蘇える金狼(1979年)
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1 @kira 2013-02-08 22:00:00 [携帯]

の画像を貼りましょう。
52 @kira 2013-02-14 23:44:12 [携帯]

シーン32
■[参宮マンション・表(夜)]
スポーツカーが来て、パーキング・レーンに停まる。
降り立つ朝倉と、ゴルフバッグを提げた京子。
 
シーン33
■[同・京子の部屋(夜)]
朝倉が寝室のダブルベッドに坐り、豪華ずくめの室内を見廻す。
京子がグラスに氷を落とし、スコッチを注ぐ。
二人がグラスを合わせる。
京子『(朝倉の首に片手を廻して囁く)もう、あなたの煙草は残ってないの?』
朝倉『―』
京子『あの煙草には、やっぱり仕掛けがあるんでしょ?』
朝倉『・・・・・・』
京子『どんな?』
朝倉、財布を出し、中からヘロインの包みを取る。
朝倉『煙草の先に、この粉をほんの少しつけると美味くなるんだ。耳かきに四分の一ほど。最低三時間はあいだをあけないとからだに悪いそうだ』
京子『まさか、麻薬じゃないでしょうね』
朝倉『清涼剤だよ。友人に大学の物理学教室の助手がいてね、そいつから貰うんだ』
京子『それなら安心だわ』
と、自分の煙草を取り、ヘロインの包みを開いて、煙草の先に粉末をつける。
朝倉がライターで火をつけてやり、吸った京子が恍惚と眼を閉じる。
朝倉は玄関で鍵を開ける微かな物音を聞き取り、ハッとなる。
朝倉『パパさんのお出ましらしい。早いとこ俺のグラスを片づけてくれ』
と、素早く奥の一室へ向かう。
納戸として利用している薄暗い小部屋に朝倉が潜り込む。
小泉の声『京子、私がこんなに心配してたのに・・・・・・一体、どこへ行ってた!変な匂いがする・・・・・・分った、男と一緒だったんだな。言え!私がこんなに心配してたのに、若い男と楽しんでたんだろう。言わぬと、締め殺してやる!』
京子の声『(冷たく)あなたに私が殺せるの。ベッドでも満足に殺せないくせに』
小泉の声『男をここへ引っ張り込んだんだな。まだどこかに隠れてるんだろう。畜生、よくもよくも・・・・・・捜し出してやる。おい、泥棒猫、出て来い!』
次第に音とわめき声が近づいて来る。
朝倉、さすがに慌て、室内を見廻す。窓がある。
近づき、音をたてぬように鍵を開ける。

53 @kira 2013-02-15 00:02:40 [携帯]

シーン34
■[同・京子の部屋(夜)]
朝倉が潜んでいた小部屋の前で、京子が小泉に抱きつく。
京子『誰とも浮気なんかしてやしないわ。京子はパパだけの女』
小泉『(怒りが薄れて)・・・・・・』
京子『いいわ、信用して貰えないなら、悲しいけどここを出て行く』
小泉『何を言うんだ。悪かった。謝るからそんなこと言わないでくれ・・・・・・私は、君のためなら会社も家庭も、何もかも放り出して後悔しないと思っている。京子・・・・・・京子!』
京子を堅く抱きしめる。
抱かれながら、遠くを見るような京子の瞳。
 
シーン35
■[同・テラスから非常階段(夜)]
朝倉がテラスに出て、窓を閉める。
非常階段に移り、降りていく。
途中、ホッとして京子の部屋の窓を振り返った途端、足を踏みはずす。派手な音をたてて数段転げ落ち、顔をしかめる。

54 @kira 2013-02-15 00:15:08 [画像] [携帯]

シーン38
■[磯川邸・正門(夜)]
覗き窓が細目に開かれ、鋭い目が、立っている朝倉を見つめる。
朝倉『先程電話した者です』
男の声『先生がお待ちかねです』
重く軋んで門が開く。やくざ者としか見えない門衛が二人。朝倉が入る。
 
