蘇える金狼(1979年)
[スレッド一覧]
[返信投稿]
[▼下に]
<<始㌻ <前㌻ 次㌻> 終㌻>>
page 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16 17
18
19
20

1
@kira 2013-02-08 22:00:00 [携帯]
の画像を貼りましょう。
152
@kira 2013-02-26 14:53:02
[画像] [携帯]
と言ってみたものの朝倉の弾道学は、所詮は机上の空論、弾がどこへ跳んで行くかは文字通り、神のみぞ知る事だ。
しかし、野望を達成する為には、ハッタリを裏打ちする知識で『コイツなら、やるかも知れん』と磯川に信じ込ませなければならない。
ここで必要とされるのは精神力だ。
朝倉がふてぶてしく、余裕の態度で磯川に対峙するからこそ、この駆け引きが成立する訳である。
強靭な肉体、明晰な頭脳、不屈の精神力が朝倉の野望達成には不可欠なのだ。
このシーンは、磯川を演じた南原宏治の存在無くしてはありえない。
白髪の頭髪と髭に丹前姿に葉巻、顔は典型的な悪役メイク。年老いた獅子の如き風貌は、雑魚どもを萎縮させるに充分。劇画に出てくる悪人そのものだ。
何故、こんな男が議員に当選出来るのか不思議だ。
市議会議員が麻薬を密売していて、家には銃を構えた用心棒がいる。ここは本当に法治国家・日本なのか。
あんなデカい御屋敷に住むには、さぞかし悪い事いっぱいしてるんだろうなぁ。
悪役は映画にとって、なくてはならないものだ。
悪役がいる事で主人公の存在感が強くなる。悪役が悪く見えないと主人公の存在意義もなくなり、話もつまらなくなる。
まさしく、映画の出来は悪役次第と言える。
南原宏治のように、的確な悪役芝居が出来る俳優は尚更貴重である。しかも、2枚目である。さすがは大映のニューフェイス。
南原氏演じる磯川には、ひとかけらの善もない。それでいて、ユーモアも感じさせる演技は流石である。
南原氏は当時、52歳。しかし、どう見てもひと回りは老けて見える。
現在の若手俳優が、30年後にこんな演技は到底出来ないだろう。
南原氏は『赤い手裏剣』『拳銃は俺のパスポート』など、大藪春彦原作の映画に出演しており、大藪作品にも縁が深い。
惜しい事に既に故人である。
彼のような悪役がやれる俳優がどんどんいなくなってゆくのが寂しい…。
優作とは『太陽にほえろ!』『探偵物語』で共演している。
153
@kira 2013-02-26 14:54:19
[画像] [携帯]
シーン41
暗い部屋で、磯川との対決に備えて銃の手入れをする朝倉。
『遊戯シリーズ』でも、こんな描写があったが、一見地味なこういったシーンがたまらなく好きだ。
磯川からの電話に、取り引きの場所と時間を指定する朝倉。
自分が主導権を握る事で、取り引きする際のリスクを減らす作戦だ。
しかし、それで危険回避出来るなら映画は成立しない。
朝倉に一本取られた磯川が、苦虫を噛み潰したような表情で部下を指定場所へと向かわせる。横で植木が、朝倉に葉巻を押しつけられた左手をさすっているのも可笑しさに溢れている。
格闘技ファンなら、K‐1グランプリのレフェリー・猪狩元秀が、磯川の用心棒役で出演しているのも嬉しいところだろう。一体、どういう経緯で出演していたのか。友情出演なのか。
154
@kira 2013-02-26 14:59:25
[画像] [携帯]
シーン42
ボートに乗った朝倉が第二海保に、やって来る。
巌流島の決闘を想起させるシチュエーションだ。
ジャンプスーツにサングラスを掛けた朝倉は、接岸するとすぐさま、岩場を駆ける。
シーン43
地下道を抜けると、視界が広がった。
そこには、銃を手にした磯川の部下が数人、朝倉の到着を待ち構えていた!
