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材大なれば用を為し難し

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スレッド名コメント作成者最終投稿
宇治少佐の居間1 Ryou 2014-04-10 20:32:36 Ryou
恐らく其の源は1 Ryou 2014-04-01 18:22:14 Ryou
衆的性格の一つの1 Ryou 2014-04-01 18:21:00 Ryou
日本の演劇に於ける雄弁は1 Ryou 2014-04-01 18:20:23 Ryou
最後につらね1 Ryou 2014-04-01 18:19:53 Ryou
もう一つ八番目には六法1 Ryou 2014-04-01 18:19:23 Ryou
歌舞伎劇で本物の俳優が2 Ryou 2014-04-01 18:18:58 Ryou
木琴を鳴し歌を唄つて1 Ryou 2014-04-01 17:59:36 Ryou
何でもないのですが1 Ryou 2014-04-01 17:59:04 Ryou
其次は荒事1 Ryou 2014-04-01 17:58:36 Ryou
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1 Ryou 2014-04-10 20:32:36 [URL]

宇治少佐の居間――夕刻

従卒太田(騎兵一等卒)が軍用鞄の整理をしてゐる。
鈴子夫人が現れる。


夫人  さ、此の毛糸のチヨツキをどこかへ入れといて頂戴。――あとから送つてもいゝけれど、どさくさ紛れに失くなされでもするとつまらないから……。それに、もう、あつちは、九月になると寒いつて云ふぢやないの。――何もかも、あんたのお世話になるのね。ほんとに、よろしく頼むわ。大変だらうけれど……。病気だけは気をつけてあげて頂戴ね。すぐおなかをこはすのよ。
従卒  さうすると、入れるものは、これだけでありますか。
夫人  さうね……。もう大概それくらゐのもんね。お護りはあすこへ入れたと……。
従卒  ウイスキイは二本でよろしうありますか。
夫人  沢山でせう。御自身でも一つ、図嚢へ入れてらつしやるのよ。
従卒  太田も一つ持つて行きます。それから馬丁もゐますから……。
夫人  そんなに……? 寒い晩にお酒なんかあがるのはいけないんださうだけれどね。よく凍死するんですつて、それで……。
従卒  は?
夫人  凍えて死ぬのよ。お酒に酔つてなんかゐると……。
従卒  どうしてでありますか。
夫人  どうしてだか知らないけれど……。婦人会の講話で、さう云ふお話をうかゞつたことがあるわ。あんたは飲まないのね。
従卒  はあ駄目であります。
夫人  駄目の方がいゝわ。
 
1 Ryou 2014-04-01 18:22:14 [URL]

恐らく其の源は支那劇であらうと思ひます。大体之で能と歌舞伎の事は申しましたから、之位にして置きます。
 最後に新興演劇に就てお話します。明治以来の新らしい演劇は之も歴史的にどう云ふ風になつて来たかと云ふ事を申上げますと、それは大変面倒でありますし、直接興味が薄いと思ひますから、現在行はれて居る芝居の中で明治以後に於て生れた芝居に就て一通り目を通して見たいと思ひます。先づ第一は歌舞伎劇を幾分新らしく書き直し、或は歌舞伎劇のテクニックで一つの新らしい歴史劇を試みたと云ふものがあります。之は主として歌舞伎俳優に依つて演ぜられ、さうして外の歌舞伎と並んで同時に同じ劇場でやつて居るものであります。然し兎も角も一方に歌舞伎劇と云ふ純粋な其の古典劇を持つて居る。吾々は其の歌舞伎劇自身の魅力には十分陶酔し得るのでありますけれども、併し吾々が舞台に求める歌舞伎が総てのことを与へて呉れないと云ふことに気が付きました。
 
1 Ryou 2014-04-01 18:21:00 [URL]

花道も舞台と見物席と非常に親密にさせる日本演劇の民衆的性格の一つの現れでありまして、斯う云ふ風な歌舞伎の形式は欧羅巴の新らしい芝居の中にも模倣或は影響が見られるのであります。もう一つ最後に扮装の事でありますが、扮装に於て歌舞伎の衣裳、鬘と云ふものも注目すべきであります。殊に化粧でありますが、其の化粧に就て矢張り独特な見方があるのです。之も精しくいふと非常に長くなりますが、其の中でも例の隈取り。此隈取りと云ふのは人物の容貌と表情とを誇張した扮装術で、其の人間が良い人間か、悪い人間か、強い人間か、優しい人間かと云ふことがひと目でわかるのでありまして、其の特徴を現すと云ふ方法が非常に発達して居ります。最も此隈取りは支那劇に在るのであります。
 
1 Ryou 2014-04-01 18:20:23 [URL]

日本の演劇に於ける雄弁は西洋の希臘劇以後近代劇に於ける雄弁と似て居て非常に面白いものだと思ひます。今日之をお話することは止めて置きます。更に複雑化して舞台で一人の俳優が文句を云ふと其の次の者が云つて、其次々々と段々に台詞を渡して行くのが渡台詞であります。これで歌舞伎の中で特に見せ場と云ふもの、代表的なものを挙げました。猶ほ少し時間が経つた様でありますけれどもちよつとお話しすれば、歌舞伎の中で廻舞台、花道、迫出し、之は劇場の建築と共に日本固有の演劇形式であります。迫出しと云ふのは舞台の下から上の方にずつと人間を押出す仕組みで、今日の舞台でさう云ふ道具を使ふことは珍らしくありませんが、非常に古い時代に下から舞台を人間と一緒にぐつと持上げると云ふことをやつたのは歌舞伎だけだと思ひます。
 