シーン39
■[同・一室(夜)]
秘書の植木に案内されて朝倉が入る。
揺り椅子に体を丸めて、葉巻を横ぐわえにした丹前姿の磯川が見迎える。
磯川『電話で訳の分からぬことを言ってたそうだが・・・・・・俺に何の用だ?』
朝倉『まとまった量のヤクを買いたい。ただし、妥当な値段でね』
磯川『ヤクとは何のことだ』
朝倉『ヘロインだよ。俺はビジネスの話をしてるんだ』
磯川『帰れ、若造。悪いことは言わん』
朝倉『商売の話に入る前には帰れないね』
磯川『俺は、公安委員をやっているから警察に顔がきく。それに、やくざともじっ懇にしている。超党派外交でな。俺が一声かければ、気に入らん者を生かすも殺すも自由だ』
朝倉『ご立派ですな』
磯川『(立ち上り)やかましい。つまみ出すぞ!』
朝倉『やってみたらどうだ』
磯川『チンピラ奴・・・・・・(低く笑って)後を振り向いてみろ。ゆっくりとだぞ』
朝倉、首を後に廻す。背後のドアの横の羽目板が幅二メートルほど、腰から上が音もなく開き、三人の若い男がカービン銃を頬づけして朝倉を狙っている。
朝倉『―』
磯川『馬鹿者が。殺してやる』
朝倉『俺を簡単に撃てるのかい』
磯川『何だと?!』
朝倉『この距離からカービン銃をぶっ放せば、弾は完全に俺を貫通して、あんたに当たる。
俺を貫通するときに、弾はまだ炸裂してないから俺は即死しないが、あんたの体に食い込む時には、弾の潰れがひどいから目も当てられない傷になる。』
磯川『冗談も休み休み言え。そう調子よく俺に当たってたまるか』
朝倉『弾という奴は、一番抵抗の少ないところを抜けようとする性質がある。だから俺の体の中で、どう向きを変え、どこに飛ぶかは弾だけが知ってるんだ』
動揺する磯川。
その瞬間を狙って、朝倉がジグザグを描いてダッと走る。
逃げようとする磯川を捕まえ、後に廻り込んで拳銃を抜く。
凍りついている三人の用心棒と、植木。
朝倉『(磯川の後頭部に銃口を突きつけて撃鉄を起こし)銃を捨てろ!』
磯川『・・・・・・銃を降ろせ』
三人がためらいながらカービンをおろす。

55 @kira 2013-02-15 00:28:24 [携帯]

朝倉『弾倉と、薬室の弾も抜いて貰おう』
磯川『この男の言うとおりに』
三人がカービンの弾倉をはずし、遊底杯を引いて薬室の中のカービン弾をはじき飛ばす。
朝倉、磯川を押して肘掛け椅子に坐らせる。
朝倉『さて、商談に入りますか』
磯川『ゼニのツラを拝ませて貰おうか。話はそれからだ』
朝倉『ここに持ってきてない』
磯川『それでは話は終わりだ。ゼニを集めてから出直してくれ』
朝倉『九千万のゼニだ。そう簡単には持ち運びできねえよ』
磯川『いくらだって?!』
朝倉『九千万。あんたなら、それぐらいの取引きはしょっちゅうでしょう』
磯川『それはそうだが・・・・・・で、買い値は?』
朝倉『グラム六万』
磯川『お断りだな。グラム十万でいくらでも買い手がある』
鋭く見合う朝倉と磯川。
朝倉『七万五千。これ以上は出せねえ』
磯川『・・・・・・よかろう』
朝倉『金はいつでも用意できる。取引きの場所と時間は?』
 
シーン41
■[朝倉の部屋(夜)]
ベッドの下から朝倉が這い出る。手にはボストン・バッグ。
ジッパーを開く。中にはぎっしりと指名手配の危険な札束。

56 @kira 2013-02-15 00:37:56 [画像] [携帯]

