野獣死すべし(1980年)
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@kira 2013-02-08 22:00:00 [携帯]
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@kira 2013-02-25 21:16:00 [携帯]
シーン45
劇場版の台詞
雪絵『バイバーイ』
将校『バァーイ!』
バーの前の路地に将校が運転する外車が停まる。
雪絵が降りて、バーに入って行く。
真田の情婦・雪絵を演じるのは根岸季衣。
彼女は『探偵物語』第16話『裏切りの遊戯』に出演している。
当時の芸名はとし江だったと思う。
シーン46
劇場版の台詞
真田『始末してくらぁ・・・』
バーの店内。
雪絵が入って来て、2階へ上がって行く。
それを見ていた伊達と真田。
真田、決心したように雪絵の後を追う。
伊達、立ち上がって死神のような表情で階段を見つめる。
フッと外へ出て行く。
183
@kira 2013-02-25 21:17:12
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シーン47
劇場版の台詞
伊達『始末、しなかったでしょう・・・』
真田『目、見ちまったんだよ。首絞める時に・・・』
伊達『そうじゃないでしょ?彼女が何か言ったんじゃないですか?』
真田『・・・・・・言ったよ・・・・・・許してダーリンだってよ・・・・・・ダーリンだぜ?』
真田『スカッと決めれねェんだよ・・・・・・いつだってそうだよ・・・・・・』
伊達『・・・・・・あなたの場合・・・少し、世間が狭すぎるんじゃないですか?』
真田『どういう意味だよ、ソレ?!おい!』
横須賀港の岸壁に座り、新聞を読んでいる伊達。
《警視庁警部補刺殺 秘密賭博場襲撃の犯人 依然手がかりつかめず 次の犯行防止に必死の大捜査網》
の見出し。
気配を感じ、新聞を海に投げ捨てる伊達。
真田がやって来て伊達の傍らに腰を下ろす。
真田は結局、雪絵を殺せなかった。真田は自由奔放に生きているように見えて、実は様々な柵に絡め捕られているのだ。
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@kira 2013-02-25 21:19:21
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『野獣死すべし』の女優たち
根岸季衣
本名 根岸俊惠
旧芸名 根岸とし江
1954年2月3日生まれ。
東京都出身。
所属はアルファーエージェンシー。
身長 162cm
血液型 A型
特技 ダンス
桐朋学園大学短期大学部演劇専攻中退。
現在の夫は、根岸がボーカルを務めるブルースバンドのメンバーでもある宇賀啓祐。
来歴学生時代から演劇活動を始めるが、この当時、所属していた大学の演劇部では、大学以外での外部出演を禁じていたため、『嵯峨小夏』名義で女優活動をしていた。
本人曰く『ガサツな子』から芸名を取ったといい、蒲田行進曲に登場する小夏はこの名前からきているという。
1974年につかこうへい事務所に入団する。
1975年には『ストリッパー物語』の主役に抜擢(この舞台は大人気となり、特に若者たちの間で絶大な支持を受ける)。
その後は舞台以外でも幅広く活躍する。
1980年に芸名を『季衣』(読みは本名と同じ)に改名。
1981年に作詞家・大津あきらと結婚し男児2人をもうけるが1997年に大津が直腸がんで他界。
その後、悲しみに耐え女優業を再開する。
『復讐するは我にあり』(柳葉敏郎主演のテレビ版にも出演)や『海と毒薬』などの話題作にも多数出演する。
大林宣彦作品の常連になり、演技派として欠かせない存在でもある。
お節介なおばさんや口うるさい母親などパワフルな女性役に定評がある。
2008年にブルースバンドのメンバー・宇賀啓祐と再婚し、根岸季衣&ザ・ブルースロードのボーカルとしてライブ活動も行っている。
『愛の劇場』に数本の作品に脇役として出演しており常連である。
九条の会の賛同者で『非戦を選ぶ演劇人の会』の委員でもある。
185
@kira 2013-02-25 21:27:52
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シーン48
劇場版の台詞
遠藤『つうもん(注文)通りだ。ごるどうっづまん(コルトウッズマン)サイレンサーづぎ(付き)一丁。ずっぽごずっぱづ(実包50発)』
遠藤『じゃあな』
伊達『あのぉー・・・』
伊達『サイレンサー使用時の発射音と、貫通能力を試したいんですけど・・・』
遠藤『そんなごど、勝手にやれ!どごの組のモンだが、すらねェが、プロだろうが!』