朝倉は手始めに、堤防と屋上にいる男をパチンコで倒した。
相手に気づかれずに、一人一人確実に始末していく作戦だ。
見張りを倒した朝倉は、地下道を抜け出して島の中心部に向かう。
防壁に挟まれた道を行く朝倉。
途中の階段に外したサングラスを置き、上に。
下を歩く見張りに飛び降りざまに、ナイフで飛びかかる。
階段の上にいた男の胸にナイフを突き立てる。
階段をずり落ちながら、絶命した男の銃が暴発。
地下道を通り、遂に中心部に到達。しかし、無数の見張りが行く手を遮る。
朝倉は銃を構えて、強行突破を決行。
朝倉に感づいた部下が、機関銃で撃ってくる。疾走する朝倉の足許に跳弾。
砲台に迫って来る朝倉。
部下が一斉に撃ってくる。
とうとう、砲台に到達!
飛び出す男達。
砲台の上から銃を構える朝倉。
やって来た部下の頭部を撃つ。
砲台から降りて銃を構える朝倉。消える。
砲台下に来た朝倉は、男二人を連続して射殺。
落下する男。爆発。
砲台下から静かになった島を見渡す朝倉。
155
@kira 2013-02-26 15:00:38
[画像] [携帯]
劇場版の台詞
磯川『やぁ』
朝倉『総額で一億だ。確認してみろ』
植木『確かに』
磯川『そうか・・・では、今度はあんたの番だ』
磯川『な、なにをする!』
朝倉『動くんじゃない!』
磯川『・・・・・!』
朝倉『火、貸してやろうか?』
朝倉『合図だったらもっと気の利いた合図、考えんだな』
朝倉『お宅ンとこの部下だったら今頃昼寝の真っ最中だよ。』
朝倉『残念だったねぇ』
磯川『う・・・・・・』
朝倉『おい、蚊トンボ、こっちこい!そこのデクの棒、二人!!こっちこい』
朝倉『あんた、タヌキだねぇ、磯川さん』
朝倉『手、頭の上にあげろ』
磯川『ペ、ペ、ペイは・・・全部・・・純度の高い・・・本物だ・・・・・』
朝倉『信用してるよ』
植木『ウッ!』
『ウウッ!』
『ウッ・・・!』
磯川『金は・・・いらん・・・ま、ま、ま・・まだ・・・死にたくない・・・撃たんでくれ!』
朝倉『取り引きだ、金は払う。ま、せいぜい長生きするんだな』
156
@kira 2013-02-26 15:06:02
[画像] [携帯]
『蘇える金狼』の第二海堡のアクションは、総体的には非常にグレードが高い満足いく出来映えなのだが、それまでの優作主演作品と比較すると不満を感じる部分もある。
第二海堡のような広大な場所でのロケは、『遊戯シリーズ』にはなく新鮮だった。
優作のしなやかな肉体が、第二海堡で躍動するのを観るだけで映画として成立している。
映画的興奮を覚えるのだ。CGや3Dで感じるものではない。
優作の漲る気迫が、スクリーンから伝わって来る。最も充実していた時代の優作の最高のアクションが観れる事は至福の一語に尽きる。
この頃の優作は『新宿アウトロー ぶっとばせ』の原田芳雄にそっくり。
不満のほうは、朝倉と戦闘を繰り広げる磯川の部下だ。
演じるのは『野性軍団』という集団である。
『野性軍団』と言っても知る人は少ないはずだ。それもそのはず、彼らは俳優ではない。
角川春樹が団長を務める冒険家集団とでも言おうか。要するに角川春樹の遊び相手である。
そんな奴らが、この傑作シーンに出ているのだ。当然、演技は学芸会レベル、チンピラっぽいけど演技じゃなく地である。
普通は熟練のスタントマンがやるだろう。
通常ならば、絶対に有り得ない事が起こるのが角川映画である。
157
@kira 2013-02-26 15:07:33
[画像] [携帯]
『【第二海堡】戦闘シーン』について①
【脚本家・永原秀一の功績】
第二海堡における朝倉哲也と磯川の部下との戦闘シーンは作品の中でもハイライトと言って良いだろう。
白昼に人工島で繰り広げられる銃撃戦は劇場で鑑賞している我々に小気味良い爽快感を与えてくれる。
この銃撃戦が夜だと作品の印象が大幅に変わってしまうだろう。
このシーンは大藪春彦の原作にはない。
『蘇える金狼』はこの他に劇場版(真木蔵人)とドに劇場版(真木蔵人)とドラマ版(香取慎吾)が製作されているがどちらにもこのようなシーンはない。
原作では横浜の倉庫街での戦闘シーンが描写されている。
他の作品でも同じく倉庫での銃撃戦である。
