑問に思います。司法は「女性器はわいせつか」という命題を立てた上で「芸術性がわいせつ性を緩和する」と考えてきましたが、社会学的には無意味です。解剖学も医学も文脈次第でいくらでもわいせつになる。芸術に価値を与えるものも、わいせつ物にするのも、作品がどう消費されるか、という文脈があるからです。 3-14. 3Dデータの配布は「プロジェクト・アート」だったとの主張ですが、大事なのは「アートだったかどうか」よりも、それがどう消費されるのか、です。ネット上のデータは、表現者の意図を無視して世界中に広がる、だからこそ、フェミニストはこれまで、作品が意図しない形で消費されないように、公開する場を女性限定にするなど慎重な配慮をしてきました。ネットや複製技術が進化した現代では、より慎重さが求められて当然です。 3-15. 「性器を自分自身に取り戻す」と言いながら、大切な性器をあずかり知らぬ形で消費されても関知しないというのは無責任です・フェミニストたちが今回の件で、沈黙しがちだったのは、男性に利用されかねない点に違和感を持ったからでしょう。なにより、アーティスト自身が傷つかないのでしょうか。彼女の無防備さに、セクハラが蔓延する男性中心社会で「わたし、これくらいは大丈夫なのよ」と言いながら、感受性を鈍くして生き延び来た現代女性の「鈍感さ」を感じます。セクハラをすると反応する人型ロボットが世に出て、デザイナーが女性だと話題になりましたが、通停するものがあります。 3-16. 60年代から半世紀、女性の社会進出が進みましたが、ごく普通の女性が援助交際などの性産業にかかわるハードルは下がる一方です。女性が「消費される性」であり続ける現代はむしろ、悪化している。女性が「性器を自分に取り戻す」こと自体はすばらしいですが、それがセクハラ文化につけ込まれる可能性にも敏感であってほしいです。 |
13 manolo 2016-08-26 00:19:15 [PC]
出典:『The Japan Times News』、5/9/2016、「‘Vagina artist’ Igarash loses obscenity case over 3-D data but is acquitted over pop art replicas」 (http://www.japantimes.co.jp/news/2016/05/09/national/crime-legal/vagina-artist-convicted-of-obscenity-court-acknowledges-pop-art-motive/#.V79iFZiLTIU (閲覧日8/25/2016)) 4-1. An artist was fined \400,000 for obscenity on Monday after distributing 3-D printer data of her genitals and said she plans to appeal the ruling. Megumi Igarashi, 44, known by pseudonym Rokudenashiko (Good-for-Nothing Girl) or -more bluntly- the “vagina artist,” was convicted of distributing the data over the Internet in October 2013 and March 2014. She said she will appeal the Tokyo District Court ruling. 4-2. The data allows users to create precise replicas of her genitals. The data contained such detail that the court judged it to comprise an obscene object as defined by law. The ruling added, the stunt’s artistic merit was too low to balance out its sexuality titillating nature. 4-3. But the court acquitted Igarashi of a separate charge of “displaying obscene materials publicly,” namely exhibiting a vagina-shaped plaster artwork in a Tokyo sex shop in July 2014, because the item was made with colored materials and did not resemble a real vagina. Prosecutor sought a fine of \800,000 for the obscenity charges. In the trial, Igarashi maintained her innocence, calling her art a form of expression that was not intended to cause sexual arousal. She told reporters after the ruling she was “happy” that the ruling partly acknowledged her works to be a form of pop art, as the public has often misunderstood her artwork. 4-4. However, she expressed disappointment at not being exonerated by the court. “The ruling explained my artwork was OK because it didn’t look like real female genitals,” she told a news conference. “It’ still says genitalia are obscene objects.” She said she plans to appeal to a higher court as she believes she is innocent. 4-5. A feminist and manga artist, Igarashi claims her artwork is intended to challenge taboos in Japan, where the vagina is considered obscene. Igarashi was initially charged in July 2014 for distributing the 3-D data to donors of at least \3,000 to a crowd-funding project aimed at raising cash to produce a kayak modeled on her genitals. She was released days later but was arrested in December that year for obscenity. In April, Igarashi announced that she is engaged to be married to British to musician Mike Scott, a singer and guitarist. She said she would move to Ireland, where Scott lives. |
14 manolo 2016-08-26 00:23:42 [PC]