シーン42
■[東京湾・第二海堡]
モーターボートが着き、朝倉が上陸する。古い砲台の残骸と、それを覆う雑木。朝倉、歩き出す。
 
シーン43
■[同・雑木林]
灌木の中で、じっと身を潜めている朝倉。時計を見る。朝倉が鋭く一方を見る。こちらに近づいてくる数人の人影。
六人の男、磯川邸の用心棒A、B、Cと海神組の男A、B、C。
六人は雑木林をこちらに向かって来て、朝倉からやや離れた地点で停まる。
重いものを置く。それは支脚に乗った大きなブローニングA2軽機関銃。見守って朝倉。
用心棒A、Bが慎重に銃口をしたの砲台跡に向け、機銃を固定させる。それを確かめて用心棒Cと男三人が、配置につくため散って行く。
朝倉が拳銃を抜いて握りしめ、機関銃の二人にそろそろと近づいて行く。
一旦立ちどまり、ハンケチをくわえる。エロ話でヘラヘラ笑いの二人。朝倉が更に迫り、躍り出て用心棒Aの首筋に拳銃を叩き込む。
仰天した用心棒Bにもすかさず一撃を加えようとした時、崩れ落ちる用心棒Aに足を取られて朝倉が体勢を崩す。
その間にBは機銃にとりつき、銃口をめぐらして引金を絞る。バリバリと物凄い銃声。朝倉は大きく地を転がって銃弾を避け、Bを狙い撃つ。
銃声がパタリと止み、胸を打ち抜かれたBがスローモーションのように倒れる。朝倉が機銃に飛びつき、引金に指をかける。
『どうした?』『野郎が現れたのか?』などと声があり、四人の男が駆けつけて来る。
朝倉が機銃の引金を絞る。凄まじい連続発射音。蜂の巣になった四人がアッという間に崩れ落ちる。銃声が止む。
朝倉『(口からハンケチを取り)・・・・・・』
耳を澄ますが、物音も何もしない。機銃のガス・シリンダー固定用のピンを後に廻してから引き抜く。
砲台下にはまだ磯川の姿はない。見守る朝倉。磯川と小さなバッグを持った植木が悠然と現れる。

57 @kira 2013-02-15 00:45:45 [画像] [携帯]

シーン44
■[同・砲台下]
磯川と植木が立つ。
朝倉が雑木林から飛び降り、近づいて来る。
磯川『やァ』
朝倉は応えず、ボストンをいきなり植木に投げる。慌てて受止める植木。
朝倉『調べろ』
頷く磯川に、植木がバッグを開け、札束を調べ始める。
雑木林の機銃に背を晒す恰好で立つ朝倉に、磯川がほくそ笑む。
植木『九千万、確かにあります』
磯川『そうか。では今度はあんたの番だ』
と、植木から小さなバッグを受け、朝倉に渡す。
受けた朝倉がバッグを開く。
1ポンド入り二つと、200グラム入り一つのビニール袋。
磯川と植木が数歩後退する。
磯川は葉巻をくわえ、ライターに点火する。葉巻に火が点いてもまだ同じ恰好を続ける。それが機銃手への合図らしい。
磯川の眼が雑木林に泳ぎ、表情が歪む。
苛立ち、ライターをやたら点滅させる。
朝倉、冷笑を浮かべて磯川に近づく。
狼狽して後退する磯川。
朝倉が素早く拳銃を抜き、磯川に突きつける。
磯川『な、何をする!』
朝倉『あそこの機関銃が吠えるのを待ってるんなら、当て外れだ。みんな眠ってるよ』
磯川『―』
朝倉『(植木に)おい、先生を助けたかったら、ここへ来て腹這いになれ』
植木は為す術なく言われたとおりにする。朝倉、拳銃の撃鉄を左手で押さえながら引金を絞り、撃鉄をハーフ・コックの安全位置に戻す。
と同時に、植木の頭に銃把を叩きつける。
朝倉が冷たく磯川を見る。
磯川『(震え上り)ペーは全部純度の高い本物だ。金も要らん・・・・・・(醜悪に顔が歪み、泣き出す)死にたくない。撃たんでくれ!』
朝倉『取引きだから金は払う』
磯川『・・・・・・』
朝倉、拳銃をベルトに差し、ヘロインのバッグを持って素早く消え去る。
磯川が札束のボストンに飛びついて抱え、何かわめきながら植木を蹴りつける。

58 @kira 2013-02-15 00:53:37 [画像] [携帯]