原作の描写に忠実に映像化しており、第二海堡は松田優作版のオリジナルである。
どういう事なのかというと
>>52
>>53で掲載したシナリオと劇場版とを見れば分かるように脚本家の永原秀一の資質によるところが大きい。
永原氏は松田優作・村川透とは『大都会PARTⅡ』『最も危険な遊戯』で組んでいる。
芸術祭にノミネートされた第3話『白昼の狂騒』も永原氏の脚本である。
優作とは『太陽にほえろ!』でも一緒に仕事をしている。
日活アクションでデビューした彼はハードボイルドを踏襲したアクション指向であった。
『拳銃は俺のパスポート』等、大藪春彦原作の脚本も手掛けている。
『大都会』シリーズのメインライターだった永原氏は同じくメインライターで人間ドラマ重視の倉本聰氏と作品の解釈で対立している。
永原氏の脚本にはハードボイルドを押さえながらも突き抜けた明るさがある。
優作の『遊戯』シリーズでも彼が脚本を書いた『最も危険な遊戯』はライトテイストで独特のユーモアが突出していた。
本作も他の脚本家ならば重苦しくなりがちな題材を、軽妙に料理して、一級の娯楽作品に仕上げている。
158
@kira 2013-02-26 18:10:04
[画像] [携帯]
『【第二海堡】戦闘シーン』について②
【脚本と劇場版の変更点】
しかしながら、シナリオ>>52>>53と実際の作品では明らかに改変がなされている。
シナリオではアクションシーンにおいてもある種のユーモアを湛えているが映画ではかなりハードでアクティブに変更されている。
アクション作品という括りで語られる作品の割に優作のアクションが少ない『蘇える金狼』では、輝きを放っているシーンだと言えよう。
優作ファンならこのシーンが『遊戯』シリーズを踏襲している事は一目瞭然である。
『遊戯』シリーズのアクションの特徴といえば、
①編集なしの長回し撮影
②ハンディカメラによる移動撮影
③常に優作をフレームに捕らえる
というものだ。
これがあるからこそ『遊戯』シリーズは大ヒットを記録し、アクション映画の傑作として現在も賞賛されている。
だが、『蘇える金狼』では若干、趣が違うようだ。
長回しのアクションシーンが醍醐味だった『遊戯』シリーズだが『蘇える金狼』では一見、長回し風ではあるが巧妙に編集が加えられている。
『遊戯』シリーズは、低予算で製作していた為に撮影日数も少なく、きめ細かな撮影が出来なかった。苦肉の策である長回しが逆にフィルムに緊張感を与え、成功した訳だが角川映画は予算も製作日数も潤沢にあるのでわざわざ、そんな事をする必要はない。
しかし、撮影スタッフもあの手法がベストである事は承知している。
だから、敢えてカットごとに撮影したフィルムを長回し風に編集して、『遊戯』シリーズのテイストを継承したのだ。
劇中では優作を追うハンディカメラが塹壕に入ると証明がない為に数秒間は真っ暗な画面が続いたりしているが、これも意図的に撮影していると思われる。
それが却って、リアリズムを生み出している事がわかるだろう。
159
@kira 2013-02-26 18:11:44
[画像] [携帯]
『蘇える金狼』の男優たち⑥
今井 健二
1932年3月31日生まれ。
神奈川県出身。
本名およびデビュー時の芸名は『今井俊一』、旧芸名は『今井俊二』。
1955年、ニューフェイス第二期生として東映に入社。
同期には高倉健がいる。
東映東京の現代劇作品を中心に、ニュー東映のアクション映画でも活躍した。
もともとは二枚目のスター候補だったが、1960年代からは悪役としてブレイク。
ヤクザ映画をはじめ、刑事ドラマや時代劇、特撮など、様々なジャンルの作品でアクの強い個性を発揮した。
近年は時代劇の舞台公演などで活躍。
日本を代表する悪役俳優の一人である。
趣味は釣り。
松田優作とは、
『太陽にほえろ!』
『大都会PARTⅡ』
『殺人遊戯』(1978年 東映)
『蘇える金狼』)1979年 東映)
『探偵物語』
『薔薇の標的』(1980年 東映)
で共演している。
160
@kira 2013-02-26 18:16:51
[画像] [携帯]
『蘇える金狼』の男優たち⑦
山西 道広
1948年3月7日生まれ。
兵庫県出身。