出典:『The Japan Times』、5/28/2016、「The vagina on trial: more absurd than obscene」 by Philip Brasor (http://www.japantimes.co.jp/news/2016/05/28/national/media-national/vagina-trial-absurd-obscene/#.V79ZwJiLTIU (閲覧日8/25/2016)) 5-1. Though the obscenity trial of the artist know as Rokudenashiko ? real name Megumi Igarashi- ended earlier this month with a conviction on one of her charges, we haven’t heard the last of her. She plans to appeal the verdict, which is good news for the press and the public, since few court trials of recent memory has been as entertaining. 5-2. Rokudenashiko’s crime was distributing 3-D data to sponsors of one of her projects: a kayak in the shape of the artist’s own vagina, big enough to launch in open water with a human in the driver’s seat. According to police the data qualifies as obscene materials, so Rokudenashiko was basically distributing pornography. She said the data constituted a work of art and was thus protected by free speech statutes. She also emphasized that the purpose of the project was to challenge the notion that depictions of female genitals are inherently “shameful”, 5-3. “I wanted to get rid of the image,” she said before the trial began, “so I created the artworks were humorous.” She drew comics and other graphic pieces featuring vaginas and colorful, silly motifs. None of them seemed to bother the police, but the 3-D data, since it represented actual genitalia, was too much even though the only way someone could possibly be sexually stimulated by it would be to input it into 3-D printer and produce a cast, which no one except the prosecution did, apparently. The vast majority of people do not have such devices at their disposal 5-4. And it was this aspect of the trial - the idea that police, prosecutors and judges were the only people making claims that Rokudenashiko’s work was arousing ? that gave the story its eyebrow-raising subject. The artist’s aim of countering the authorities’ reception of female genitalia as something disgusting through the use of humor found its most successful expression in the courtroom. The trial itself was a work of art, though it was definitely not a solo show. 5-5. The prosecution’s case was based on the idea of pornography as something that stimulates sexual desire to the extent the consumer “feels” “self-loathing”. This is a highly subjective call. The prosecution would have to generalize the reaction to the 3-D data, which is hypothetical anyway, since none of the people who received it turned it into something that resembled a vagina.So the strategy became part of subtraction: remove the “art” component and what you have is pornography, because according to their logic there are only two ways to consume information of a sexual nature. |
15 manolo 2016-08-26 00:27:25 [PC]
5-6. The Asahi Shimbun’s detailed coverage of last November of the cross-examination of defense witness Michio Hayashi, a Sophia University professor of art history, was particularly diverting. The defense established the idea that while most people can tell the difference between pornography and art, obscenity is more personal. To Hayashi, pornography is designed to be “commercially consumed” by provoking lustful feelings,” and to him Rokudenashiko’s work satisfied neither of those criteria. “If you told me (Rokudenashiko’s work) depicts female genitalia, I would recognize it as such,” he told the court. “But that doesn’t mean I think it’s obscene.” 