蘇える金狼(1979年)
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1 @kira 2013-02-08 22:00:00 [携帯]
の画像を貼りましょう。
62 @kira 2013-02-18 22:12:53 [携帯]
シーン53
■[同・鈴本の部屋]
トイレに桜井。水洗タンクの中に、ポリエチレンで覆った包みを隠す。
桜井が部屋に戻る。
デスクに鈴本光明。
桜井『相変らず伯父さんは忙しそうだ』
鈴本『お前も元気そうでなによりだ』
桜井『第一線から身をひいたように見えても、鈴本光明は健在でいらっしゃる。数千の賛助会社を抱え、指一本でどうにでも動く投資家を五千人近く持ち、今でも乗っ取り事件が取沙汰されるたびに鈴本光明の名がクローズ・アップされる。今度はどこの会社を狙ってるんです?』
鈴本『フフフ・・・・・・どうだ光彦、本気で俺の下で仕事を憶える気には、まだならんか?』
桜井『(首を振り)そのうち・・・・・・今は伯父さんの手を借りずにどこまでやれるか、それを試してみたいんです』
鈴本『それもいいだろう。飯でも一緒に食わんか?』
桜井『そうもしていられません。早いとこ裏口から退散しないと』
鈴本『裏から?お前、何をしてる?』
桜井『(不適に笑い)じゃ、また』
と、ドアに消える。
63 @kira 2013-02-18 22:21:40 [画像] [携帯]
シーン54
■[東和油脂・経理部]
湯沢『(受話器に)ゆっくり医者に診て貰えよ。部長も次長もこの部屋にはいないんだ。俺たちものんびりやってるところさ』
朝倉の声『二人ともどうしたんですか?』
湯沢『(欠伸して)緊急重役会議とかで、次長も列席してるんだ』
シーン55
■[赤電話]
朝倉『緊急重役会議・・・・・・』
シーン56
■[東和油脂・表]
タクシーが停まり、朝倉が降りる。
シーン57
■[同・エレベーターから七階の廊下]
朝倉。
経理部のある五階を通過して、七階でドアが開く。
朝倉がエレベーターを降り、廊下を進む。
『重役会議室』のプレート。その手前の小部屋に『図書室』のプレート。
朝倉、図書室に入る。
シーン58
■[同・図書室]
朝倉が壁に近づき、補聴器とテープ・レコーダーのスイッチを入れる。
声A『・・・・・・やはり、反応を見てからでも遅くはない、と私は思う。仮にその桜井という男が鈴本と関わりがあるとしても、まだ鈴本が乗り出してくるかどうかは断言できんのだからね』
声B『賛成ですな、専務の意見に・・・・・・それに、鈴本の嚇しに一度屈したら、あとは骨までしゃぶられるでしょう』
朝倉『・・・・・・』
シーン59
■[同・重役会議室]
小泉、金子の他に、清水社長、専務の竹島、秀原監査部長。
秀原『それにしても、横領金のメモを写真に撮られるとは』
小泉『監査部長、それはもう済んだ話です。問題は、この危機をどう切り抜けるかなんだ』
秀原『(苦虫噛んで)・・・・・・』
清水『(溜息ついて)困ったことです』
竹島『社長、あなたは自分には関わりのないこととお考えでしょうが、そうはいきませんぞ。あなたは、我々に担がれて社長の座についたんだ。もし我々が倒れるようなことになれば、その時はあなたも一緒に―』
小泉『その通りです』
清水『(気弱く)・・・・・・』
電話が鳴り出し、金子が素早く出る。
金子『私だ・・・・・・』
64 @kira 2013-02-18 22:33:43 [携帯]
シーン60
■[赤電話]
冴えない表情の石井が話している。
シーン61
■[東和油脂・重役会議室]
