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材大なれば用を為し難し

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それから一と月ばかりたつた1 Ryou 2014-01-25 11:28:42 Ryou
阿部正雄君のこと1 Ryou 2014-01-18 19:14:06 Ryou
もう一つ不思議に思つたのは1 Ryou 2014-01-18 19:13:28 Ryou
どんなことを話したか1 Ryou 2014-01-18 19:12:35 Ryou
画家のアトリエ1 Ryou 2014-01-18 19:12:12 Ryou
私はそこで1 Ryou 2014-01-18 19:11:40 Ryou
結局、話題を他に1 Ryou 2014-01-18 19:11:25 Ryou
私は巴里滞在中1 Ryou 2014-01-18 19:11:01 Ryou
シナリオといふものが1 Ryou 2014-01-18 19:10:38 Ryou
一人暮らしがしやすい物件とはどういうところ1 Ryou 2014-01-18 19:08:25 Ryou
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1 Ryou 2014-01-25 11:28:42 [URL]

 それから一と月ばかりたつたある日の昼すぎ、素子は伯爵家の書庫で最近買入れた古文書類の目録を作つてゐた。
「斎木さん、お電話……」
 と、奥女中のお鶴さんが知らせに来た。出てみると、男の声で、
「いまお暇ですか?」
 咄嗟に、いろんな男の顔が眼に浮んだ。
「どなた?」
「僕、幾島です。ちよつとお目にかゝりたいんですが……」
 彼女は、ちよつと躊つた末、
「あたくしに? えゝ、それやいゝけど、今すぐ?」
「早い方がいゝんです。若しできたら、伯爵にもちよつと会へるやうにしてください、これや、しかし、今日でなくつても……」
「ぢや、こちらへいらしつてよ、お待ちしてますわ。伯爵のご都合はあとで伺つてみますから……」
 さう返事をして電話を切つたものの、いつたいどんな用事で、こんなに急に会ひたいといふのか、殊に伯爵に会はせろといふのはどういふ目的なのか、彼女は、彼のその後の消息をまるで聞いてゐないだけに、ちよつと気になつた。
 が、やがて、取次の給仕が彼の名刺を持つて来た。
「小さい応接、空いてるわね。あつちへお通して」
 幾島暁太郎は、その応接の瓦斯ストーヴの前で、珍しさうに部屋の様子を見廻してゐた。
「いらつしやい。随分ご無沙汰ね。今日はなに、お休み?」
 素子は、女主人ではないが、それでゐてちやんと自分の家にゐる気安さを、すべてに示してゐた。
 
1 Ryou 2014-01-18 19:14:06 [URL]

 阿部正雄君の戯曲『骨牌遊びドミノ』を紹介します。
 阿部君は、なかなか世間を知つてゐる。そして、少しばかり、世間を甘く見てゐる。一応、客観的態度を取り得る修業もできてゐる。しかし、さういふ自信の方が強い場合もある。これが、その作品中の人物に対して、ややもすれば、作者としての感情的デリカシイを欠く理由である。
 阿部君は才気の人である。この才気が、観察と想像の方向に働かずして、それらの速度に働く傾向が著しい。作品に近代的テンポを与へることに成功し、この題材にも拘らず、比較的新鮮なトオンを添へるに至らない原因である。
 阿部君のなかのジュウル・ロマンは、ルノルマンは、さては、少しばかりのアンドリエフは、今に影をひそめるだらう。しかし、さうなつても、阿部君には阿部君が残つてゐる筈だ。その阿部君は、一種の感傷的虚無主義者以上のものであることを私は信じてゐる。
『骨牌遊びドミノ』は、上述の如く、やや本質的ともいふべき欠点を示してはゐるが、兎も角も、整然たる一篇の生活史であり、豊かな色彩とメロディアスな情緒をもつ諷刺劇として私の興味を惹いた。(一九三〇・三)
 
1 Ryou 2014-01-18 19:13:28 [URL]

 もう一つ不思議に思つたのは、これもある友人のアトリエで、私のふと目撃した「事件」についてである。
 それまで神妙にポオズをしてゐたモデルが、休息の時間を与へられると、いきなり部屋の隅の洗面台の下から、大きなバケツを引つぱり出し、その上に跨がつた。何をするのかと思つてゐると、こつちが眼を反らす暇もなく、鼻唄かなんか口吟みながら、悠々と用を足しはじめたのである。これくらゐ、てれくさい話はない。私は友人の顔をちらと見たつきり、窓外の緑に眼を転じて、つらつら美術の精神について考へた。
 モデルが帰つたあとで、私はこの友人の口から、「ああいふ女」が好きだといふ話を聞かされた。
 なるほど、「ああいふ女」が好きである美術家に、私は一応敬意を払ひたい。なぜなら、それによつて、私の感情の古めかしさを教へられたからである。実際、さういふところにも、アトリエの新鮮さがあると、私は常に感じてゐる。(一九二七・一二)
 