血液型O型。
本名同じ。
日本大学卒。
文学座研究所12期生。
同期に松田優作、阿川泰子らがいる。
1973年、『太陽にほえろ』第65話に学生役で出演しデビュー。
以降は、松田優作の盟友として、松田主演の映画、テレビ作品のほとんどに助演している。
松田優作のアルバム『Uターン』『まつりうた』などで作曲も手掛けた。
演じたキャラクターでは『探偵物語』の『松本刑事』、『あぶない刑事』シリーズの『吉井刑事』(通称『パパさん』)などが知られる。
現在もテレビ、舞台を中心に活躍中。
2006年まで阿佐ヶ谷駅近くで飲食店『クヨクヨハウス』の店主をしていた。
現在では息子が引き継いでいる。
漫画家の福谷たかしは生前、同店の常連客であり、代表作『独身アパートどくだみ荘』の背景に店の看板が描かれることもあった。
また、宮崎克(宮崎まさる)・高岩ヨシヒロ『松田優作物語』、羊崎文移『暗闇の用心棒』などでも店のエピソードが描かれている。
近年は神奈川県・葉山町に在住し、飲食店『山ふく』を経営している。
松田優作とは、
『太陽にほえろ!』
『赤い迷路』
『俺たちの勲章』
『大都会PARTⅡ』
『最も危険な遊戯』(1978年 東映)
『殺人遊戯』(1978年 東映)
『乱れからくり』(1979年 東宝)
『俺達に墓はない』(1979年 東映)
『蘇える金狼』(1979年 東映)
『探偵物語』
『処刑遊戯』(1979年 東映)
『レイプハンター 狙われた女』(1979年 にっかつ)
『薔薇の標的』(1980年 東映)
『野獣死すべし』(1980年 東映)
『ヨコハマBJブルース』
『春が来た』
『探偵物語』(1983年 東映)
『華麗なる追跡』
で共演している。
161
@kira 2013-02-26 18:18:22
[画像] [携帯]
『蘇える金狼』の男優たち』⑧
阿藤 快
1946年11月14日生まれ。
俳優・タレント。
旧芸名は『阿藤 「海」』、本名は『阿藤 「公一」』。
神奈川県小田原市出身。
有限会社さいど事務所所属。
中学時代は野球に熱中。
神奈川県立西湘高等学校に入学するが、高校に野球部がなかった為2年時に退学。
その後、野球部名門校の編入試験を受験するも不合格になり、西湘高校に復学した。
卒業後は、東京都立大学法学部第二部(夜間部)に入学。
学生時代は弁護士を志し司法試験の勉強に勤しむが、2年次にドイツ語の単位が足らず断念。
在学中に、劇団の俳優座養成所に加入したことをきっかけに役者を目指すようになった。
養成所に在籍し、東京都立大学卒業後の10年間は悪役専門で役者を続けた。
グルメ番組でのリポーター・旅番組での案内役もする。
また、出身地である小田原市が主催する小田原映画祭の実行委員を第1回(2005年)より務め、第2回(2007年)には実行委員長も務める。
血液型はA型。
座右の銘は『一日一生』。
長年煙草を吸っていたが、最近某通販の離煙パイプにより禁煙。
競馬が大好きなため、それが高じて競馬の関連書籍も執筆している。関西テレビのバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』にゲスト出演した際、同局のアナウンサー馬場鉄志に数々のGIレースの実況を再現してもらい、感激していた。
テレビ番組や映画への出演のほか、『ぶらり途中下車の旅』の旅人役で出演していることでも知られている。
雑誌の取材にてインタビューした姓名判断士の助言により、『海』より『快』に改名。
女優の加藤あいと名前が似ていることから、『タモリ倶楽部』で『24人の加藤あい』に対して『24人の阿藤海』という企画が作られた際、この放送より阿藤『快』としての活動を開始した。
『なんだかなー』が口癖。
このフレーズは、険悪な現場を和ませるために言うようになったものである。
このように気さくな性格であるためか、『芸能界で最もいい人』との称号を受けることもある。

<<始㌻ <前㌻ 次㌻> 終㌻>>
page 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
[スレッド一覧]
[返信投稿]
[▲上に]
[管理ページ]
もっとき*掲示板