シーン36
■[あるマンションの一室(夜)]
ベッドで全裸の男と女が激しく絡み合っている。次長の金子と、牧雪子。その二人を捉えて、何者かが写真を撮るシャッターの音。フィルムを巻き上げる音とシャッター音が連続して―
 
シーン37
■[東和油脂・経理部]
朝倉が書類を持って自分の席に向かう。
歩きながら小泉と金子を見る。
眼の下に隈を作り、疲労困憊といった表情の二人。
金子は欠伸を噛み殺して睡魔と闘い、小泉は口を開けて居眠りしている。
朝倉は席につき、黙々と事務を続ける。
 
シーン40
■[参宮マンション・京子の部屋(夜)]
ベッドに行為の後の朝倉と京子。
京子は眠っているように見える。
朝倉が腕を伸ばして自分の煙草の箱を取る。が、空。ナイト・テーブルの抽出しを探り、ケントの箱を取り出す。
中に、数本の煙草と一緒にセロファンの包み。開けて見ると、セロファンの包みには微かに残り少ない白い粉末がこびりついているだけ。
朝倉は自分のジャンパーを取る。財布を出し、中からヘロインの包みを数個取り出し、ケントの箱の中に入れる。
京子『何してるの?』
朝倉『煙草を』
京子『私にも。テーブルの抽出しの中のを』
朝倉、ケントを渡してやる。
京子がケントを受け取り、箱の中の増えてる包みを知る。
京子『・・・・・・(朝倉の胸に顔を埋ずめ)ありがとう。これが麻薬でも構わない・・・・・・なくなるのが、とても不安だったの』
朝倉『・・・・・・』

59 @kira 2013-02-15 01:07:01 [携帯]

シーン45
■[歩道]
黙々と歩き、出社するサラリーマンの群。
その中に、風采の上がらない朝倉の顔がある。
 
シーン46
■[東和油脂・経理部]
朝倉が部屋に入ると、まだ社員の姿はなく、次長の金子だけがゴルフのクラブを持ち、パターの練習をしている。
朝倉『おはようございます。昨日は欠勤しまして、申し訳ありませんでした』
金子のデスクの電話が鳴り出す。
ボールにかぶさって動かない金子。
朝倉『(受話器を取り)東和油脂の経理部でございます』
女の声『(歯切れのよい口調で)金子さんを出して下さらない?』
朝倉『失礼ですが、どちら様でしょうか』
女の声『牧からだと言ってください』
朝倉『(送話口を掌で押さえて)次長さん、牧というご婦人からです』
金子『ン・・・・・・(受話器を受けて)どうしたんだね、こんなに朝早く?』
朝倉、会釈して自分のデスクに戻る。
背後で金子の驚きと怒りを必死に圧し殺した声。
金子『な、なんだって?!・・・・・・そんな馬鹿な・・・・・・最初から計画的だったんだな』
朝倉がさりげなく聞き耳を立てる。
金子の声が切れ切れに聞こえる。
金子『・・・・・・そんな奴と話などする気はない・・・・・・十二時半、××デパートの屋上。リスの売り場だな・・・・・・その男の目標しは?・・・・・・』
乱暴に受話器を置く音。
朝倉『(金子を見ずに)・・・・・・』
単調な帳簿づけの作業。
朝倉のデスクにジポーのライターが立ててあり、後ろの金子と小泉の動きが写っている。
蒼ざめた金子が語り、小泉が苦りきった顔で聞いている。やがて小泉が金子の袖を引っ張って立ち上がり、応接室へ向かう。
朝倉が二人の後姿を見送る。

60 @kira 2013-02-15 09:23:03 [画像] [携帯]

シーン47
■[××デパート・屋上]
並んだ籠の中で、愛らしく動き回るリス。
ベンチに金子が落ちつかぬ様子で坐っている。
近くに、ビニール張りの熱帯植物の温室がある。
 