5-7. The prosecution tried to undermine this approach by entering as evidence a paper by a criminal law scholar who stated that the artistic value of Rokudenashiko’s work cannot be recognized “by the average person,” thus suggesting that those without a grounding in aesthetics will look at her kayak and see something dirty. Hayashi said it doesn’t make sense to judge artistic merit based on reaction of the general public” because it isn’t always the purpose of art to be appealing. 5-8. “Everyone has a different way of seeing,” he reiterated and went on to assert that something originally produced to elicit lust can later be seen as having artistic value, such as the erotic shunga drawings of Edo period (1603 to 1868). Sometimes both exist at the same time. Nagisa Oshima’s 1976 film, “In the Realm of the Senses,” could be “marketed as at or as pornography” with equal effectiveness, said Hayashi. When one of the judges asked what “art” means to him, the scholar induced chuckles by remarking, “That’s the kind of thing you write books about.” 5-9. A few days later the artist herself took the stand and threw the prosecution’s reasoning back in their face while explaining the history of her “vagina art,” pointing out that visitors to one of her exhibitions complained that her depictions “weren’t explicit enough.” “They told me they got no sexual gratification from it”, she said, because to those people there’s nothing exciting about female genitalia unless it is seen as being forbidden. In response, she tried to make her reactions more realistic, which is how she came up with the idea of 3-D scanning her own vagina. When she was asked why she chose to print the data as a kayak, she said, “I wanted to make a vagina car, but I couldn’t afford an engine.” |
16 manolo 2016-08-26 00:28:26 [PC]
5-10. In the end, the prosecution couldn’t prove that the vagina kayak was obscene since it was so stylized, but the 3-D data - which only they had “seen”- was. So, the court fined her only \400,000, or half the amount the prosecution had demanded. It’s notable that the sentence was delivered by a female judge, who nevertheless failed to revert the misogynistic essence of the case. Manga artist Jun Miura was especially tickled by this fact. During a discussion on Bunka Hoso radio, he said the legal rationale for obscenity implied that the prosecution was in a constant state of arousal during the trial, and to a person like him, who revels in lewdness as a matter of professional duty, it proved the value of Rokudenashiko’s work: “It’s good to be excited by art, isn’t it” 5-11. If you took the prosecutor’s argument at face value, as he pointed out, then so many things can be deemed obscene. Fortunately, Miura’s own fetishistic sensibility was not the source of the law’ s definition. Otherwise, all sorts of things would be banned. “I got into a department store and see a row of bright red high-heeled shoes,” she said, “and I get really turned on.” |
わいせつ (コメント数:16)
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南シナ海領有権問題 (コメント数:10)
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1 manolo 2013-07-28 20:13:09 [PC] |
2 manolo 2013-07-28 20:42:31 [PC]