金子『仕方ない。じゃァ女の部屋を見張ってくれ。奴は必ず女と会う筈だ・・・・・・そう、牧雪子。西銀座のバー”ルナ”の雇われマダムで、住所は××の××マンション、305号室・・・・・・頼むよ。(電話を切り)中央秘密興信所の石井からですが、桜井を見失ったそうです。鈴本と桜井の関係も不明だそうでして・・・・・・』
重苦しい沈黙―
小泉『私はこう思うんですが、明日、桜井に要求の半額の二千五百万円を払うより、今夜にでも逆に桜井をこっちで嚇かして、ネガと写真を取り上げたらどうかな。バクチだが、初めから鈴本に屈するよりは・・・・・・』
シーン62
■[ビル街(夜)]
退社したサラリーマン達の群が流れる。その中に、西川朱美。
朝倉がスッと近づき、朱美と並ぶ。
朝倉『自分は目黒署の者です』
怪訝に立ちどまる朱美の腕を取り、ビルの横手に連れ込む。
朱美『何よ?私が何か悪いことしたとでも言うの?!』
朝倉『とんでもない。実は、桜井君の住所を知りたいんです』
朱美『―』
朝倉『ご存知でしょ?』
朱美『知らないわ』
朝倉『どうしても彼の居所を突き止めたいんですがね。彼、東亜経済研究所の所員ですか?』
朱美『知らないと言ったでしょ。所員名簿をお調べになったら』
朝倉『そうですか。ご存知だと思ったんですがね・・・・・・失礼しました』
朱美は朝倉を睨み、大通りへ足早に去る。
朝倉がゆっくりと追う。
シーン63
■[あるマンション・表(夜)]
朱美が玄関へ走り込む。
暫くして、朝倉が現れる。
シーン64
■[同・玄関(夜)]
朝倉が並んだ郵便受けを見る。
『桜井光彦』のネーム。
65 @kira 2013-02-18 22:37:09 [画像] [携帯]
シーン65
■[同・表(夜)]
朝倉が立ち、周囲を見廻す。
建物のすぐ隣が広大な墓地。
肩を落とした朱美が玄関を出てくる。
朝倉『桜井は留守だったらしい』
朱美がギョッと振り返る。
その瞳に憎しみが燃えさかり―朝倉の顔に唾を吐きつける。
朝倉『―』
ゆっくりと頬の唾を手で拭い、次の瞬間、鋭く拳が朱美のみぞおちに叩き込まれる。
シーン66
■[墓地(夜)]
大きな墓碑の裏側で、朝倉は肩から、失神した朱美を降ろす。
朱美の頬を数発引っぱたく。意識を取り戻した朱美は起き上がろうとするが、朝倉はノーブラの朱美の乳房を掴み、押さえつける。もがき暴れる朱美のパンティまでが露になる。
朝倉『俺はデカなんかじゃねえ』
朱美『―』
朝倉『質問に答えなけりゃ、なぶり殺してやる。お前の一番大事なとこに、ナイフでも突っこんでやろうか』
朱美『・・・・・・(恐怖に抵抗心も萎えて)やめて・・・・・・』
朝倉『桜井は、東亜経済研究所の所員か?』
朱美『(首を振り)・・・・・・そうじゃないけど、鈴本さんの甥・・・・・・』
朝倉『奴に惚れてるな』
朱美『私を捨てたわ・・・・・・銀座の、バーの女に惚れたから・・・・・・でも、私は諦めてない。いつかあの人は、戻ってくる。信じてるわ』
朝倉、掴んでいた朱美の乳房から手を放す。
66 @kira 2013-02-18 22:42:36 [画像] [携帯]
シーン67
■[牧雪子のマンション・表(夜)]
朝倉が来て、立つ。
豪華な建物が聳えている。
シーン68
■[同・三階の廊下(夜)]
朝倉が305号室の前で立ちどまる。『牧雪子』の名札。
その前を通り過ぎ、306号の前に来る。
女名前の名札。新聞受けには夕刊が突っこまれたまま。
ドア・ホーンを押す。
何度押しても返答はない。
ベルトから、先端を潰した針金を抜き取り、鍵穴に差し込んで、ブロックを解く。
シーン69
■[同・306号室(夜)]
侵入した朝倉がドアのロックをかけ、電灯のスイッチをつける。