シーン48
[同・温室の中]
朝倉が補聴器とマイクロ・テープレコーダーのデミフォーンを接続。
補聴器のレシーヴァーを耳に差し、スイッチを入れる。突然、拡大された音が耳の中で轟く。
一旦スイッチを切り、金子を見張る。
一人の男が金子に近づいて来る。
繊細な痩身と端正な顔立ちの桜井。
朝倉は補聴器とテープ・レコーダーのスイッチを入れる。
金子『君の名前は?』
桜井『桜井とでも呼んでください』
金子『雪子のヒモか?』
桜井はニコッと笑うだけ。
金子『私に何を売りたいと言うんだ?』
桜井、背広の内ポケットから封筒を出す。金子がひったくり、中の数枚の写真を見て、息を飲む。
金子『畜生・・・・・・やっぱり雪子と貴様はグルだったんだな』
桜井『よく撮れてるでしょう。テープもあります』
金子『テープも?・・・・・・(内ポケットから角封筒を出して)さ、これをくれてやる。100万円入ってる。ネガとテープをよこせ』
桜井『あなたは誤解してるようだ・・・・・・僕は鈴本光明先生に可愛がってもらっている者です』
金子『何?!誰だって?!』
桜井『鈴本光明』
金子『例の、東亜経済研究所所長の鈴本さんかね?』
桜井『そうです』
金子は絶句して、喘ぐ。
朝倉が固唾を飲んで事態を見守る。
桜井『あなたが経理部長たちと共謀して横領した金額を書き込んだ手帳も、僕はカメラに収めました。あなたが雪子の部屋で眠ってるあいだにね』
金子は呻き、頭を抱えこむ。
桜井『会社を食いものにして、あなたがたはひどい人達だ。もしこのことを鈴本先生が知ったら、早速乗り込んでこられるでしょうな』
金子『すると、鈴本さんにはまだ?』
桜井『話していませんよ。あなた方がお気の毒なことになるでしょうから』
金子『有難い・・・・・・(膝と両手をつき、頭を垂れ)失礼な態度をとって悪かった。この通りだ。許してくれたまえ』
桜井『分かって下さればいいことです』

61 @kira 2013-02-18 22:03:08 [画像] [携帯]

金子『そこで、改めてご相談ですが、ナニのネガとテープ、それに手帖を写したネガ、合わせていかほどでお譲りいただけるでしょうか?』
桜井『五千万円』
金子『五千万?!・・・・・・とてもそんなまとまった金は・・・・・・』
桜井『あなたなら簡単でしょう。会社の融通手形を一枚書くだけでいいんだ。これ迄なんべんもやってきたことじゃないですか』
金子『部長とも相談しないと・・・・・・とにかく、明日まで待って下さい。明日、必ずご返事を』
桜井『分かりました。僕のほうから電話します』
金子『あの、これは別にお車代として・・・・・・』
100万円入りの封筒を差し出す。
桜井『これはどうも・・・・・・(と、あっさり受取り、立ち上がる)では明日』
優雅に一礼して、立ち去る。
放心したように金子。
朝倉も意外な事態の進展にとまどう。
 
シーン49
■[同・屋上]
朝倉がリス売場の前を避けて足早に歩きかけ、ふと足を止める。
金子の傍に一人の男が近づくのが見える。眼つきの悪い中年の男、石井。金子が何事か石井に話す。
 
シーン50
■[道]
桜井が振り向かずに歩く。
尾行する石井、そして朝倉。
 
シーン51
■[光明ビル・表]
『東亜経済研究所』のプレート。
桜井がビルに入る。石井が追って入る。
朝倉はためらう。が、意を決して入る。
 
シーン52
■[同・一階のロビー]
ロビーを囲むようにナンバーを書いた十個以上の部屋のドア。
五十人ほどの面接の順番を待つ男たち。
受付のカウンターがあり、若い女が坐っいる。置かれた名札に『西川朱美』とある。
朝倉が桜井を眼で追う。
朱美が傍を通り過ぎる桜井を思いつめたように見つめる。
朱美『光彦さん、待って!』
桜井は無視して奥へ向かう。
朱美が恨みを込めた熱い視線で見送る。
朝倉がソファに坐る。石井が壁にもたれ、新聞を拡げる。
朝倉『(朱美を見て)・・・・・・』



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