1-6. フィリピンと中国との関係悪化はスカボロー礁を巡る中国の海洋監視艦とフィリピン沿岸警備隊(PCG)の船舶のにらみ合いで最悪の状況に落ち込んだ。12年4月10日に始まったにらみ合いは、ほぼ3カ月経ってようやく終わった。スカボロー礁は、最も近いフィリピン領土から西に220キロ離れた場所にあり、国際的な海図では、スペインの植民地時代以降、歴代フィリピン政府の施政下にあることが認められてきた。(pp.20-21) 1-7. しかし中国の地図上では、九段線で囲まれた中国領の中に入っている。九段線の意味するところは依然はっきりしないが、南シナ海問題に関する中国の公式発言は、この線に囲まれたすべての海域と陸地に中国の主権が及ぶことを暗示している。ITLOSに対するフィリピンの訴えが問題にしているのは、この定義と中国の領有権主張の根拠だ。フィリピン政府は、調停は「国際法に則った平和的かつ永続的な形の紛争解決だ」と主張し、自国の行動を擁護している。これに対し、中国は、第三者が関与する取り組みを拒み、領有権を主張する国同士が一対一で交渉を行うべきだと訴えている。(p.21) 1-8. 中国の純然たる大きさ、特に同国が誇る海軍、海洋能力の優位性から、フィリピンは2カ国ご協議では不利な立場になることを認識している。そこでフィリピンは法の支配を象徴する国際機関に訴えることで、国際世論にアピールし、中国の優勢性に対抗しようとしたわけだ。(編集部注=仲裁人は、両国政府と協議し、審理の進め方を決める。そのうえで、仲裁人は国際法に基づいてどちらかの主張が妥当かを判断する。一方の当事国が申し立てれば、相手国が拒否しても仲裁手続きは進むため、何らかの裁定は出ることとなる。しかし、裁定には強制力がな、実効性に乏しい部分もある)(p.21) 1-9. より戦略的なレベルでは、フィリピンは海洋警備能力の強化を表明しており、イタリアや韓国を含め、多様な調達先からの警備艇購入を増やそうとしている。だが、この取り組みが自国領海に関するフィリピンの目先の懸念に与えるインパクトは限られている。警備艇などの購入予算は限られているからだ。ベニグノ・アキノ3世大統領は既に、フィリピン軍(AFP)の近代化に18億2000万米ドル(約1800億円)の予算を割り当てることを約束している。この金額は、中国が13年の国防予算として正式発表した額の1割強に過ぎない。(p.21) |
3 manolo 2014-05-18 18:19:41 [PC]
1-10. アキノ大統領は、近代化計画には、17年までに新型フリゲート艦2隻、対潜水艦戦能力を備えたヘリコプター2機、沿岸警備用の高速船3隻、水陸両用強襲車8台の購入が含まれていると述べた。すべてが計画通りに手配されたとしても(遅延が生じる可能性は極めて高い)、フィリピン海軍の能力強化に向けた取り組みは、実を結ぶまでに5年かかる。(p.21) 1-11 それより迅速に効果を発揮できるのは、米太平洋軍とAFPの協調、協力の拡大だ。米戦略国際問題研究所(CSIS)が11年6月23日にワシントンで開催した会議で、フィリピンのアルバート・デル・ロサリオ外相は「米国は今もフィリピンにとって一番の戦略同盟国だ」と強調し、フィリピンと米国の関係をリセットすることが「同盟関係が国内の目標を果たすとともに、世界の安定に貢献し続けるうえで不可欠になった」と指摘した。(p.21) 1-12. 公式声明では、中国に向けた措置ではないと明言されているものの、この2年間フィリピンを訪れる米国の軍艦の数が増えている。軍艦には空母や攻撃型原子力潜水艦も含まれている。軍艦には空母や攻撃型原子力潜水艦も含まれている。フィリピンは米国によるアジアへの「ピボット(旋回)」の発表を歓迎し、フィリピンへの米軍の定期ローテーション配備に向けて準備を進めている。(p.21) 1-13. また、フィリピンにとって米国は、海軍の各種装置や軍装備部品の主たる調達先でもある。フィリピンは既に、退役後に修復された沿岸警備用ハミルトン級カッター1隻の引き渡しを受け、2隻目の最終納品を待っている。どちらもミサイル配備能力は持たないが、2隻目はミサイル配備用に改造されていると伝えられている。(pp.20-21) 1-14. しかし米国との関係は南シナ海でいざという事態が生じ、フィリピンの安全保障が脅かされる状況になれば米国はフィリピンを支援するという「期待」に基づいている。この点は、日本の場合と異なる。尖閣諸島に対する日本の支配が脅かされた場合、米国がは日本を支援することに完全にコミットしている。(p.22) |
4 manolo 2014-05-18 18:46:01 [PC]
1-15. それでも、南シナ海、東シナ海双方において中国が強硬姿勢を強めていることは、フィリピンと日本を非常によく似た難局に立たせている。このところ、フィリピンと日本の間では安全保障の強化を模索するべきだとの意見が出ている。どちらも米国の同盟国であり、たとえ非公式なものであろうと、3カ国間の安全体制を確立することはできるはずだ。そうした体制の模索を促す共通の懸念材料は確かに存在する。(p.22) 1-16. 【史上最高水準に達する日比安全保障協力】 フィリピンと日本は12年7月に、向こう5年間を対象とする防衛協力拡大に関する合意文書に署名した。合意内容は、AFPと自衛隊の軍事交流、フィリピン海軍と海上自衛隊の相互訪問、内外の安保問題に関する会合の実施、防衛技術、知識共有。海洋安保に関する問題、情報交換などをカバーしていた。また、合意文書は、AFPの平和維持活動(PKO)センターと日本の防衛省統合幕僚学校国際平和協力センターとの協力拡大を明記している。(p.22) 1-17. 第2次安倍晋三政権発足後、岸田文雄外相の最初の外国訪問先は、今年1月に訪れたフィリピンだった。岸田外相は、フィリピンと日本は戦略的パートナーシップを強化する必要があると述べた。この流れに沿って、日本はPCGによる訓練強化、通信システムの改善、装置のアップグレードを支援することを約束した。今後2年内にPCGに移転される多目的先10隻は日本の資金で賄(まかな)われる。両国が直面する状況を認識するフィリピンは、日本の「再軍備」に関する提案を支持した。(p.22) 1-18. フィリピンと日本とがともに直面する戦略的状況は両国間で進む戦略・防衛協力を拡大させる大きなきっかけになった。両国政府が現在行っている協力のレベルは、日比関係の歴史上、例を見ないものだ。(p.22) 1-19. では、現状から踏み込み、安保関係をさらに強化する余地や理由はあるだろうか。東アジアにおいて両国が共有する状況を考えると、フィリピンと日本の戦略関係は維持すべきである。だが現状の枠を超えて関係を強化すれば、非常に危険な領域に足を踏み込む。というのも両国の関係強化が中国に向けられていることを否定するのが難しいからだ。(p.22) |
5 manolo 2014-05-18 19:00:53 [PC]
1-20 日本の海洋巡視船が南シナ海で活動すれば、中国がこれを挑発以上の行為と見なすだけではない。他の東南アジア諸国は恐らく、日本と中国の対立関係を東アジアの玄関先に持ち込む行為とみなすだろう。日比安保協力の強化は今後、外交努力に向けられるべきだ。特に、係争中の領土・領海を巡る当該国の行動規範の制定に向けて努力すべきだろう。(p.22) 1-21. ASEAN諸国は長らく、南シナ海の問題をカバーする行動規範の採用を求めてきた。中国が署名する形で行動規範が完成すれば、現在の地域内の緊張がさらに危険なレベルにエスカレートする可能性を小さくする上で大いに役に立つだろう。同時に、東シナ海の状況を規定する同様の取り決めの雛型になるはずだ。(p.22) 1-22. 東シナ海と比べた場合の歴史的背景の違いと力学の違いを理解した上でも、平和的な関係へ向けた持続的な道筋を見つけるためには、やはり、古くに確立され、維持されてきた立場を超えて物事を考える必要がある。日比協力関係は今後、これを念頭に置いて、その協力の矛先を向けるべき新たな針路を見いださなければならない。(p.22) |
6 manolo 2014-06-15 06:25:25 [PC]
【日本・フィリピン間で進む防衛協力拡大の主なポイント】 2012年7月2日 ・防衛相、自衛隊とフィリピン軍のハイレベル、実務レベル交流の実施。 ・自衛隊とフィリピン軍の相互訪問や訓練の実施 ・海洋権益の擁護や宇宙・サイバー空間の擁護、災害救助活動などで能力構築支援に関する協力 ・国際平和協力活動における協力促進(統合幕僚学校平和協力センターと比国軍PKOセンターの対話、交流) 2013年1月~5月 ・日本はフィリピンと、「戦略的パートナーシップ」に基づく協力を深化させていく ・2014年初めにも、政府開発援助(ODA)も活用して、フィリピン沿岸警備隊(PCG)に40メートル級巡視船10隻を供与 ・PCGの海上通信システム強化、能力構築支援を実施 ・海上保安庁にPCGの担当者を研修受け入れ (出所)外務省資料、防衛相資料、各種報道よりウェッジ作成(p.22) |