1 Ryou 2014-01-18 19:12:35 [URL]

 その後は、どんなことを話したか覚えてをらぬが、それから一年もたつてからのこと、その画家は私に向つて、面白いことを云つた。
 ――君がはじめて僕のアトリエに来た時、壁といふ壁にあんなにかけてあつた僕の画を見て、お世辞にでもなんとか云はうとしない無頓着振りには、全く感心したよ。それより第一、絵かきのところへ来て、絵がそこにかけてあることさへ気がつかないやうなんだ。
 ――腹がへつてたからだらう、きつと。
 ――いや、飯を食つてから後でもだ。
 ――腹がふくれたからだよ、それや……。
   ……………………………………
 こんな冗談にまぎらはしたものの、私は内心、画家を友にもつ資格のないことを恥ぢた。
 私が最も驚異の眼を見はつたのは、ある友人に連れられて、モン・パルナスの某画塾を見に行つた時である。男女数十人の研究生が、モデル台に立つた一人の男を――丸裸の男を写生してゐた。モデルといふ職業も、人事ながら容易でないと思つたが、まだ日本なら肩揚も取れないほどの少女たちが、顔も赤らめず、「裸の男」を忠実に「頭から足の先」まで写生してゐる有様は、全く見てゐて、こつちの顔が赤くなるやうな気がした。かういふ場合に、かういふ感情を起すことが抑も「絵を描かない人間」の悲しさだらうが、それにしても、「絵を描く人間」は、そんなに、肉体といふものに対して、特別な観方、感じ方ができるのだらうか。できなければいけないのだらうか。私は少し憂鬱な、同時にまた滑稽な気持でその画塾を出た。
 
1 Ryou 2014-01-18 19:12:12 [URL]

 画家のアトリエにはひつた時、われわれは、その家の主人を画家として以外に見ることはできない筈である。つまり、雑談の間にも、一度は「絵の話」がでる。「彼の絵」がさうさせるのである。ところが文士の書斎は、時には、実業家の応接室と選ぶところなく、温泉場の碁会所と選ぶところなく、停車場の待合室と選ぶところがない。「彼の本」は、実際背中を向けたままでゐるからである。
 私はある時、初めて識り合ひになつた画家に伴はれて、深夜そのアトリエにはひつたことがある。屋根裏の薄暗い部屋である。私たちは、話に夢中になつて、その日、夕食を食ひ損つたのである。その画家はアトリエの一隅で、アルコオル・ランプに火を点け、米の飯を焚き出した。茶めしを御馳走しようと云ふのだ。私は空腹を抱へて飯のできるのを待つた。やがて、醤油の煮える香ひがしだした。巴里で嗅げば、これもノスタルヂヤの種だ。
 ――さあ食ひ給へ。
 
1 Ryou 2014-01-18 19:11:40 [URL]

 私はそこで、この一組の男女が――画家なる男とモデルなる女とが――いかなる関係なればこそ、かくも同時に、幸福であり、得意であり得るかを疑つた。
 第四に、自分の描いた絵を、一々、壁にかけて置いて、朝な夕な、煙草を吹かしながらそれを眺め暮せるといふことである。
 なるほど、文士の書斎には、自著が行儀よく、本棚の中で背中を並べてゐるかもしれない。しかし、背皮の標題が語り得る範囲は、極めて狭く且つ漠然としてゐる。
 ある画家はかうも云つた。――自分の絵が永久に自分の手許から離れて行く気持は淋しい、と。それには同感できないこともないが、その気持は、また考へやうによつて、なかなかロマンチツクでいいではないか。自分の本が、二足三文で夜店に晒されてゐるなどはあんまり散文的だ。
 余談になつたが、われわれが自作を読み返す興味は、殆ど一つの努力に等しい。これに反して、画家は、さういふ努力なしに、過去の仕事を刻々振り返つて見ることができる。そして、自分の歩いて来た道を絶えずはつきりと見きはめ、そこからいろいろな刺戟と、慰藉と、希望とを汲みだすのだ。
 