1 Ryou 2014-04-01 18:19:53 [URL]

最後につらね。つらねと云ふのは渡台詞或は厄払と云ふ様な物に共通するものがありますが、之は今の六法を踏みながら云ふ台詞でありまして、それはどう云ふ事を云ふかと云ふと主に名乗りに使ふ。自分はどう云ふ素性でどう云ふ人間だと云ふことを、舞台の者に言ふと同時に見物に聴かせるのです。其の名乗りに使ふのです。それから或る場所を説明します。此場所は斯う云ふ名称であると云ふ説明をします。其の説明が非常に流暢な美文でありまして、之は此歌舞劇の中に於ける一つの雄弁の要素を代表したものであります。
 
1 Ryou 2014-04-01 18:19:23 [URL]

もう一つ八番目には六法。非常に大きな太刀を両刀差して、両手を大きく振つて脚で大股に踏張りながら歩いて行く。之は矢張り芝居の或る方面で六法と云ふのをやりますが、見物の視線を一人に集めると云ふことが主になつて居ります。其の歩き方は江戸時代の或る種の人物の最も得意げな歩き方を代表して居るのであります。それはどんな階級かと云ふと、例の侠客が自分の好な女の所に歩いて行く其の歩きつ振を真似したものであります。今日では歌舞伎ではそれは主役の俳優が舞台から花道をずつと引込んで行く時に使はれて居ります。
 
1 Ryou 2014-04-01 18:00:05 [URL]

歌舞伎劇で本物の俳優が舞台に出るのですがそれにも拘らず其の本物の人間が色々な事を演り尽した上、どうも面白くないと云ふので俳優が人形の真似をする。俳優が人形浄瑠璃の振りをするのであります。俳優は成る所に行きますと、いきなり音楽に合せて人形の表情で人形の手つき足つきで踊を踊るのです。其時は後に人形使ひになる黒い著物を著た男が居ります。さうして其の俳優を人形の様に見せる。それが人形振りであります。其次が立廻。此立廻りといふのは昔は矢張り非常に勇気があり同時に、技術の優れた人間が大勢の人間を対手にして其の大勢の人間を皆斬り倒すと云ふ場面でありますが、其の為には実は普通の人間には持てない様な刀を一ふり振つて其処に居る雑兵共が皆倒れる。

2 Ryou 2014-04-01 18:18:58 [URL]

之が立廻りぶりであります。元は単純なものでありましたが、それぢや見物が満足しなくて後に軽業式になりました。之は斬られる人は大勢居りまして一人々々を違つた形で斬り倒す。斬られる方も亦た夫々違つた形で倒れます。斬られて唯だばたりと倒れたんぢや興味がないので顛覆つて倒れる。或は上にくるつと顛覆へして殺すと云ふ風に。斬る方も斬られる方も技術を尽すと云ふのであります。即ちそれがアクロバシイでもあり、同時に舞踊でもあるのであります。之は結局殺されるとか殺すと云ふ場面を軽業化し、同時に踊にするとユーモアが出て来るのであります。
 
1 Ryou 2014-04-01 17:59:36 [URL]

木琴を鳴し歌を唄つて出て来ます。其の盲の音楽家は由緒正しい武士の変装したものである。それが早変りの場合に目の前にあつた池の中に飛び込む。其の瞬間後の方から立派な武士が出て来まして、実に目にも止まらない早業で池の中に飛び込むと、直ぐ後から立派な武士が出て来ます。それが早変りであります。俳優がそれを非常に巧くあつと言ふ間に変りますと当時幕府からお小言が出て、何かバテレンの法を使つてゐはしないかと云ふことで警邏の者が調べに来たといふことであります。其次に人形振といふのがあります。之は一つの芝居が一つの技巧に徹した証拠であります。
 
1 Ryou 2014-04-01 17:59:04 [URL]

何でもないのですが、さうすると其時に舞台監督たるマネーヂヤーは、幾ら力が強くても片手ではまるで嘘見たいだから両手で上げたら宜からうと云つたら、其時に俳優は何方らにしても、家を持ちあげるのは嘘にきまつてゐる。力を強調するためには、片手の方が効果的だと云つて、それ以来其の芝居は片手で家を持上げる様になつたと云ふことであります。其次に早変り。之は一人の俳優が二人の役をするのであります。之は西洋にもあります。早変り専門の俳優と云ふものがあります。座頭と云ふ盲人の音楽家が或る場面に出て来ます。
 
1 Ryou 2014-04-01 17:58:36 [URL]

 其次は荒事、之は先刻の殺場、責場と違ひまして、之は唯非常に力が強いとか、非常に勇気があると云ふ人物を舞台の上に出して、無論殺伐ではありますけれども、非常に豪放な印象を見物に与へます。例へば男が家の縁の下に這入つて家をいきなりうんと持揚げて仕舞う場面とか、或は大きな船をいきなり片手で振り廻すとか、さう云ふ人間業では到底出来ない様な力を其処に見せて、見物に溜飲を下げさせると云ふ様なことであります。或る俳優が或る芝居の中で家を持上げる場面を今迄両手で持上げてゐた。然るに一人の俳優は片手で持上げました。色々な仕掛けがありますから何方らで上げても同じであります。
 
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