7 manolo 2016-03-09 00:25:04 [PC]
出典:『ニューズウィ-ク日本版』「南シナ海「軍事化」中国の真意は」、3/15/2016、pp.38-40 軍事 注目と議論の中心になっている西沙諸島へのミサイル・戦闘機配備だが 本当に軍事バランスを変えるのは南沙諸島での動きだ 2-1. 南シナ海における中国の軍事的進出が止まらない。最近も、西沙(パラセル)諸島に当たるウッディー(永興)島へ新たに紅旗9地対空ミサイル発射台と殱11戦闘機が配備され、大いに注目を集めている。とりわけ危機感を抱いているのはアメリカ政府で、中国による南シナ海のさらなる「軍事化」だと強く反発している。(p.38) 2-2. ジョン・ケリー米国務長官は先月、「習近平(シー・チンピン)国家主席はバラク・オバマ大統領とローズ・ガーデンに立ち、南シナ海を軍事化する意図はないと明言した」と指摘し、「しかし、あれやこれやの軍事化が進んでいることを示す証拠」は山ほどあるとした。その後、米上院軍事委員会の公聴会に出席した米太平洋軍のトップ、ハリー・ハリス司令官の言葉はさらに単刀直入だった。「私の見解では、中国は明らかに南シナ海の軍事化を行っている。それを否定するのは、地球は平らだと言うに等しい」(p.38) 2-3. そのとおりだろうが、ウッディ―島へのミサイル配備を新たな「軍事化」の証拠と論じるのには無理がある。「軍事化」の概念には何らかの現状変更が含まれるはずだ。しかし、中国は半世紀以上も前からこの島に軍隊を駐留させている。また、この島は人工島ではなく、以前から中国が実効支配している。つまり、突貫工事の埋め立てで造った人工島に滑走路や港を建設している南沙(スプラトリー)諸島ファイアリークロス礁の状況とは根本的に異なる。(pp.38-39) 2-4. ウッディ―島は自然にできた、昔からある島だ。地表面積は2平方キロを超え、西沙諸島では最大の島であり、56年に中国軍が占領して今日に至る。この島には「三沙市」の市庁舎がある。中国政府が12年に、南シナ海の島々を管轄する行政単位として新設したのが三沙市で、西沙諸島と南沙諸島に加え、マックルズフィールド堆やスカボロー礁も管轄している(三沙は中国語で「3つの島」を意味し、具体的には西沙諸島、南沙諸島と中沙諸島を指す)。(p.39) |
8 manolo 2016-03-09 00:27:56 [PC]
2-5. また新華社通信によれば、南シナ海の多くの島と異なり、ウッディ―島には、三沙市設置の時点でかなりの数の民間人が暮らしていたという。兵士も含めれば島の住民は1000人を超えるとされ、島には彼らの生活を支えるために政府の出先機関や病院、学校があり、銀行やスーパーマーケットまである。空港もある。軍事的な役割だけでなく、海南島の海口美蘭国際空港との間を往復する民間機も受けて入れている。最近の拡張工事で滑走路が延び、今ではボーイング737型機の離発着も可能になった。そしてウッディー島には、何十年も前から中国軍の基地がある。紅旗9地対空ミサイルや殱11戦闘機の配備も、今回が初めてではない。(p.39) 2-6. 【配備は恒久的なものか】 米太平洋艦隊のスコット・スウィフト司令官が語っているとおり、中国は過去に少なくとも2回、この島に紅旗9地対空ミサイルを配備している(いずれも軍事演習の一環だったが)。殱11戦闘機も、直近では昨年11月に飛来している。問題は、今回の配備の背景にある事情だ。「特に新しい展開ではないが、いったい中国側の意図は何なのか。いつまで配備を続けるつもりなのか。そしてこれら兵器システムの前方配備は恒久的なものなのか。それが問題だ」と、スウィフトは断言する。(p.39) 2-7. アジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)の専門家らが先に発表した分析で触れているが、紅旗9地対空ミサイルが配備されている以前から、ウッディ―島には複数の軍事施設が存在し、対空戦闘能力があったと考えられる。「同島には以前から2700メートルの滑走路、レーダーや航空機の格納庫があり、防空の備えがあった」とAMTIは指摘している。(p.39) 2-8. もちろん、今回の新規配備を軽視していいと言うつもりはない。もしも最新鋭の兵器システムの前方配備が恒久的なものであれば、それは南シナ海における人民解放軍の戦闘能力(接近阻止能力を含む)の向上を意味する。だがもっと重要なのは、ウッディー島での、最近の動きから、中国が今後、南沙諸島の新たな拠点でどんな行動に出るかを読み取れるかもしれない点だ。AMTIも指摘するように、結局のところ「ウッディ―島は南沙諸島、特にファイアリークロス礁、ミスチーフ礁、スービ礁における中国の進出の先行モデル」と言える可能性が高い。(pp.39-40) |
9 manolo 2016-03-09 00:29:41 [PC]
2-9. 西沙諸島と南沙諸島では、軍事化の意味が異なる点も見逃してはならない。米戦略国際問題研究所のボニー・グレーザー上級研究員が言うように、中国は「ずっと前に」西沙諸島を軍事化しており、「今は最新鋭の装備を導入している」段階だ。一方の南沙諸島では、中国は「軍事的にも民生用にも利用できる設備を『公共財であり、防衛だけが目的』と言い逃れしながら大量に建設してる」とグレーザーは指摘する。南シナ海を「軍事化する意図はない」という習の発言は特に南沙諸島について述べられたものだ。そうであれば、南シナ海における中国の本当の意図が試されるのは南沙諸島だとうことになる。(p.40) 2-10. 南沙諸島と西沙諸島にはもう1つ大きな違いがある。西沙諸島に関しては、領有権争いが存在しないという認識を中国側が持っている点だ。南沙諸島とは異なり、西沙諸島については(かつて領有権を主張していた南ベトナム政府軍が、74年の軍事衝突で中国軍に蹴散らされた結果)現に島々の領有権を主張し、実効支配しているのは中国だけだ。現在のベトナム政府も西沙諸島の領有権を主張しているが、中国はそれを認めず、解決すべき領有権問題は存在しないとする(尖閣諸島に関する日本の立場と似ている)。北ベトナム政府が56年に領有権を放棄したとも、中国は主張している。それゆえ、ウッディ―島における中国の軍事展開について問われた中国外務省の華春榮(ホア・チュン・イン)報道官は、「西沙諸島は中国固有の領土であり、領有権問題はまったく存在しない」と答えた。(p.40) 2-11. さらに、領有権問題が存在しない以上、中国とASEANが署名した02年の「南シナ海行動宣言」の対象に西沙諸島は含まれないと付け加えている。同宣言は、南シナ海における「平和と安全を脅かすような挑発行為の自制」などについて合意したものだ。(p.40) 2-12. 【騒ぎ過ぎるのは逆効果?】 この宣言があるからといって、中国政府が南沙諸島に軍事施設を建設しないとは限らない。何しろ、中国には南沙諸島も自国の領土と考えているのだから。中国国防部の呉謙(ウー・チェン)報道官は、将来的に南沙諸島にミサイルなどを配備する予定があるか問われると、「中国は過去も現在も、一時的にでも恒久的にでも、自国の領土にどんな兵器や装備を配備するかを決定し、実行する正当な権利を有する」と答えた。(p.40) |
10 manolo 2016-03-09 00:30:39 [PC]