真夏の飲み屋街の裏通りを紙バッグを提げた拳銃ブローカーの遠藤がハンカチで額の汗を拭いながら歩いて来る。
路地の影に佇む伊達と真田。
伊達と遠藤が紙バッグと現金を交換する。
伊達が紙バッグの中を確認して、遠藤にサイレンサーを装着した拳銃の発射音と貫通能力を試射したいと呟く。
取引を終えた遠藤は伊達の要求を断り、その場を立ち去る。
この後、自身にどんな事態が降りかかるかも知らずに。
遠藤を演じる佐藤慶さん。
普段は都会的な社会的地位が高い人物を演じる事が多いが、ここでは訛りがきつい拳銃密売人を演っている。脚本では標準語である。
この方言は佐藤氏の出身地の会津弁だろうか。
村川監督はこういった遊び心がある演出が好きなのだ。
佐藤氏は村川監督の『白昼の死角』では、顔を白塗りにして演技している。
186
@kira 2013-02-25 21:29:38 [携帯]
シーン49
劇場版の台詞
伊達の声『2つのデパートの、午後2時までの売上金が』
雑踏を歩く遠藤。
喧騒が消えてスローモーションになり、サイレンサーを装着した拳銃の発射音。
遠藤が動きを止め小さく呻いて、ヨロヨロと倒れ込む。
ワイシャツの腹部が赤く染まっていく。後方から数人の歩行者が遠藤に駆け寄る。
その横を無表情の伊達が通り過ぎて行く。
見ていて背筋が寒くなるシーンだ。
遠藤は後方から狙撃されるが、伊達は横側から出てくる。 伊達は一体、どこから撃ったのか。
白昼の街中でカメラを据えて撮影されているのも面白い。まわりはエキストラだろうが、実に臨場感が出ている。後方には子供も歩いているから、ひょっとしたらゲリラ撮影の一発撮りかも知れない。
シーン50
劇場版の台詞
伊達の声『2時40分までに地下の金庫室に運ばれる。そこで出納係が手分けをして金額をチェックする。合わせて4億はカタイ・・・。しかし、万札は約2億だろう・・・』
伊達の声『それがこっちの獲り分だ』
真田の声『で・・・いつやるんだよ?!』
伊達の声『金曜・・・』
電話ボックスの真田。
伊達の大胆な犯行に衝撃を受ける。後退りしながら、現場から立ち去る。
東洋銀行に下見に来た真田。
伊達のカードで現金をおろす。
シーン51
劇場版の台詞
伊達『伊豆の山に貸別荘を借りた・・・キミには早速、銃の扱い方を覚えて貰いたい』
真田『・・・・・・いつ、行くんだ?!伊達『明日・・・女も連れて来い』
東洋銀行を見下ろすビルの屋上に伊達と真田がいる。
187
@kira 2013-02-25 21:34:25
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『野獣死すべし』の男優たち
佐藤慶
1928年12月21日 - 2010年5月2日
福島県会津若松市生まれ。
本名は『佐藤慶之助』。
佐藤家は先祖代々会津藩士で、戊辰戦争に敗れて漆器材料の卸商を営んでいた佐貫百合人『役者烈々 俳優座養成所の軌跡』、三一書房、1995年、149-150頁。
福島県立会津工業学校染織科卒業後、会津若松市役所戸籍係に勤務するかたわら、地元で結成した新劇愛好会で演劇に打ち込むが、会の発表会の日に無断欠勤をして役所を免職されたという『根っからの新劇人』ぶりが高じ上京。
俳優座養成所から俳優人生をスタートする。
俳優座養成所の第4期生の同期には仲代達矢、佐藤允、中谷一郎、宇津井健などがいる。
1955年以降、大島渚監督の一連の作品をはじめ、映画、舞台、テレビドラマで存在感のある悪役などを演じる。
その無機質な風貌を生かし、屈折した性格の悪役を得意とし、社会派作品から時代劇・ヤクザ映画まで、様々な作品で総合的性格俳優として活躍する。
1965年、『鬼婆』でパナマ映画祭主演男優賞。
1971年、『儀式』『日本の悪霊』でキネマ旬報主演男優賞を受賞。
1967年のテレビドラマ『白い巨塔』では、田宮二郎の野心的な雰囲気とは違った暗くねじれた個性を前面に出した財前五郎役を好演した。
1980年、紀伊國屋演劇賞受賞。
また、低く泰然とした声でのナレーションも人気があり、1970年代から1980年代にかけて日本テレビで放送された科学ドキュメンタリー『知られざる世界』のナレーターを担当した。
1981年には『白日夢』で武智鉄二監督の演出のもと愛染恭子と本番行為を行い、一躍話題になった。
晩年の代表作にはNHK連続テレビ小説『ほんまもん』、大河ドラマ『風林火山』がある。
かつては月刊誌『噂の真相』を愛読しており、創刊準備号から最終号まで1号も欠かさず読みつづけたという。
また、下積み時代の生計を支えてくれたガリ版への感謝を忘れず、有名になってからもガリ版用具を大切に保管していたという謙虚な一面も持ちあわせていて、後年山形市の山形謄写印刷資料館に愛用のガリ版用具並びに製作した印刷物が寄贈された。
2010年5月2日午後4時19分、肺炎のため都内の病院で死去。