1 Ryou 2014-01-18 19:11:25 [URL]

 結局、話題を他に移すより外はない。実際われわれが机に向つてゐるのを、人は手紙を書いてゐるくらゐにしか思はないらしい。その証拠に、少し待つてくれと云ふと、五分も待てば十分だといふやうな顔をしてゐる。
 第三に、絵に描く対象をすぐ、自分のわきに置いておくといふことである。それが美しいモデルなんかだと、一層面白い。この美しいモデルといふものは、どうして画家の専有物なのか。われわれだつて、ああいふものを傍らに侍らしておいて、それから必要なインスピレエシヨンを受けることはちつとも差支ないと思ふが、どうだらう。一人の小説家なり戯曲家なりが、ある女性に興味をもち、その美しさを「描く」ために、彼女を自分の書斎に閉ぢ込め、毎日時間をきめて、その肉体と精神の「姿態」を観察するとしたら、世間はなんと云ふだらう。よしんば、彼女を一度も裸にしないでも、これは「問題」となるに違ひない。
 私はある画家のアトリエを久しぶりで訪ねたが、その画家は、新しいモデルを手に入れたばかりのところで、大いに上機嫌だつた。彼はそのモデルを前において、あらゆる讃嘆の言葉を放つた。それは半ば私に聞かせるためであり、半ば彼女に聞かせるためである。或は、さう考へるのが既に私のお目出度いところで、実は、私の耳を通じて、その讃辞の悉くを彼女の耳に伝へてゐたのかもしれない。
 
1 Ryou 2014-01-18 19:11:01 [URL]

 私は巴里滞在中、二三の画家諸君と識り合ひになり、ちよいちよいアトリエを訪ねるやうなこともあつたが、いつでもその仕事振り、生活振りに多大の興味を惹かれた。
 第一に、いかにも楽しさうに仕事をしてゐる。母親が娘に晴着を著せてゐるやうだともいへるし、子供がお土産に貰つた寄木細工を弄んでゐるやうだともいへ、或はまた、酒飲みが晩酌の膳に向つたやうでもあり、善良な夫が細君の独唱を聴いてゐるやうでもある。
 第二に、訪問者の相手をしながら、平気でカン※スに向ひ、それでさほど煩はされもせず、訪問者も一向退屈しないといふことである。これは人によつても違ふのだらうが、さういふところは、われわれ原稿紙に向つて字を埋めて行く商売とは甚だ隔りがある。
 ――どうだい、この絵は……
 ――面白いね。
 話は甚だよくわかる。われわれの方では、さうは行かない。
 ――今、一寸したものを書きかけてるんだ。
 ――どこへ出すの?
 ――頼まれたもんだから、仕方なしに書いてるんだ。方面違ひの美術雑誌さ。
 ――へえ、脚本かい。
 ――ううん、なんでもいいつて云ふから、なんでもないことをだらだら書いてるんだ。
 ――随筆だね。随筆の筋なんてものはないかもしれないが、一体どういふことを書くつもりだい。
 ――書いて見なけれやわからんよ。
 
1 Ryou 2014-01-18 19:10:38 [URL]

 シナリオといふものが、文学の一つのジヤンルとして発達するかどうか、例へば戯曲のやうなものになる可能性があるかどうか疑問である。しかし、映画の本質と結びついた、或は、映画の本質を本質とするやうな、新しい韻律文学の一形式が生れるであらうことは予想できる。さうなれば、シナリオ作者がはじめて映画的創造に参与することになるのである。単に物語の筋だけを――仮にコンポジシヨンを含めたとしても――提供するシナリオといふものなら、決して独立した文学的価値などは求められないと思ふ。小説で事足りるのである。
 今度出版されるシナリオ文学全集は、さういふ見透しと感覚とで編輯されるに違ひない。私は、編輯責任者を信じ、日本映画の将来のために、この全集が重要な役割を果すことを祈るものである。
 
1 Ryou 2014-01-18 19:08:25 [URL]

生まれてはじめて親元を離れて生活をするという人が初めてしなければいけない第一の難関といえばやっぱり一人暮らしをはじめるにあたっての物件選びだと思うのです。
いままで物件選びなんてしたことがない人がいきなり自分の住所を選びなさいなんていわれてもどういうところがよくてどういうところがダメなのかなんてわかるわけないと思います。
ですので、今回は一人暮らしをするための物件で抑えておきたいポイントというものを紹介したいと思います。
一人暮らしの物件で一番大切なこと、それは防犯です。
やはり一人暮らしというのは空き巣にも入られやすかったりしますので防犯機能が高いところ選ぶといいと思います。
とくに女性の一人暮らしは危ないのでここは絶対に抑えておいたほうがいいです。
 
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