2-13. ウッディ―島での最近の動きがここまで懸念されるのは、南沙諸島でも似た展開になる恐れがあるからだ。グレーザーに言わせると、中国は南シナ海での「接近阻止能力を獲得し、領海と領空の支配を強化しようとしている」ようだ。しかし同時に、これまで示したので同じ理由で、米当局者や安全保障のアナリストたちはウッディー島での動きばかりに目を奪われるべきではない。実際、ウッディ―島のミサイルや戦闘機配備に焦点を当て過ぎるのは逆効果をもたらしかねない。「中国の軍事化を騒ぎ立てるいつものパターンに陥るのが少し心配だ」と、米戦略国際問題研究所のアジア海事問題の専門家グレゴリー・ポーリングは言う。「アメリカや周辺国にとって本物の戦略的な問題だ。注意深い監視と政策対応は必要だが、アメリカが大騒ぎすれば墓穴を掘ることになる」(p.40) 2-14. AMTIも、南沙諸島の人工島へのレーダー施設建設が長期的にはより大きな懸念材料だと強調する。「西沙諸島のウッディ―島への紅旗9地対空ミサイル配備は注目に値するが、南シナ海の軍事バランスを変えることはない。しかし、「一方、南沙諸島へのレーダー施設の建設は、軍事バランスを大きく変える恐れがある」。西沙諸島に目を奪われているうちに、南沙諸島で起きる重大な軍事的変化を見落とせば、それこそ中国政府や中国軍思うつぼだ。(p.40) |
南シナ海領有権問題 (コメント数:10)
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1 manolo 2015-09-20 14:12:42 [PC] |
2 manolo 2015-09-20 14:14:29 [PC]
1-2. 地中海では、ここ数カ月間に数千人が水死した。今や世界で最も危険な国境だ。犠牲者の大半は身元不明で、関係者が把握できていない死者もいる。だが、アイランは違った。赤いシャツに青い短パンで砂に顔を伏せた遺体の痛ましい写真は、瞬く間に世界中での反響を呼び。長期に及ぶ戦争がもたらす犠牲の大きさと恐ろしさを象徴する一枚となった。(p.25) 1-3. 悲劇の規模は数字を見ても明らかだ。国際移住機関(IOM)によると、14年に地中海で命を落とした人数は3200人以上。今年末には3万人に急増する恐れがある。EU(欧州連合)が昨年に受け入れた亡命申請は60万件以上。「ベルリンの壁」崩壊以降、最大の件数であり、現在もまだ急増中だ。シリア、イラク、エリトリア、エジプト、リビア、ソマリア、南スーダン。戦闘やテロ、政治的混乱から逃れようとする人々は、危険を冒してヨーロッパを目指す。事態は第二次大戦後のヨーロッパで最大の難民危機となった。(p.25) 1-4. 危機が発生しているのは欧州だけではない。東南アジアでもここ数カ月だけで数千人が迫害や貧困から逃れるためにタイやマレーシア、インドネシアの海岸に上陸した。その多くはミャンマー(ビルマ)で迫害を受けたイスラム教徒の少数民族ロヒンギャの人々だ。タイのNGOアラカン・プロジェクトは、過去3年間に少なくとも10万人のロヒンギャ族がミャンマーから脱出したとみている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の推定では、東南アジアの難民は50万人以上。その多くは密航業者が「荷物」として運んでいる。今年5月には、約4000人が粗末な運搬船でバングラディシュ、タイ、インドネシア、マレーシアの海岸にたどり着いた。数百人は途中で溺死したとみられている。先週も、70人ほどのインドネシア難民を乗せた船がマレーシア沖のマラッカ海峡沖で転覆した。あと1カ月ほどで雨期が終わるため、海に出る難民は今後、さらに増える見込みだ。(p.25) |
3 manolo 2015-09-20 14:15:39 [PC]
1-5. だが、ヨーロッパと東南アジアの難民危機に決定的な違いがある。ヨーロッパは北アフリカから中東に連なる「不安と混乱の弧」の真上に位置している。この地域からの難民が求めているのは、よりよい生活よりも生命の保障だ。シリアでは、アサド政権が使用する化学兵器やISISの残虐行為。リビアは無法地帯と化し、イエメンは内戦状態が続く。彼らはいわゆる「経済難民」ではない。2,3年前には、大半の人々が故郷を捨てて危険な旅に出ようとは思わなかったはずだ。ヨーロッパの海岸に漂着したシリアやイラク、リビアの人々の水死体は「アラブの春」の失敗がもたらした悲惨な副産物だ。革命や政治的変革の失敗が招いた結果としては、おそらく考えられ得る最悪の事例だろう。アラブの春の余波は、政治的自由ではなく、死体の山を生み出した。(p. 25) 1-6. ヨーロッパの難民危機は、大混雑する鉄道駅や大量の難民申請以上に深刻な脅威をEUに突き付けている。EUそのものの将来に関わる根本的な問題だ。28か国で構成されるEUは、長きにわたり2つの柱によって支えられてきた。1つは、単一通貨ユーロ。もう一つは、域内における人間とモノの移動の自由だ。しかし、既にユーロの地位はギリシャ債務危機によって大きく揺さぶられ、ヨーロッパになだれ込もうとする難民の波は、「開かれた国境」というEUの共通理念を破壊しかねない。(pp.25-26) 1-7. イタリア、ギリシャ、チェコ、ブルガリア、イギリスなどでは、ハンガリーのオルバン・ビクトル首相に代表される極端な政治的保守派の意見に同調する言動が見受けられる。オルバンはかねてから「ヨーロッパの要塞化」を強く主張してきた。ヨーロッパの門前で深刻化する人道危機の解決よりも、ヨーロッパの国境管理の保全を重視する見方だ。すでにハンガリー、ブルガリア、ギリシャは陸路で入国しようとする難民を阻止するため、国境地帯に壁やフェンスを建設している。ハンガリー政府は、国境を越えてきた難民に催涙弾を発射したり、難民たちが鉄道でドイツや北欧に向かうことを阻止したりしている。オルバンは醜悪な排外主義と紙一重の表現を使い、いま難民の大量流入を阻まなければ、ヨーロッパに押し寄せる難民がさらに増えると主張する。(p.26) |
4 manolo 2015-09-20 14:16:33 [PC]
1-8. 幸い、このような主張ばかりだけではない。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、難民に背を向ける人たちを厳しく批判し、負担を分かち合うようヨーロッパ諸国に訴えている。「難民問題で責任を果たせないようなヨーロッパは、私たちが望むヨーロッパではない」とメルケルは発言した。口だけではなく、行動も伴っている。ドイツは先月、最初に到着したEU加盟国がどこであろうと、自国でシリア難民を受け入れる方針を表明している。ハンガリーのブタペストの駅で何千人ものシリア難民がドイツ行の列車に乗り込もうとしたのは、このためだ。(p.26) 1-9. この方針の下、ドイツが受け入れることとなる難民は莫大な数に上る。ドイツ政府によれば、今年ドイツに難民認定を希望する人は80万人に達する見込みだという。これは、昨年の4倍近い数字だ。それでもドイツだけの力では危機を解決することはできない。メルケルはほかのヨーロッパの首脳たちに対して、新たな割当制度をつくり、EU諸国で分担して12万人の難民を受け入れるよう提案している。具体的には、豊かな大国ほど多くの難民を受け入れることになる。ヨーロッパ諸国の指導者に対して、難民たちにもう少し門戸を広げるよう求める政治的なプレッシャーも強まっている。(p.26) 1-10. イギリスのデービッド・キャメロン首相はつい最近まで、難民の受け入れをどんどん増やしていくことは不可能だと発言していた(イギリスの審査を通過したシリア難民は現時点で216人だけだ)。しかし、アイランの遺体写真をめぐる世論の反応を受けて態度を一変させた。先週末、さらに「数千人」のシリア難民を受け入れる意向を表明。シリア、トルコ、ヨルダン、レバノンの難民キャンプに対する人道援助として1億ポンド以上を拠出することも発表した。(p.26) |
5 manolo 2015-09-20 14:17:46 [PC]