乱雑な室内に、人の気配はない。
確認して灯を消す。
壁に近づき、補聴器のスイッチを入れる。
女の声『もしもし、恐れ入ります。そちらに桜井という人が伺ってませんでしょうか・・・』
男の声『いたのか?』
女の声『ええ』
男の声『よし、色男をうまく呼び寄せろよ』
女の声『・・・・・・もしもし、光彦さんね。早くこっちへ来て・・・・・・電話では話せないことなの・・・・・・早くね』
受話器を置く音。
男の声『(低く笑って)上出来だ』
朝倉はフランス窓を開け、バルコニーに這い出る。
シーン70
■[同・バルコニー(夜)]
朝倉、バルコニーを調べる。
隣の305号室のバルコニーとは2メートルほどの間隔があり、両方のバルコニーの下に、支えの張り出しのコンクリートが20センチほどの幅で外壁に沿って走っている。
十数メ−ター下の地上に落ちたらひとたまりもない。
朝倉、手摺りをまたぐ。
張り出しに足をかけ、外壁に張りつく。
必死に移動して―305号のバルコニーの手摺りにしがみつく。
バネのように身を移し終える。
這って、めくれたカーテンの隙間から305号室を覗く。
玄関の内側に長いナイフを握りしめて息を殺している石井。
その石井を憎悪に燃えた瞳で睨み、牧雪子がソファにいる。着ている物は破られて全裸に近く、皮膚には数条のミミズ腫れ。
雪子の背後に不気味なヘラヘラ笑いを浮かべた田宮が立ち、左手で雪子の首を掴み、右手に西洋カミソリの刃を弄んでいる。
時折、カミソリの刃を雪子の背に走らせ、けいれんするところを首を絞めて愉しんでいる。
玄関のドアに鍵が差し込まれる音。緊張する石井。
67 @kira 2013-02-18 22:50:49 [画像] [携帯]
玄関のドアに鍵が差し込まれる音。緊張する石井。
ドアが開き、桜井が入って来る。
石井『(背後からナイフを突きつけ)下手に動くと、こいつが背中から胸へ突き抜けるぜ』
桜井『―』
朝倉が事態を見守る。
シーン71
■[同・雪子の部屋(夜)]
石井が桜井を居間の中央へ突き飛ばす。
石井『写真とテープはどこだ?』
桜井『・・・・・・』
石井、椅子の上のバッグを取り、ジッパーを開いて桜井の足元に放る。札束が数個、はみ出る。
石井『二千五百万ある。フィルムとテープをよこしたら、くれてやろう』
桜井『俺の要求は五千万だ。値引きはしない』
石井『この野郎・・・・・・不具になりゃ、考えも変わるだろうよ』
いきなり桜井の喉首を掴み、その顔にナイフを走らせようとする。が、桜井は石井のナイフを持った手首を掴むと同時に、体を沈め気味にして膝で思い切り石井の睾丸を蹴り上げる。両手で下腹部を抱えこみ、尻餅をつく石井。その拍子に舌を噛み、血を吹き出して喘ぐ。
石井のナイフを構える桜井。
田宮『そいつを捨てねえと、女の喉首掻っ切るぞ!』
桜井『やってみろ。そんな女がどうなろうと、俺には痛くも痒くもない』
雪子『あ、あなた!・・・・・・助けて!』
桜井『助けてだって?俺を裏切り、こんな所へおびき寄せといて、そんなことが言えた義理か』
雪子『―』
田宮『畜生ッ!』
雪子を蹴り、カミソリをかざして桜井に突進しようとする。
桜井がナイフを投げる。
一本の銀の糸のように飛び、田宮の肩に突き刺さる。後へ飛び、床に叩きつけられた勢いで、肩を突き抜けたナイフの刃先が、堅木の床に食い込み、田宮は床に縫いつけられる。
桜井『(石井に)この金は内金として受取っておく。遠廻しに、残りの二千五百万を用意しとくように伝えとけ』
石井、渋々と頷く。
桜井『失せろ』
石井はのろのろと立ち、田宮に近づく。肩のナイフを掴み、引っぱって堅木から抜く。更にナイフを肩口から抜こうと力をこめるが、抜けずに田宮が悲鳴をあげる。