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@kira 2013-02-25 21:41:00 [携帯]
シーン52
劇場版の台詞
令子『あの・・・地下鉄まで・・・どうぞ・・・』
令子『ここ2・3日、変な人に尾けられてるみたい・・・興信所の探偵かしら・・・別に・・・付き合ってる人もしないのに』
柏木『タクシー!!』
夜の日比谷公会堂・表の道。
雨が降っている。
コンサート帰りの伊達がコートのフードを被り、歩いている。
その後を傘を持った令子が追ってくる。
伊達、気配を感じる。
伊達と令子の後を尾行する柏木。
令子が最近、尾行されているらしい事を伊達に告げ、付き合っている男がいない事をさりげなくアピールするところが可愛い。
柏木は令子も調べているようだ。
伊達は突然、令子の肩を抱き寄せるとタクシーに乗り込む。
慌ててタクシーを呼び止める柏木。
タクシーに乗ったのは柏木の尾行を撒く為だが、令子は内心ときめいている。
脚本では令子が伊達にコンサートのチケットを渡している。
これがラストの演奏会のチケットであろう。
シーン53
劇場版の台詞
伊達『それじゃあ、おやすみなさい』
令子『伊達さん・・・・・・』
伊達『・・・・・・』
令子『・・・・・・』
伊達『・・・・・・・』
伊達『行って下さい』
伊達のマンション前で停まるタクシー。
降りようとする伊達を引き止める令子。
令子の想いに気づく伊達。
しかし、伊達はタクシーを降りてしまう。
タクシーに取り残された悲しみの表情の令子。
タクシーを見送る伊達。
普通の映画なら、次のシーンで伊達は間違いなく令子を抱いているだろう。
そうしないところが、この映画をハードボイルドにしている理由である。
ここで私は、ある仮説に辿り着いた。
その仮説とは、伊達が性的不能者、所謂、インポテンツなのではないかというものだ。
シーン23で繁華街を歩く伊達は売春婦に目もくれない。
次のシーン24>>60ではエリカのマスターベーションを眺めているだけだ。
伊達の生殖能力が正常ならば、エリカは勿論、令子も抱いている筈だ。
松田優作が、今回は女は抱かないと言ったから、抱かせていないというのでは、あまりに芸がない。
さらに、台詞で説明するなど論外だ。
そこで、俳優・松田優作は伊達を性的不能者として演じたのではないのか。
これで、伊達が女を抱かない事の理由の説明が着く。
それどころか、見事に伊達の犯行動機にまで結びついて行くのではないだろうか。
189
@kira 2013-02-25 21:42:06 [携帯]
シーン54
令子を乗せたタクシーが去った後に柏木が追ってくるシーン。
本編ではカットされている。
別段、無くても問題ないシーンである。
脚本では伊達が柏木の尾行に気づいて、機転を利かせて以前のアパートで降りるのだが、本編ではアパートには住んでいない事になっている為にこのシーン自体が意味がないものになってしまったのだ。
それに柏木が伊達に職務質問するシーンは他にもあるし、伊達の住まいを調べるなら、いくらでも方法はある筈だ。
190
@kira 2013-02-25 21:47:57 [携帯]
シーン55
マンションの部屋。
ドアが開く。
伊達が入ってくる。
壁に手を衝き、持っていた本を放り投げる。
巨大なスピーカーの前にコートのフードを被った伊達がうずくまっている。
アルビノーニのアダージョが静かに流れる。
伊達、被っているフードを下ろし、スピーカーを抱きしめるように耳を近づけ、目を閉じる。
脚本ではマンションではなく、引っ越す以前のアパートだが、本編では存在しない。
シーン56
伊達の部屋の明かりが点いた事を確認して去って行く柏木。
本編ではカット。
191
@kira 2013-02-25 22:04:05
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伊達邦彦とショパン
伊達邦彦が主に愛聴しているショパンはポーランド出身の作曲家である。
何故、伊達はショパンを好んで聴いたのか?
ショパンはポーランドからフランスに渡り、作曲家として成功した。
しかし、彼が亡くなるまで祖国に帰る事は遂になかった。
フランスでショパンが作曲した数々の名曲には、彼が愛して止まない祖国への思いが込められている。
一方、伊達は自分の居場所を見つけられないまま青春を過ごし、新聞社のカメラマンとして赴いた戦場に遂に自らの居場所を見つけるのだが、それも呼び戻される事で終焉を迎える。
伊達にとっては戦場こそが愛する故郷なのだ。
伊達がショパンのピアノ協奏曲を聴いて涙を流すのは何故か?
その答えは伊達とショパンの境遇の同調性にあるのではないか。

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