1-11. 【中東だけでない難民危機】 もっとも、負担を担うべきなのはヨーロッパ諸国だけでない。ペルシャ湾岸諸国、特にサウジアラビアは、自国内での難民支援と定住にもっと資源を割くべきだ。シリアや周辺諸国での紛争に火に油を注いでいる一因は、中東の石油資源なのだから。アメリカももっと貢献ができるはずだし、すべきである。イラクへの軍事的介入により、この地域を悩ますいくつかの問題のきっかけをつくった責任もさることながら、この4年余りで1500人しかシリア難民を受け入れていないのはアメリカほど豊かな国にしては少な過ぎる。(p.26) 1-12. UNHCRや世界食糧計画(WFP)などの国際機関への支援もまったく足りていない。UNHCRは昔よりずっと機敏に、難民キャンプを設置する以外の対応も積極的に行うようになった。しかし、難民の急増に態勢が追い付いていないのが現状だ。年間70億ドルという予算もあまりに少ない。WFPの資金不足も深刻だ、WFPは先週、食糧費支援を行うシリア難民の数を3分の1削減せざるを得なくなったと発表した。これにより、ヨルダンに滞在している約20万人のシリア難民がほぼ直ちに食糧費支援を打ち切られることになる。(pp.26-27) 1-13. 今後、難民危機はさらに深刻化することが予想される。現在、レバノン、ヨルダン、トルコ、イラクに滞在しているシリア難民は400万人。紛争で住む場所を追われたシリア人の数は、国内避難民を合わせ、1100万人以上に達する。その上、戦いが終わる見通しはまだまったく立っていない。しかも世界を見渡せば、これから難民が増加しそうなのが、中東・北アフリカだけではない。専門家によれば、アフリカのカメルーン、チャド、中央アフリカ共和国、マリ、ナイジェリア、スーダン、南スーダンからの難民も増加する可能性が高いという。(p.27) 1-14. ロヒンギャ難民も忘れてはならない。東南アジアの海路経由の難民としては、ベトナム戦争以来最多の難民が生じている。ロヒンギャの人々は、長期にわたり激しい迫害と虐待を受けながら、ほとんど黙殺されてきた。ミャンマー政府が大々的な人権蹂躙を認めているにもかかわらず、ロヒンギャ族の苦境を話題にする人はほとんどいない。悲しいことだが、痛ましい写真が世界の人々の目に触れるまで、ロヒンギャ族の危機が注目を集めることはないのかもしれない。(p.27) |
6 manolo 2015-09-20 14:21:57 [PC]
出典:『ニューズウィ-ク日本版』「「難民」か「移民」か その違いはどこに?」、9/15/2015、p.27 メディア 定義も線引きも曖昧な部分が多いが 正確に伝えるための努力は必要だ 2-1. いま世界各地にあふれるおびただしい数の避難民について、メディアはよく「移民」と「難民」という呼称を区別せず使っている。だが両者の間には、政治的・法的に違いがある。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、難民は「自国での紛争または迫害を逃れ、安全を求め他国に移る人々だ。一方、移民は「迫害や死といった直接の脅威でなく、主により良い生活や仕事、教育を求めて、あるいは家族との再会、その他の理由によって移住を選択」する人々を指す。移民と違って難民は、1951年に採択された難民条約の下で一定の法的保護を受ける権利が認められている。 2-2. カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは最近、地中海を渡ってヨーロッパを目指す人々を今後「移民」とは呼ばないという編集方針を発表した。その理由について、「移民という言葉の意味が本来の定義から変化して、対象となる人から人間性を奪い距離を置く、軽蔑的な意味合いを持つようになった」からだとしている。だがそうは考えていない向きもある。米ニューヨーク・タイムズ紙もCNNも「移民」という言葉を使っているが、そこに深い意味はない。一般的に使われる「移民」という言葉は、単により包括的な呼称にすぎない。 2-3. それに対し、「難民」という言葉には政治的な力がある。ヨーロッパで移民規制を訴える人々が「難民認定希望者(まだ認定されていない状態)」という言葉を好んで使う一つの理由は、それが彼らの移住動機に疑問の余地を残す呼称だからだ。「難民」が中傷と受け止められる場合もある。ハリケーン・カトリーナの襲来で被災し、05年8月にニュー・オーリンズから別の地域に移った人びと(主に黒人)に対して頻繁に使われた「難民」という呼称は、人種差部だとの声が上がった。 |
7 manolo 2015-09-20 14:22:48 [PC]
2-4. どこまでを「難民」と呼ぶべきかは、もっともな疑問だ。英タイムズ紙の記者ソミニ・セングプタは、砂漠化や海面上昇のような温暖化の影響で移住を余儀なくされた人々を難民と称するべきかどうかについて、今も議論が続いていると指摘している。なかなか完璧な定義はなく、境界線が曖昧なことも多い。そして包括的な呼称として「移民」を使うことにより、この重要な問題についての報道が不明瞭になりがちなのも確かだ。紛争や経済格差の拡大、生態系の変化などによって、前例のない数の人々が他国に安住の地を求めるようになっているなか、私たちはより正確に報じるよう努めなければならない。 |
難民 (コメント数:7)
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1 manolo 2015-08-12 22:57:49 [PC] |
2 manolo 2015-08-12 23:09:16 [PC]
1-3. 日本が近隣諸国と和解し損ねているのは、きちっと過去を償っていないからだとの意見が多い。「和解のためには、日本の首相が謝罪の言葉を口にしなければならない」と、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは最近も社説で主張した。この「常識」は、戦後ドイツの在り方を基に定着したらしい。西ドイツと後の統一ドイツは何度も心からの謝罪を重ねて、教育政策や記念施設建設などで戦争の現実をありのままに伝えようと取り組んできた。この姿勢がヨーロッパの関係修復を進め、対照的に日本の不十分な反省の姿勢はアジアの平和を妨げている」と、識者らは主張している。(p.25) 1-4. 東アジアの和解に関するこの常識は広く浸透している。だが、同時に大きな誤りである。まずこうした考え方は、ドイツの歴史に関する誤解の上に成り立っている。西ドイツは確かに第二次大戦中の残虐行為を償ったものの、同国の指導者が謝罪を始めたのは60年代に左派政権が誕生してからだ。その頃には謝罪と無関係に西ヨーロッパの和解が進行していた。(p.25) 1-5. ソ連の脅威を前に和解の必要性に迫られて、フランスと西ドイツは50年代に手を携えるようになった。既にこの時、西ドイツはイスラエルに賠償金を支払いナチスの犯罪に責任を取っていた。それはもちろん重要な節目だったが、当時のコンラート・アデナウアー首相の保守政権下ではまだ、ドイツの一般国民が味わった苦しみのほうが強調されていた。国民は無実で、ナチスの犯罪について何も知らなかったという主張だ。ドイツが謝罪を表明するようになったのは、もっと後のことだ。ドイツの謝罪が西ヨーロッパの劇的な和解をもたらしたわけでもなければ、和解に必ずしも謝罪が必要だったわけでもない。(p.25) 1-6. 謝罪なしに大きな和解が成立する場合もある。例えば戦後の日本とアメリカは、互いに謝罪もないまま劇的に関係を修復した。ヨーロッパと同様に日米も、ソ連の脅威を前にして戦略的に連携が不可欠と判断したのだ。(p.25) |
3 manolo 2015-08-12 23:26:21 [PC]