桜井『(冷たく)医者に任せるんだ。無理に抜くと、血が止まらなくなるぞ』
石井と田宮、よろめきながら抱き合い、ドアに向かう。桜井が開けたドアから、廊下へ出る。
68 @kira 2013-02-18 22:55:33 [携帯]
桜井はドアを閉めてロックをかけ、床にうずくまりすすり上げている雪子の傍に来る。
自分の上衣を、そっと雪子の背にかけてやる。
雪子『・・・・・・死んでしまいたい』
桜井『馬鹿な』
雪子『・・・・・・』
桜井『奴等を欺くためには、ああするしかなかったんだ』
雪子『(表情に生気が蘇えり)・・・・・・』
桜井、そっと雪子を抱く。
雪子の瞳から大粒の涙があふれる。そして、ワッと泣き、桜井の胸に飛び込んで縋る。
二人、激しく唇を求め合う。
シーン72
■[桜井のマンション・駐車場(早朝)]
車が走り込んで、停まる。
バッグを持った桜井が降りる。
シーン73
■[桜井の部屋(早朝)]
ドアの鍵が差し込まれる音がして、桜井が入って来る。
不意に背後から朝倉が黒い影となって襲ってくる。
気配を察した桜井が体勢を整えようとするが、それよりも早く首筋に鋭い手刀を受ける。
応戦する間も与えず、ガクッと膝をつく桜井に、更にもう一撃。
突っ伏し、動かなくなる桜井。
朝倉、放り出されたバッグの中を見る。
札束。
朝倉は気絶した桜井を担ぎ、ベッドに運んでやる。
眼を閉じた桜井の端正な顔を暫らく無表情にじっと見るが― やがて踵を返し、バッグを奪い、玄関へ向かう。
シーン74
■[東和油脂・経理部]
朝倉がデスクに置いたジポーのライターで、後方の金子を窺っている。
受話器を握りしめ、オロオロと電話を受けている金子。小泉が不安そうに、金子を見つめている。
シーン75
■[電話ボックス]
桜井が怒りの表情で、語気鋭く電話している。
69 @kira 2013-02-18 23:03:50 [画像] [携帯]
シーン76
■[レストラン(夜)]
食事する朝倉と京子。
朝倉『・・・・・・頼みがあるんだ』
京子『?』
朝倉『たしか君のパトロンは、東和油脂の経理部長だと言ってたね?』
京子『ええ、専務の一人でもあるわ。それがどうかしたの?』
朝倉『今、東和油脂は、経理次長の横領か何かをネタに、乗っ取り屋のような奴に嚇かされているらしい』
京子『まァ・・・・・・で、私に頼みって何かしら?』
朝倉『僕が株をやってるって話は前にしたね?』
京子、頷く。
朝倉『経営の乱れは、必ず株に反映する。だから、東和油脂が乗っ取り屋にどの程度嚇されているのか、そう対処するつもりなのかを正確に知りたい。君のパトロンから、内緒で聞きだして貰いたいんだ』
京子『・・・・・・』
朝倉『頼む』
京子『私がそれをやれば、あなたは株で儲けることができるの?』
朝倉『多分』
京子がじっと朝倉を見る。朝倉が見つめ返す。
京子『・・・・・・(微かに笑って)別に迷うことはないんだわ。あなたを取るか、パパを取るか、もうとっくに決めたことだもの・・・・・・やってみるわ』
朝倉『ありがとう』
京子『例の薬、パパが気がついたわ』
朝倉『それで?』
京子『自分にも吸わせてみろと言うの。断るのも変だし、好きにさせたの・・・・・・とても気に入ったみたい。もっと大量に手に入れといてくれと言ってたわ』
朝倉『・・・・・・』
京子『もういくらもないの。あの薬があると、パパから話も聞きだしやすいと思うんだけど』
朝倉『分かった。明日渡そう』
70 @kira 2013-02-18 23:09:01 [画像] [携帯]
シーン77
■[東和油脂・重役会議室]
清水、小泉、金子、竹島、秀原の前に、傲然と桜井。
清水『(呻いて)二億?!』
桜井『自業自得でしょう。あなた方は、僕を怒らせたんだ』
小泉『ちょっと待ってくれないか。何度も繰り返すようだが、我々が君を襲って金を取り戻したというのは、誤解だ』
桜井『僕が襲われ、金を奪われたと言ってるのは言いがかりだと?』
小泉『そういう意味じゃないが・・・・・・改めて我々が五千万円君に支払うということで、納得していただけないだろうか』
桜井『断る。目には目をだ。二億をビタ一文まける気はありませんね』
途方にくれたような清水、小泉たち。
その時、社長秘書の富田が部屋に入って来て、清水に何事か耳打ちする。
清水の表情に微かな笑いが浮かび―
京子の声『東亜経済研究所の一人を買収して、桜井の正体を確かめたところ、一切研究所とは関係ない男だってことが分かったんですって・・・・・・』
シーン78
■[レストラン(夜)]
朝倉と京子。
朝倉『東亜経済研究所とは一切関係ない・・・・・・』
京子『それを知って、社長やパパたちは桜井との交渉を打ち切ろうと決心したのね』
朝倉『交渉を打ち切る?』
京子『桜井を眠らせるんですって。殺し屋に頼んで』
朝倉『―』
京子『石井という興信所の社長が、筋金入りの二人の男を、神戸から呼び寄せるそうよ。恐い話・・・・・・社長やパパが、交渉を長びかせて時間かせぎをしてるあいだに、二人の男が桜井を・・・・・・』
朝倉『(暗く燃える眼を一点に据えて)・・・・・・』
71 @kira 2013-02-19 20:31:37 [画像] [携帯]
シーン79
■[豊洲・石炭埠頭(夜)]
二台の車がもつれるように疾走する。
一台には桜井と雪子、もう一台には石井と殺し屋の国友、福田。
二台は交錯し、車体をぶっつけ合う。国友と福田が拳銃を撃つ。
桜井は必死にハンドルを切りながら、雪子を伏せさせる。
二台が何度目かの激しいぶつかり合いをする。石井の車は桜井の車に接し、そのまま押しつけるような形で突っ走る。
桜井の車の前方に障害物。迫る― 寸前に石井の車が避けて走りぬけ、桜井の車は逃げ切れずに障害物に激突。大破。
桜井が車からよろめき出る。雪子を助け、ひきずり出し、抱える。
雪子は頭部を強打したらしく、ぐったりとして顔に鮮血が流れる。
桜井、女を抱いて逃げる―
シーン80
■[赤電話(夜)]
受話器を握って朝倉。
朝倉『僕だ。彼から何か聞けたかい?』
シーン81
■[京子の部屋(夜)]
京子『部下の金子さんから電話があって、パパは五分ぐらい前に自宅へ帰ったわ。とても慌てて』
朝倉『何か?』
京子『興信所の人と、神戸から来た例の二人の男が、桜井をおびき出すのに成功したんですって。バーのマダムをしている桜井の恋人を利用して・・・・・・場所は、豊洲の石炭埠頭・・・・・・恐い・・・・・・ね、すぐ来て!』
朝倉の声『どうしても離れられない席にいるんだ。後で』
プツンと切れてしまう。
京子『・・・・・・』
シーン82
■[石炭埠頭(夜)]
桜井が雪子を抱いて、逃げる。
後方から迫る三人の人影と足音。
桜井、振り返り、拳銃を撃つ。
銃声と同時に―背後から突っ込んで来ようとしていた福田が棒立ちになる。腹に弾丸を食らい、崩れ落ちる。
桜井、必死に逃げる。背後から銃声。
桜井『!!』
動きが凍りつく。
腕から雪子が落ちる。
桜井のシャツの胸のあたりが、みるみる鮮血で染まっていく。
ガクンと膝をつく。
崩れ落ちていく。
石井と国友がそろそろと近づいて来る。

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