1-7. 謝罪不足が和解を妨げているとの「常識」で次に問題になるのが、謝罪を支持する人々がそれに伴う代償とリスクを無視していることだ。確かにおわびには数々の美点がある。反省の姿勢は相手への敬意を示す手段になるし、途方もない苦しみを味わった被害者たちを癒すのに役立つかもしれない。例えば先月、三菱マテリアル(旧・三菱鉱業)が日本の大手企業としては初めて第二次大戦中の米兵戦争捕虜の強制労働を公式謝罪した。元捕虜のジェームズ・マーフィー(94)は謝罪を受け、「今日は輝かしい日だ。70年の間、これを待ち望んでいた」と語った。(pp.25-26) 1-8.【国内の意見対立が外国を刺激】 さらに謝罪は、国と国とがより豊富な歴史記録を共有するのにも役立つ。それは今後の政策協議に活用され、かつての被害国との外交関係を促進する。(p.26) 1-9. では、謝罪に伴う副作用はとは何か。リベラル派はしばしば謝罪を好むが、この姿勢は保守派の考え方や政治目標とはイデオロギー的に相いれない。保守派は概して、自国について肯定的な側面を強調した歴史認識を好むものだ。そのため謝罪表明は、常に国内で激しい議論を巻き起こす。正しい歴史認識をめぐる論争が起き、しばしば過去の歴史を正当化したり、時には過去の行為を否定したりする動きも現れる。そんな泥仕合を外から見る人々は、議論の内容に激怒し、いったい何が目的なのかと疑念を抱く。何より皮肉なのは、かつての敵国との関係を改善するための謝罪が、実際は彼らを刺激してしまう可能性があるということだ。(p.26) 1-10. こうした力学は東アジアでよく見られる。90年代、リベラルや穏健保守の政治家らが相次いで日本の戦時中の行為について謝罪を表明した。これは保守派の怒りに火を付けた。彼らの多くが、なぜ日本だけがアジアにおける帝国主義支配の謝罪を求められなければならないのか、と声を上げている。韓国と中国の国民はこれに反発し、さらなる謝罪を要求する――日本のいら立ちと「謝罪疲れ」感は増すばかりだ。日本外交における実際の問題は、各国との友好レベルの深刻な格差と、過去をどの程度重視するかという考え方の相違によるものが大きいだろう。いうなれば、日本が抱えているのは「歴史問題」ではない。歴史は日本の外交のある部分で問題を引き起こしているかもしれないが、他の部分ではまったく問題になっていない。(p.26) |
4 manolo 2015-08-12 23:45:08 [PC]
1-11. 日米は対立を乗り越え和解を実現した。その過程で両国は第二次大戦の歴史観を調和させていく。その過程で両国は第二次大戦の歴史観を調和させていく。双方の不正行為は認めるものの謝罪要求などはせず、過去よりも未来に目を向けてきた。4月の安倍の訪米が盛大な歓迎を受けたことや、日米関係全般が緊密なことからも、両国でこの歴史観が支持されていることが見て取れる。オーストラリアやインド、フィリピン、シンガポールといった、戦時中の敵国や植民地の多くからは、アメリカと同様、「歴史問題」など聞こえてこない。これらの国々は戦後、友好的で生産的な関係を日本と築いてきた。中国の台頭によって周辺国の懸念が増すほどに、日本との協力関係は強化されている。(p.26) 1-12. だから日本には「歴史問題」はなく、あるのは中国や韓国との緊張関係だ。歴史がこうした緊張を生んでいるわけでもない。それより、戦略的な力が和解を成功または失敗に終わらせるかを決め、歴史はそれに応じて記憶される。日米関係や仏独関係では、結束する必要性によって過去を水に流すことにした。しかし、日中や日韓関係においては、戦略的な条件はその正反対の動きを促している。(p.26) 1-13. 中国と日本は地域の大国同士、ライバル関係にある。中国は日本の尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張し、両国は対立している。より大局的な見方をすれば、経済力と軍事力を付けた中国は、東アジアにおけるアメリカ主導の秩序に挑んでいる。その秩序の中で、日本はアメリカにとって最大の同盟国だ。安全保障問題で対立する関係になれば、当該国の指導者たちが互いに親密さよりも距離感を強調するようになることは、歴史が証明している。両国間の類似性よりも違いを、そうして好意的な感情よりも敵対感情を前面に押し出すストーリーが語られ始められる。(p.26) |
5 manolo 2015-08-12 23:51:42 [PC]
1-14. 【日本と離れ中国に近づいた韓国】 中国の場合は一党独裁制であるため、敵意を強調する言説をつくり出しやすい。国民の反日感情をあおるのは、中国共産党が長く得意としてきたところだ。反日プロパガンダ教育では、日本と欧米諸国によって「100年間の恥辱」を味わったと、「愛国教育キャンペーン」を展開。今年は9月3日を対日戦勝記念日として祝日に指定した。北京の抗日戦争記念館など、日本軍の非道さを記憶しておくための施設も複数ある。中国政府の態度は、過去を水に流そうとするベクトルとは正反対へ向かっている。その結果、日中の歴史問題は今後もっと大きくなり、物議を醸すようになるだろう。(p.26-27) 1-15. 韓国と日本は、戦略的なライバル関係にはない。実際、民主主義国家でアメリカの同盟国という共通点がある両国の関係が冷え込んでいることに当惑している向きも多い。長い年月をかけて、韓国と日本が歴史問題で前進した時期も過去にはあった。98年には両国の首脳が日韓共同宣言を発表。日本は過去の植民地支配について謝罪し、韓国側は未来志向の関係を築いていくことで合意した。しかし、中国の台頭や、それを受けた韓国政府の対応によって、日韓が目指した未来志向のパトナーシップ構想は頓挫した。韓国にとって中国の存在が経済的にも地政学的にも重要になってくるにつれ、韓国政府は中国をパートナーと見なすようになってきた。(p.27) 1-16. 中国は、日本と韓国とアメリカの3国同盟に包囲されるのではないかと恐れているが、韓国政府は自分たちにそんな意図はないと、中国政府を安心させることに努めている。「韓国には自国の成長を牽引してくれる国への攻撃に加わる余裕などない」と、英リーズ大学の韓国研究者エイダン・フォスター・カーターは指摘する。とりわけ朴槿恵(パク・クネ)大統領が就任してからは、韓国政府は日本による植民地支配の過去を利用して、日本との距離を取る一方で中国に近づこうとしている。(p.27) |
6 manolo 2015-08-12 23:56:34 [PC]
1-17. 日本と韓国または中国との緊張が和らぐ可能性は低い。日本と中国のライバル関係は過去の話でなく現在進行形だ。中国が深刻な経済危機に陥ったり政変が起きたりしない限り、競争関係は続くだろう。韓国については、日本と付かず離れずの距離を保つ可能性が高い。中国の脅威が高まりすぎて、もはや日和見主義ではいられないと実感したときに初めて、日本の側に付くだろう。韓国が日本やアメリカ側にもっと近づくべきだと決断すれば、日韓関係も劇的に変わるはずだ。そうした和解の過程では、日本と韓国双方が妥協の意思を見せた新しい歴史観も生まれるだろう。(p.27) 1-18. 【国際社会でのイメージアップ】 日本の過去の記憶は、中国や韓国との緊張関係の原因でも解決策でもない。日本政府によるさらなる謝罪は、国内での反発を今以上に強める。そして、その反発に失望した中国や韓国は、さらなる謝罪を求めるだろう。日本政府が謝罪してから20年、中国と韓国との関係は悪化しただけだ。それでも、日本が関係改善のため、そして世界でのイメージアップのためにできることはある。過去を振り返れば、大きな論争に発展するのは、日本の政治家が戦時中の日本軍の行為について否定した時だ。そのような否認は、犠牲となった国々との関係を悪化させるだけでなく、国際社会での日本のイメージにも泥を塗る。(p.27) 1-19. 日本の政治家や知識人は、その歴史をどう見るかについて議論を重ねていくべきだが、戦時中に日本軍が近隣諸国にもたらした被害は認識しておくべきだ。今は亡きアメリカの元上院議員ダニエル・パトリック・モイニハンはかつてこう言った。「自分の意見を言う権利は誰にもあるが、自分で事実を作り上げる権利はない」(p.27) 1-20. 日本は戦時中の残虐行為を認め、いま世界で起きている人権侵害も厳しく非難することにより、中韓との緊張関係を緩和できるだろう。謝罪することが目的ではなく、誠意を見せることが重要なのだ。つまり、日本政府はこれ以上の謝罪は必要ないが、過去の侵略と植民地支配を一貫して認め続けなければならない。そうすれば、地域の、世界のリーダー的存在となるべき道徳観を示すことができる。何より、そのような方針は日本の価値観に合致している。(p.27) |
謝罪と和解 (コメント数:6)
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